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自公大敗後、日本の政治で何が起きるか?
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2025年7月19日

自公過半数割れが濃厚になる中、今後、日本の政治はどう変わるのか?自民党の問題点とは何か?政策研究大学院大学の竹中治堅教授に聞いた。 <ゲスト> 竹中治堅|政策研究大学院大学教授 スタンフォード大学政治学部博士課程修了、Ph.D.(政治学)を取得。スタンフォード大学客員研究員などを経て、現在:政策研...
政治学者が見る日本政治の転機:参院選後の混迷と将来への道筋
日本の政治は今、大きな転換点を迎えている。自民党の支持率低下と参政党などの新興政党の台頭、そして財政ポピュリズムの広がりなど、様々な問題が顕在化している。政策研究大学院大学教授の竹中治堅氏に、現在の政治状況と今後の展望について聞いた。

Q. 自民党の支持率低下と参政党の伸長の背景は何ですか?
自民党の支持率低下には大きく2つの要因がある。まず、石破政権が経済政策において分かりやすく積極的な前向きな政策を打ち出せなかったことだ。その結果、野党が仕掛けた消費税減税という土俵に乗ってしまい、現在の苦境を招いている。
石破政権は地方創生を重視していたが、地域ごとに魅力的なプロジェクトを提示できなかった。例えば九州なら長崎新幹線、四国なら四国新幹線、中国地方なら造船業、東海地方なら宇宙航空産業といった地域特性に合わせた具体的な目玉政策を打ち出し、アピールすべきだった。
一方、参政党の伸長には2つの背景がある。一つは現政権への不満だ。消費税減税はそれだけで日本経済が明るくなる話ではないが、既存政党への不満が参政党への支持につながっている。もう一つは、実質賃金の停滞や格差拡大など、社会に漂う閉塞感の受け皿になっていることだ。

Q. なぜ既存野党ではなく参政党などの新興政党に支持が集まるのでしょうか?
多くの有権者は既存政党に裏切られてきたという思いを持っている。立憲民主党は民主党時代(2009年~2012年)に日本をうまく統治できなかったという印象が強く残っている。
日本の有権者は過去30年間で3度裏切られた感覚を持っている。1つ目は1993年の細川政権、2つ目は2001年の小泉政権、3つ目は2009年の民主党政権だ。いずれも大きな期待を持って迎えられたが、結果的に多くの有権者の期待に応えられなかった。安倍政権も株価は上がったものの、所得が上がらなかったという現実がある。
このように政治に対する失望感が強い中で、石破政権がとんちんかんな政策を出してきたことで、「入れるところがない」という消極的選択として参政党に票が流れている。
Q. 財政ポピュリズムはいつから始まったのでしょうか?
財政ポピュリズムは2008年頃、麻生内閣の定額給付金から始まったと考えられる。それまでは「原ナマ(現金)を配るのは良くない」という共通認識があった。小渕内閣時代の地域振興券も商品券という形で配られ、金額も抑えられていた。
しかしリーマンショック後に現金給付が行われ、前例ができてしまった。今や給付金や消費税減税などの話ばかりで、どうやって経済を強くするかという本質的な議論がなくなっている。減税するもの、給付金を配るものの財源は借金であり、そのようなことを続ければ円の信用が落ち、円安がさらに進む可能性がある。
Q. 財政ポピュリズムの行き着く先はどうなりますか?
このままでは日本経済の先行きが非常に危ういものになる。物価高に対して財政政策で対応しているが、これはインフレを助長するだけだ。円安の背景には輸入インフレがあり、その根本原因は財政赤字の蓄積による通貨の信用低下にある。
円に対する信用が低下していることで、円の変動幅が以前より円安方向で大きくなっている。以前は1ドル100円から120円程度の変動だったものが、今は140円から160円のバンドで変動するようになっている。財政をさらに悪化させれば、より一層の円安になる可能性がある。
このような状況はアルゼンチンなどの途上国がハイパーインフレに苦しんだ時と似ており、非常に危険な道を歩み始めている。
Q. 自民党はどうすれば立て直せるのでしょうか?
自民党が変わるしかない。なんだかんだ言っても政権担当能力がある政党は自民党だけであり、自民党にちゃんとしたリーダーを選んでもらうことが必要だ。
また、総裁選のルールを変えるべきだ。現在の総裁選では党員票が重視されすぎており、石破氏と高市氏というこれまでの自民党では考えられなかった2人がワンツーフィニッシュするという事態を招いた。昔のルールに戻し、国会議員の投票を重視すべきだ。国会議員同士はお互いをよく知っており、その人の人柄や能力をベースに判断できるからだ。

Q. 選挙制度はどう変えるべきですか?
日本の政治問題の60%程度は制度によって決まる。現在の選挙制度は「選挙制度のデパート」状態で、衆議院、参議院、地方議会がそれぞれ異なる仕組みになっている。この多様性が多党乱立を促し、「決められない政治」につながっている。
まず、衆議院の比例代表部分を減らすべきだ。小選挙区の非重要性を高め、政党が生き残るためには大きな政党に合流するしかないような環境を作るべきだ。また、地方議会の選挙制度も変え、選挙区の単位をもっと小さくすることで二大政党制を促進すべきだ。
これらの制度改革には小泉純一郎級、安倍晋三級の強いリーダーシップが必要だが、現在の選挙制度ではそのようなリーダーが生まれにくいというジレンマがある。
Q. 日本政治の将来をどう見ていますか?
現在の状況は未体験の領域に入りつつある。参議院選挙で自民党・公明党が敗れれば、今後6年間の日本政治が大きく揺らぐことになる。参議院はリセットの方法がなく、任期も6年と長いため、その影響は甚大だ。
危惧されるのは、自民党と公明党が与党の座にとどまりながらも過半数を失った場合、野党が連合すれば何でも通ってしまう事態だ。消費税の食料品への軽減税率やゼロ税率なども可決される可能性があり、財政規律がさらに失われるリスクがある。
日本は国際環境が厳しい中で、安全保障の議論が全くなされていないのも懸念材料だ。短期的な利益を追求する財政ポピュリズムに流されず、経済成長と財政健全化を両立させる政策が求められている。
