PIVOT TALK BUSINESS
注意すべき国別ビジネス文化の罠
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2025年7月15日

会議で発言しない日本人は世界からどう見られているのか?異文化理解を専門とする東京外国語大学・岡田昭人教授は自分の文化を客観視する必要性があると話す。日本人が世界で損をしないために、異文化理解の方法を徹底解説。
異文化理解のキーポイント~ノンバーバルコミュニケーションとユーモアの重要性~
表情やジェスチャーひとつで大きく意味が変わることがある異文化コミュニケーション。「オッケー」のハンドサインがブラジルでは卑猥な意味になるなど、知らないと恥をかくことも。東京外国語大学の岡田昭人教授に、異文化理解の鍵となるノンバーバルコミュニケーションとユーモアの重要性について聞いた。

Q. ノンバーバルコミュニケーションとは何ですか?
言語によらないコミュニケーションのことで、アイコンタクトや表情などが含まれます。これらは文化によって受け取られ方が大きく異なります。
例えば、ハローキティとミッフィーの違いを見ると文化差が見えてきます。キティちゃんは口が描かれていません。これは日本のハイコンテキスト文化を表しています。口がないことで、見る人の感情によって表情が変わって見える効果があります。悲しい時に見ると泣いているように、嬉しい時には笑っているように見え、「いつもあなたの味方」というメッセージを発しています。
一方、オランダのキャラクターであるミッフィーはローコンテキスト文化を反映し、表情がはっきりと描かれています。
Q. 日本人と外国人の表情の違いはありますか?
日本人は平均的に表情が乏しいと言われます。そのため、外国人から「嬉しいのか悲しいのか分からない」と評されることがあります。海外の人とコミュニケーションを取る際は、言葉に表情を載せて伝えないと、相手はこちらの気持ちを理解できない場合があります。
また、日本人特有の「照れ笑い」も誤解を招くことがあります。例えば、若い女性が海外で不審な男性に声をかけられた時、口では「ノー」と言っても顔が笑ってしまうことがあります。これは西洋文化では「もう一歩で落ちる」というサインと解釈され、さらに声をかけられる危険性があります。こうした場面では、はっきりと「ノー」と言い、表情も合わせることが重要です。
Q. 顔文字の解釈も文化によって異なるのですか?
顔文字の解釈も文化によって大きく異なります。日本人は目を中心に表情を判断する傾向がありますが、欧米人は口を中心に判断します。

例えば、日本で「喜び」を表す「^_^」という顔文字は、欧米では「:)」で表現されます。また、「^^」という日本の顔文字は、チェコなどでは「口を開けているだけ」に見え、「アホに見える」と誤解されることもあります。
これはマスクをする習慣にも影響します。日本人はマスクをしても目で表情を判断できますが、欧米の人々は口元が見えないと相手の感情を読み取りにくく、不安を感じることがあります。
Q. ジェスチャーも文化によって意味が異なりますか?
ジェスチャーも文化によって全く異なる意味を持ちます。例えば、日本で一般的な「ピース」のサインは、イギリスでは侮辱的な意味を持ちます。知らずにイギリス人の前でこのサインをすると、相手に不快な思いをさせることになります。

また、ギリシャでは「ちょっと待って」と手を広げるジェスチャーは避けるべきです。日本で「オッケー」を意味する親指と人差し指で輪を作るサインは、ブラジルでは卑猥な意味になります。過去にアメリカの大統領がブラジルの空港でこのジェスチャーをして問題になったこともあります。
フランスのレストランで店員を呼ぶ際に手を上げることも失礼とされます。フランスでは目で合図をして店員を呼ぶのがマナーです。店員のプライドを尊重する文化があるためです。
インド人の「はい」のジェスチャーは頭を左右に振るもので、日本人からすると「いいえ」に見えます。このように、同じジェスチャーでも国や文化によって全く異なる意味を持つことがあります。
Q. 異文化間でのユーモアの役割は何ですか?
ユーモアに対する考え方も文化によって大きく異なります。欧米などの個人主義の強い文化では、ユーモアは重要なコミュニケーションツールとして位置づけられています。
ユーモアには主に次の役割があります:
1. アイスブレイキング - 場の緊張をほぐす
2. 自己開示 - ユーモアが言える人だと認識してもらう
3. 対等性の表現 - 上司が部下にジョークを言うことで対等な関係性を示す
4. 知性の証明 - 特に古代ギリシャ以来の伝統で、ウィットの効いたユーモアは知性の表れとされる
日本の教育ではユーモアを使うスキルはほとんど教えられませんが、欧米では小さい頃から家庭や学校でウィットの効いたジョークを言うよう教育されます。相手を楽しませるスキルとして重視されているのです。
Q. 異文化間でのユーモアの違いの例はありますか?
アメリカのジョークはウィットや皮肉を交えたものが多くあります。例えば:
妻「どうしたの?ずっとテレビを見てるけど」
夫「大切な教育番組を見ているんだよ」
妻「スポーツ番組は教育番組じゃないでしょ」
夫「でも、どうやって応援するかを学べるんだ」
中東では賢さやウィットをより重視したジョークがよく使われます:
「砂漠の真ん中で水を持っていたらどうする?」
「すぐ売るよ」
「でも、そこには誰もいないよ」
「だからこそ売り値を高くするのさ」
日本では関西地方がユーモア文化が強く、日常的にこうしたウィットを交えた会話が行われています。
Q. ビジネスシーンでユーモアはどう活用すべきですか?
ビジネスシーンでも、特に初対面の場面ではアイスブレイキングとしてジョークが使われることが多いです。これは相手を敬遠しているのではなく、環境を良くしたいという合図です。

例えば、長い学会発表の途中で「皆さんは今、心の中でこのスピーチがいつ終わるか考えているでしょう。実は私も話しながら考えているんですよ」と言って場を和ませることがあります。
ユーモアを少しでも返せるようになれば、最初の数分で相手との関係構築がスムーズになります。その国特有のジョークを事前に調べておくことも有効です。勇気を持ってトライしてみることが大切です。
異文化コミュニケーションでは、言葉だけでなく、表情やジェスチャー、ユーモアといったノンバーバルな要素も重要です。文化によって解釈が異なることを理解し、相手の文化に敬意を払いながらコミュニケーションを取ることで、より豊かな国際交流が実現できるでしょう。