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宇宙軍事開発の勢力図:各国の現状と防衛産業の構図
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2025年7月22日

トランプが打ち出したゴールデンドーム計画とは。人類は経済成長の最後のフロンティアである宇宙進出を進める中での覇権争いはどうなるのか。これからの宇宙防衛に関して長島純氏に聞いた。
宇宙戦争はもう始まっている?宇宙防衛の最前線と国際情勢
宇宙空間の軍事利用をめぐる国際情勢は急速に変化している。アメリカのゴールデンドーム構想や中国の衛星破壊実験など、宇宙での軍事的な動きが活発化する中、国際法上のルール作りや各国の宇宙防衛戦略はどうなっているのか。中曽根平和研究所研究顧問の長島純氏に宇宙防衛の現状と未来について聞いた。

Q. 宇宙空間の軍事利用には国際法上のルールがあるのでしょうか?
宇宙空間は元々特定の国の主権が及ばない国際公共財(グローバルコモンズ)の一つで、誰もが自由にアクセスして利用することが前提の空間です。宇宙条約第4条では宇宙空間は平和目的のために使うと規定されていますが、近年は宇宙活動国が増え、空間が混雑し、競合・敵対する状況(3つのC)へと変化しています。
宇宙空間に核兵器を置くことは禁止されていますが、防衛目的での軍事利用については特に禁止されていません。現在、各国は数百から数千の軍事衛星を打ち上げ、情報収集や軍事通信に活用しています。ただし、他国の自由なアクセスを妨げることは宇宙条約の理念に反するとされています。
Q. 宇宙はすでに軍事利用されているのでしょうか?
宇宙の軍事利用は確実に進んでいます。私たちの生活もGPSなど宇宙技術に大きく依存しており、もし衛星が機能しなくなれば、ATMが動かなくなったり、交通システムが麻痺したり、携帯電話が使えなくなったりと大きな影響が出ます。
軍事面でも宇宙通信や偵察での利用が進み、依存度は増しています。各国の軍にとって宇宙空間を守ることは重要な使命となっています。
Q. 実際に宇宙で戦争が起きる可能性はあるのでしょうか?
SF作品のような宇宙戦艦同士の戦闘は基本的に考えられていません。その理由の一つは宇宙ゴミ(デブリ)の問題です。NASAの推定によると、現在約2万5000個のデブリが秒速7〜8kmで宇宙軌道を飛び回っています。

人工衛星を破壊すると3000〜5000個のデブリが新たに発生します。衛星は軽量化された素材で作られているため、小さなデブリに当たっただけでも機能停止する可能性があります。宇宙でミサイルなどを使った戦闘が起これば、デブリが増加し、最終的には宇宙へのアクセス自体が不可能になるリスクがあります。
2007年に中国が衛星破壊実験を行った際は約3500個のデブリが発生し、宇宙の安全保障上の脅威として認識されました。その後もロシアやインドが同様の実験を行っていますが、米国や日本などは自主的にこうした実験を行わないと宣言しています。
Q. 主要国の宇宙軍事開発状況はどうなっていますか?
現在はアメリカがトップランナーですが、中国が急速に追い上げています。中国は月の裏側への着陸や独自の宇宙ステーション建設など積極的に活動し、軍民融合戦略のもと技術開発を進めています。
インドも月への有人飛行や独自の宇宙ステーション建設を計画するなど、宇宙開発を加速させています。現在はどの国も圧倒的な優位性を確立していない状況です。
Q. 宇宙防衛における民間企業の役割はどうなっていますか?
アメリカではボーイングやロッキード・マーティンといった大手防衛産業が宇宙分野でも活動していますが、スタートアップ企業の役割も拡大しています。
宇宙はフロンティアであり、AI、量子計算機、量子暗号といった最先端技術と組み合わせることで新たな可能性が生まれています。スタートアップ企業は柔軟な発想で新たな使い方を提案し、それが産業振興にもつながっています。
日本も安全保障分野における宇宙活用を通じて宇宙産業を活性化する計画を進めています。
Q. 従来の軍需産業にとって宇宙ビジネスはチャレンジですか?
大きなチャレンジになっています。従来の防衛産業は高い信頼性と精度が求められてきましたが、今は変化への対応スピードも重要です。
将来的に火星や月で人間が活動するようになると、バイオや新素材など新たな技術が宇宙ビジネスに不可欠になります。これらの技術を柔軟に取り入れ、短期間で実現していくためには、大企業だけでなくスタートアップとの連携が必要です。
Q. 日本の宇宙防衛への取り組みはどうなっていますか?
日本は基本的に日米同盟の枠組みの中で、宇宙デブリの監視や情報共有を積極的に行っています。今後は宇宙通信や情報通信分野で、日本独自の取り組みに加え、同盟国やパートナー諸国との協力が進むでしょう。

ウクライナ侵攻時、西側諸国が宇宙からの情報をウクライナと共有したり、スターリンクによる通信支援が行われたりしたことで、宇宙空間の軍事的重要性が再認識されました。これを教訓に、日本を含む多くの国が宇宙安全保障への取り組みを強化しています。
自衛隊も宇宙部隊の要員を増やし予算も拡大していますが、日本の予算には限りがあるため、バランスを取りながら進めていく必要があります。
Q. 宇宙防衛の将来はどうなるでしょうか?
技術の進化が大きな鍵を握っています。特にAI(人工知能)の活用が注目されています。膨大なデータが流れる中で、人間の処理能力には限界がありますが、AIを活用することで複合的な状況判断が可能になります。

AIはターミネーターのように人間に危害を与えるのではなく、膨大なデータの中から状況を的確に判断するツールとして活用されるでしょう。イノベーションが安全保障上も重要であり、特に軍事・安全保障分野ではより求められるようになります。
宇宙とサイバー空間が現実世界と融合していく中で、宇宙は安全保障の中心的な要素になっていくでしょう。宇宙からの情報収集や監視能力を組み合わせることで新たな価値が生まれ、それがスマート安全保障の核になっていくと思われます。