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婚外出産は少子化対策になるか?
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2025年8月3日

少子化が進む日本において何が必要なのか。必要な政策や対策はどのようなことなのか。変わりつつある結婚観、主流になりつつあるマッチングアプリでの出会い。様々な少子化問題について慶應義塾大学准教授の阪井裕一郎氏に聞いた。
婚外子が少子化の解決策になるのか?パートナーシップ制度と多様な家族のかたち
世界では結婚せずに子どもを持つカップルが増加し、OECD諸国の平均では子どもの40%以上が婚外子として生まれている。日本では「婚外子」という言葉にネガティブなイメージがつきまとうが、欧米では当たり前の選択肢になっている。結婚と子育てを切り離して考える欧米と、セットで考える日本の違いはどこからくるのか?婚外子の増加と少子化対策の関係性について、慶應義塾大学准教授の阪井裕一郎氏に聞いた。

Q. 婚外子とは何か?どのようなパターンがあるのか?
婚外子とは、法律上の結婚の外で生まれる子どもを指します。婚外子には様々なパターンがあります。
まず、シビルユニオンなどのパートナーシップ制度の中で生まれる子どもがあります。これは法律上の結婚とは異なりますが、結婚に準ずる関係性の中で子どもが生まれるケースです。

次に、シングル女性が子どもを産むというパターンがあります。初めからシングルとして子どもを持つ選択をする女性たちで、必ずしも男性と結婚することに価値を置いていないけれど、子どもは欲しい、子育てはしたいという人が増えています。
また、シングルマザー同士のコミュニティを形成して助け合いながら子育てをするケースもあります。オランダなどではこうした例もあるようです。
生殖医療の発達により、精子提供などを受けてシングルで子どもを持つという選択肢も増えています。
Q. パートナーシップ制度で子どもを持ったカップルはその後結婚するのか?
必ずしもそうとは限りません。そのままパートナーシップを継続する場合もありますし、結婚する場合もあります。
欧米、特にキリスト教圏の国では、結婚と宗教の結びつきが強いです。結婚には宗教的な意味合いや信念が伴うため、安易に結婚に踏み切らず、まずはシビルユニオンなどのパートナーシップ制度を経由し、その後関係性が安定してから結婚するというパターンがあります。
この場合、結婚はより象徴的・シンボリック的な意味合いを持ち、家族をより確固としたものにするための選択となります。
Q. 結婚するかわからない相手と子どもを持つことに対する認識は?
これは結婚に対する考え方の違いに起因します。欧米社会では、子育てと結婚は必ずしも結びついていません。子どもを産み育てるために結婚が必須だという考え方はなく、両者は切り離されています。

日本では婚外子に対してネガティブなイメージや差別的な見方があるため、結婚せずに子どもを持つことに懸念を抱く人が多いですが、婚外子が当たり前になっている社会ではそのような懸念はありません。
重要なのは、結婚しているかどうかではなく、関係性の内容そのものです。結婚という形式よりも、実質的な関係性の質が重視されています。
Q. 婚外子は少子化対策の切り札になるのか?
婚外子の増加は少子化対策として意図的に推進されたものではありません。これは重要な点です。
欧米諸国で婚外子が増加したのは、政府が少子化対策として婚外子を増やそうとしたわけではなく、社会の実態の変化に法制度が対応した結果です。まず社会が世俗化し、伝統的な価値観が薄れていく中で、結婚せずに生活するカップルが増え、そうしたカップルが子どもを持つようになりました。
そして、そのような多様な家族の形を社会がサポートし、子どもが不利益を受けないようにするという方針の中で、結果として婚外子が増加しています。
OECD加盟国の平均では、婚外子の割合は40%を超え、50%に近づいています。13カ国では50%を超えており、結婚の外で生まれる子どもの方が多数派になっています。
Q. 婚外子が多い国と出生率の関係は?
多様な家族をサポートする社会の方針が婚外子出生率に現れており、結果として出生率が高い傾向にあります。ただし、婚外子を増やせば少子化が解決するというものではありません。
重要なのは、どのような家族の形であれ、子どもが不利益を受けないようにするという考え方です。親の状況と子どもの境遇を切り離し、すべての子どもが恵まれた環境で育つようにすることが大切です。
Q. 日本が導入すべき制度や考え方は?
日本で家族形成のハードルが高くなっている現状を考えると、パートナーシップ制度の導入が有効かもしれません。結婚という大きな決断をする前に「お試し期間」的なステップがあることで、若者がより気軽に関係性を試せるようになります。
日本では事実婚でもサポートがあると言われますが、制度として確立されていないため、積極的に選択する人は少ないです。制度として確立されることが重要です。
また、「子どもが不利益を受けない」という発想を日本社会ももっと取り入れるべきです。日本では「親と子どもはセット」と考えられがちで、親の状況によって子どもへの支援の必要性が判断されることがありますが、むしろ親の状況が良くない場合こそ、子どもへのサポートが必要です。

日本の少子化対策では「誰もが子どもを産み育てやすい社会へ」というスローガンがよく使われますが、実際には想定されている対象は限定的です。本当の意味で「誰もが」というなら、大学生カップルやシングル、同性カップルなど、多様な家族の形も想定に入れるべきです。
スウェーデンやフィンランドでは大学生の4人に1人は子どもがいるというデータもあります。大学と子育てが両立できる社会の実現も可能なのです。
少子化対策として出生率を上げることだけを目的にするのではなく、多様性を尊重し、様々な家族の形をサポートすることは、出生率に関係なく重要な社会的課題です。