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日米の株価は今後も強い。注目セクターは、金融、防衛、コンテンツ
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2025年7月14日

日米関税交渉が停滞しているのはなぜか?日本にとっていい落とし所はどこか?今後、日米の株価はどう推移していくのか?注目セクターはどこか?ストラジストのイェスパー・コール氏に聞いた。 <ゲスト> イェスパー・コール 京都大学、東京大学の研究員を経て、S.G.ウォルバーグ証券でチーフエコノミストに就任。...
トランプ新政権下での日米貿易と投資戦略:アメリカ帝国主義と日本経済の行方
米国の新政権下での日米関係の変化と、それに伴う投資戦略について、経済アナリストのイェスパー・コール氏が独自の見解を語った。米国の「アメリカファースト」政策がもたらす日米関係の変容と、そんな中でも明るい展望を見せる日本市場の可能性について解説する。

Q. 日米貿易交渉の現状と今後の見通しは?
日米交渉は現在非常に興味深い段階にある。当初は国家ファンドなど大規模な協力関係構築に期待があったが、現実的には関税戦略が中心になってきた。米国側の基本的なスタンスは「米国国民の減税財源を外国からの関税で調達する」というシンプルなもので、そのため「関税ゼロは不可能」という強固な立場を取っている。
現在、米国は日本車に25%の関税を課すとしており、8月1日までの期限延長がされている状況だ。この関税率をなんとか10〜15%程度まで下げられないか交渉が続いている。

日本側の硬直的な姿勢も問題になっている。特に米の輸入拡大に関して、日本の政治家は余裕を持って対応できていない。トランプ大統領は「形だけでも何かできないのか」と困惑している様子だ。
Q. 日米関係はどのように変化したと見るべきか?
戦後の日米関係において大きな分岐点が訪れている。これまでも日本はプラザ合意やニクソンショックなど様々な圧力を受けてきたが、それでも「日本国民の豊かさ」や「輸入拡大」など、日本側にもメリットがあるような交渉が行われてきた。
しかし現在の関係は完全に「アメリカファースト、アメリカオンリー」の帝国主義的なものに変質している。日本の政治家や国民のためではなく、純粋にアメリカの利益だけを追求する姿勢が鮮明になっている。
日本と米国の「特別な関係」は、少なくとも経済面では崩壊したと言わざるを得ない。防衛面では協力関係が続いているものの、経済においては完全に「アメリカファースト」が優先されている。
Q. 交渉の障害となっている要因は何か?
交渉がスムーズに進まない大きな要因として、日本側の官僚の硬直的な姿勢が挙げられる。日本の官僚は真面目で信頼できる合意を求めるが、ホワイトハウスはより「遊び」的な外交を展開している。
例えば、韓国とのスターゲート(国際宇宙ステーション計画)は、具体的な内容やガバナンスが決まっていないにもかかわらず、トランプ大統領はツイッターなどSNSで大々的に発表して喜んでいる。このような「遊びの外交」と、細部まで詰めたい日本の官僚体制との間に大きなギャップがある。
また政治的なリーダーシップの問題もある。現在の日本政府には決断力を持つリーダーが不足している。政治決断ができる人物がいなければ、いくら官僚が細部を詰めても最終的な合意に至ることは難しい。
Q. 参議院選挙後の日米関係はどうなるか?
7月20日の参議院選挙の結果如何では、日本の政治状況がさらに複雑になる可能性がある。仮に自民党が過半数を割れば、新たな連立政権の可能性も出てくる。
しかし、日本の内政問題がどうであれ、トランプ政権は「それは日本の国内問題であって、我々は関係ない」という姿勢だ。アメリカにはデッドラインがあり、それに合わせて日本側が対応するべきだという考え方を持っている。
連立政権になれば決断力がさらに低下する可能性が高い。「ムズムズ、ムズムズ」と何も決められない状況が続けば、トランプ大統領のイライラは募るばかりだろう。彼にとっては「What is Japan?」という不満につながりかねない。
Q. 米国経済と株式市場の現状をどう見るか?
米国経済は依然として非常に強い。インフレ率は昨年の約3.5%から現在は約2.5%に低下し、失業率も低水準を維持している。米国の消費者購買力は日本と違って増加傾向にあり、実質賃金も上昇している。
投資も強い。AI関連だけでなく、オンショアリング(国内回帰)による生産能力拡大などが広範に進んでいる。AI技術の導入も日本より速く、金融機関やコンサルティング会社などのサービス産業でDXが進み、マージンが拡大している。
関税や移民制限などインフレ要因も確かに存在するが、AI導入による生産性向上というデフレ要因も同時に働いている。最近のデータでは、5〜6年間フラットだった米国の生産性が2四半期連続で伸び始めている。

株式市場については、多くのファンドマネージャーが現金比率を歴史的に高い水準で保持している。ウォーレン・バフェットのバークシャー・ハサウェイも約1兆ドルの現金を持っており、プライベートエクイティファンドも同様だ。年末に向けてパフォーマンスのキャッチアップのため、この現金が市場に流れてくる可能性が高い。
Q. 米国の債務問題は深刻化しないのか?
米国の債務増加を懸念する声があるが、実際にはそれほど心配する必要はない。元FRB議長のベン・バーナンキが指摘するように、「債務より貯蓄」が重要だ。米国では1ドルの政府借金に対して、民間部門に1.8ドルの貯蓄がある。
また、米国債の利回りの高さは、依然として米国への信認が高いことを示している。特に実質金利(名目金利からインフレ率を引いたもの)で見ると、米国は世界で最も高い水準にある。日本ではインフレ率が3.7%なのに対して金利は低く、実質金利はマイナスとなっている。
このような状況から、米ドルが大幅に弱くなる可能性は低い。対円でも、1年前の約155円から現在は145円程度と円高になったものの、大幅な変動には至っていない。
Q. 日本市場の魅力と投資戦略は?
世界の投資家の間で、日本は現在最も注目される市場の一つになっている。バリュエーション(PER、PBRなど)で見て割安感があり、中長期的な投資対象として魅力的だ。

特に注目すべきは、日本企業の経営陣の変化だ。3〜5年前までは未来について語ろうとしない経営者が多かったが、現在は設備投資や人材投資について積極的に語り、企業のメタボリズム(代謝)や野心が顕著になってきている。
海外の機関投資家も、短期的なトレーディング目的ではなく、5年、10年という長期視点で日本市場に注目している。特に中東の国家ファンドなど大型の機関投資家が日本企業への投資を検討している。
注目セクターとしては、①金融(低金利からの脱却による恩恵)、②防衛(世界的な成長産業)、③コンテンツ・メディア(日本のアニメや漫画など)が挙げられる。特に中小型株は改善の余地が大きく、経営者のやる気も見られる。
日経平均については、2年以内に5万5,000円に到達する可能性が高い。これは日本企業の業績が2年間で30%伸びるという予測に基づいている。関税問題などで一時的に下落する可能性はあるが、関税の影響は自動車メーカーなど一部の企業に限定され、日本企業全体への影響は限定的だ。