PIVOT TALK BUSINESS
なぜコメダ珈琲は勝ち残ったのか──“体験価値”の経営戦略
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2025年7月15日

いま、カフェ業界に静かな異変が起きている。 スターバックスの1強体制に風穴を開けつつあるのは、“コーヒー”ではなく“珈琲”だった。 豆の品質、空間設計、過ごし方、コンセプトの明快さ…。 体験価値をどう設計するかが、勝敗を分け始めている。 高収益を叩き出すコメダ珈琲、スペシャルティに特化するサードウェ...
カフェチェーン徹底比較!スタバは日本で人気なのになぜアメリカでは低迷?コメダの絶好調の秘密とは
世界的人気を誇るスターバックスや日本発のコメダ珈琲など、カフェチェーンの競争が激化している。売上ランキングでもカフェチェーンは好調だが、なぜこれほど人気なのか?各社の戦略の違いや今後の展望について、都市ジャーナリスト/チェーンストア研究家の谷頭和希氏に聞いた。

Q. スターバックスはなぜ日本でこれほど人気なのでしょうか?
スターバックスが日本で根付いた最大の理由は、20〜30年経った今でも強く維持しているブランドイメージにあります。上陸当初から持っていた「シアトルから来たおしゃれな場所」「行けてる人が行く場所」というイメージを長期間保ち続けています。
また、蔦屋書店のような、同じくおしゃれなイメージを持つブランドとうまくタッグを組んだことも大きな要因です。特に地方や郊外の新しいおしゃれな書店などにスターバックスが入ることで、全国各地で存在感を高めていきました。
さらに、全国各地で店舗デザインや内装が異なるスターバックスを展開していることも重要です。富山の環水公園店は「世界一美しいスターバックス」として有名で、常に長蛇の列ができています。店舗自体が観光地化しており、各地の特徴あるスタバを巡るファンも多いです。スタンプ集めなど、ファンコミュニティを作る施策も功を奏しています。
Q. 一方、アメリカではスターバックスの人気が低迷していると聞きますが、本場では何が起きているのでしょうか?
アメリカのスターバックスは複数の問題を抱えています。まず店舗のオペレーションが著しく低下しています。掃除が行き届いていない、メニューが出てくるのが遅いなど、基本的なサービスの質が落ちています。日本のスターバックスは清潔で効率的ですが、アメリカでは異なる状況です。
また、モバイルオーダーの急増により、店舗のオペレーションがモバイルオーダー処理に偏り、実際に店舗に来た客へのサービスが行き届かなくなるという問題も発生しています。
さらに、CEOが交代したものの、新CEOのブライアン・ニコル氏が従業員のコスト削減を発表する一方で自身はプライベートジェットで出勤するなど、経営姿勢への批判も起きています。これらの複合的な要因により、アメリカでは業績が伸び悩んでいるのです。
Q. コメダ珈琲が絶好調だと言われています。その理由は何でしょうか?
コメダ珈琲の好調の背景には、いくつかの要因があります。まず、コメダはほとんどがフランチャイズ方式で展開しており、全国各地で出店したい人がいれば比較的容易に展開できるシステムを持っています。

特筆すべきは、フランチャイズ契約が加盟店に優しい設計になっていることです。利益がフランチャイズ加盟店にも十分還元される仕組みになっており、地方で出店を考える人にとって魅力的な選択肢となっています。
店舗分布を見ると、発祥の地である中京地方だけでなく、近年は東日本や西日本でも爆発的に店舗数を増やしています。さらに上海、台湾、香港などアジア各地にも進出し、海外でも存在感を高めています。
Q. コメダ珈琲のメニューや空間づくりには、どんな特徴がありますか?
コメダ珈琲の大きな特徴は、豊富なフードメニューと「逆詐欺」と呼ばれる量の多さです。一般的な飲食店では写真よりも実物が小さいことが多いですが、コメダでは逆に実物の方が大きく、満足感があります。これはインフレが進む中で消費者に喜ばれています。

また、コメダはコーヒーの製造にあまり手間をかけていないという点も興味深いです。コーヒーはセントラルキッチンで作ってパック詰めし、各店舗に配送しています。これはスターバックスなど各店舗で淹れるチェーンとは対照的です。その代わり、食事メニューの開発や空間づくりに力を入れています。
コメダの経営陣は「多くの人はコーヒーの違いをあまり識別できない」という消費者心理を理解しています。ある程度美味しいコーヒーであれば十分で、むしろ食事メニューの充実と居心地の良い空間づくりに投資しているのです。
さらに、座席スペースが広くゆったりしていることも特徴です。各店舗で内装にこだわり、新百合ヶ丘オーパ店では音楽の街をイメージした内装にするなど、店舗ごとに特色を出しています。単にコーヒーを飲むならコンビニでも買えますが、カフェに求められるのは「場所としての価値」であるという認識に基づいた戦略です。
Q. カフェチェーン業界の今後の展望はどうなっていくでしょうか?
今後はスターバックスとコメダの二強時代になっていく可能性が高いです。特にコメダは今後も店舗数を増やし、2000店舗近くまで拡大していくでしょう。
注目すべき点は、喫茶店市場が「コーヒー中心」から「多様な飲み物」へと広がっていることです。「喫茶」の「茶」はもともとお茶全般を指しますが、これまでカフェというとコーヒーがメインでした。しかし最近では、スターバックスが2000店舗目を紅茶専門店として出店したり、コメダが「おかげ庵」という和風喫茶店を展開したりと、非コーヒー系の喫茶店展開が進んでいます。
タリーズも「タリーズ&T」という紅茶主体のブランドを展開し、ゴンチャのようなタピオカティー専門店も着実に店舗数を増やしています。こうした非コーヒー系の喫茶チェーンも今後ランキングに食い込んでくる可能性があります。
また、カフェは「カフェ×○○」という掛け合わせモデルが非常に展開しやすいため、公園、ランニングステーション、図書館など様々な場所と組み合わされていくでしょう。大学内のスターバックスはすでに多く、今後は中学校や高校の学食、病院や公共施設など、より多様な場所にカフェが増えていくと考えられます。
Q. 自分好みのカフェを見つけるコツはありますか?
いろいろな移動手段を使ってみることをお勧めします。電車で移動すると駅構内や駅前のカフェに出会いますし、街を歩くと個人経営の喫茶店を発見できます。

自動車でロードサイドを走れば、コメダコーヒーのような郊外型の大きめのチェーン店に出会えます。例えばハワイアンカフェをテーマにした「コナズ珈琲」は、車で移動していると目につきますが、電車の駅前にはあまり出店していないため、移動手段によって出会えるカフェが変わります。
カフェは日常と切り離せない存在になっており、くつろげる場所として重要な役割を果たしています。リモートワークが普及しても、人間はリアルな場所を求める生き物です。そうした人々の受け皿として、カフェはこれからも様々な形で発展していくでしょう。