PIVOT TALK BUSINESS
【2025年・新型コロナ最新情報】ウイルスの変化と「ワクチンの役割」の変化
(493)
9,038回視聴
2025年7月12日

耳にすることが減った「新型コロナ」関連の情報。流行状況やワクチン、後遺症の考え方は現在どのようになっているのか?感染症専門医の忽那賢志氏に、2025年の新型コロナウイルスの最新事情を聞いた。 <ゲスト> 忽那賢志|感染症専門医 国立国際医療研究センターを経て、2021年7月より大阪大学医学部感染制...
2025年の新型コロナ最新情報:専門家が解説する現状とワクチンの役割の変化
パンデミックからの歳月を経て、新型コロナウイルスの状況は大きく変化しました。
最新の感染状況から症状の変化、ワクチンの役割の変化まで、感染症専門医の忽那賢志氏に詳しく聞きました。

Q. 新型コロナの現在の感染状況はどうなっていますか?
感染状況を示す指標は5類感染症への移行後に変更されました。
以前は1人1人を正確にカウントしていましたが、現在は各都道府県の指定病院で1週間に診断された患者数を報告する形式になっています。
厚生労働省が公表している感染者推移のグラフを見ると、5類感染症になってから4つの大きな波がありましたが、
ピークの高さは徐々に小さくなってきている傾向があります。これは患者数が減少していることを示しています。
ただし、注意点として、「熱や風邪の症状があってもコロナかもしれないけど、重症化しないから検査しなくてもいい」と考える人も一定数いるため、
そういった人々は統計に含まれていません。実際の感染者総数はグラフよりも多い可能性があります。
Q. 今後の感染傾向はどのように予測されていますか?
ここ数週間では再び増加傾向が見られます。
夏の流行を迎えるにあたって、例年通り沖縄から増え始め、そこから九州、本州へと波及していくことが予想されます。
このパターンが生じる理由としては、気温の影響が考えられます。
沖縄は気温が高く、早くからエアコンを使用し始めることで換気が悪くなりやすいという要因があります。

長期的に見れば、コロナは比較的新しい感染症であるため、現在は年に複数回の流行を起こしていますが、
将来的には私たちの免疫状態との関係で、インフルエンザのように年1回の流行パターンに変化していく可能性もあります。
Q. 変異株の状況はどうなっていますか?
現在の主流は「オミクロン株」の派生型です。
東京都の調査によると、最近は「NB.1.8.1」という変異株が増加しており、6月の調査では75%程度を占めています。
この変異株は中国や台湾で大きな流行を引き起こし、アメリカでも増加傾向にあります。
一方で、今年の秋冬シーズンに向けて開発されているワクチンは「LP.8.1」という別の変異株を対象としています。
ただし、両者はともにオミクロン株から派生したものであり、それほど大きく性質が異なるわけではないため、
LP.8.1向けのワクチンでもNB.1.8.1に対して一定の効果が期待できます。
Q. コロナの症状は当初と比べてどう変わりましたか?
症状にも大きな変化が見られます。
流行初期には特徴的だった「嗅覚・味覚異常」を訴える患者は現在では少なくなっています。
現在の典型的な症状は「発熱、鼻水、喉の痛み、咳」といったものであり、インフルエンザとほとんど区別がつかない状態です。
医師が診察しても、検査なしでコロナかインフルエンザかを判断することは困難になっています。
また、重症化する割合も大きく減少しました。初期には感染者の5%が亡くなるという時期もありましたが、
現在は1%をはるかに下回り、0.1%以下という水準になっています。
重症化するのは主に高齢者に限られるようになり、働き盛りの世代が重症化するケースは減少しています。
Q. ワクチンの役割はどのように変化していますか?
ワクチンの役割も大きく変わりました。オミクロン株が出現する前は、「感染を防ぐ効果」と「重症化を防ぐ効果」の両方が高く、
デルタ株の流行後には3ヶ月ほど感染者がほとんど出ないという時期もありました。
しかし、オミクロン株の出現によって状況が一変しました。
ワクチン接種者も感染するようになり、特に最後の接種から時間が経つと感染予防効果は大幅に低下します。
そのため、現在のワクチンの主な役割は「重症化の予防」に変わってきています。

現在推奨されているのは、重症化リスクの高い高齢者や基礎疾患のある人(呼吸器疾患で在宅酸素療法を行っている人や、血糖コントロールの悪い糖尿病患者など)がワクチンを接種することです。一方、若く健康な人にとっては、以前と比べるとワクチン接種のメリットは相対的に減少しています。
Q. 正しい情報が伝わっていないと感じることはありますか?
ウイルスの性質やワクチンの役割が時間とともに変化していることが、十分に伝わっていないと感じます。
流行初期には病原性が高く、若い健康な人もワクチンを接種して感染を防ぐべきという状況でした。
しかし現在は、重症化予防を主目的とするワクチンへと役割が変わってきています。こうした変化が正確に伝わっていないことがあります。
パンデミックは社会に大きな影響を与え、リアルタイムに科学的データが蓄積されていく中で経験したものです。
専門家も当初からすべてを予測できたわけではなく、その時々のデータを解釈しながら判断を更新してきました。
この変化のプロセスをリアルタイムに伝えることが難しかったのかもしれません。
Q. 他に知っておくべき重要なことはありますか?
コロナは重症化率が下がったとはいえ、後遺症に悩む人も多く存在します。
若い人は重症化しにくいとはいえ、「感染してもいい」という感染症ではないことを理解すべきです。

流行時には人混みを避ける、マスクを着用するなど、感染予防のための基本的な対策は引き続き重要です。
また、全く新しい変異株が出現して大きな流行が再び起こる可能性も念頭に置いておく必要があります。
状況に応じたメリハリのある感染対策が大切です。