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【日本企業 覚醒の3ステップ】変わる企業の見極め方【UBS証券・守屋のぞみ】
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2025年7月7日

EXIT・りんたろー。と国山ハセンが株・保険・住宅など資産運用にまつわるスキルセットを学ぶ。今回は海外投資家からも注目される日本株。失われた30年から目覚める覚醒の3ステップとは。守屋のぞみ氏にこれからの日本市場について聞いた。 <ゲスト> 守屋のぞみ(UBS証券 調査本部・株式ストラテジスト/日...
日本企業が「目覚める」3つのステップ - 株主還元、事業再編、成長投資
日本株が久々に活況を呈している。しかし「株価が上がり始めたから乗り遅れた」と思っていないだろうか?UBSの守屋のぞみ氏は「いよいよこれからが本番」と言う。日本企業はどう変わり、どこに投資機会があるのか。目の付け所を徹底解説する。

Q. 日本企業は今どのような変化が起きているのでしょうか?
日本企業は「目覚め」の段階にあります。過去30年のデフレで企業も個人も「キャッシュイズキング(現金が最強)」という考え方が染み付いていましたが、インフレに移行するにつれて、その意識が変わり始めています。

この「目覚め」のプロセスは3つのステップで進行しています。まず第一に「株主還元」、第二に「事業再編」、そして第三に「成長投資」です。
現在、多くの企業は株主還元のステージに入り、一部の先進的な企業は事業再編まで進んでいます。これからは成長投資も加速していくでしょう。これら3つのステップが本格化することで、日本株は更なる上昇余地があると考えています。
Q. 株主還元とは具体的にどのようなことですか?
株主還元とは、企業が貯め込んでいた資金を株主に還元することです。日本企業は長年のデフレ経済で「キャッシュイズキング」という考え方から現金を貯め込む傾向にありました。しかし現在、インフレに転じたことで、お金を持っているだけでは価値が目減りするため、その資金を有効活用する動きが出てきています。
特に顕著なのが自社株買いです。2023年度は企業による自社株買いが10兆円規模に達し、過去最高を記録しました。企業が自社の株式を買い戻すことで株価を支える効果があります。
例えば、日本株は従来PBR(株価純資産倍率)1倍割れが多かったのですが、自社株買いなどの株主還元策によって資本効率が上がり、PBRが1倍を超える企業も増えてきました。株主還元は引き続き企業の重要なアジェンダとなっていくでしょう。
Q. 事業再編のステップとは何でしょうか?
事業再編とは、企業が持っている多角的な事業を整理し、コア事業に集中することです。日本企業は様々な事業を抱えすぎているケースが多く、これを整理することで収益性の向上が期待できます。

例えば、親子上場(親会社と子会社が共に上場している状態)の解消や関係会社の整理などが進んでいます。事業再編に取り組んだ企業としては日立製作所が代表例で、コア事業の完全子会社化と非コア事業の売却を10年かけて進めてきました。半導体関連の子会社だった日立国際電気(現・国際電気)を売却して再上場させるなど、大胆な再編を行いました。
また、総合商社も事業再編を積極的に進めています。伊藤忠商事はファミリーマートを完全子会社化し、三菱商事はローソンをKDDIと共同保有する形に移行しました。このように、各社が独自の戦略で事業ポートフォリオの見直しを行っています。
Q. 成長投資はどのような分野に向かうのでしょうか?
成長投資は、株主還元と事業再編で整理した資金と事業を活用して、将来の成長のために投資することです。具体的には以下のような分野が注目されています。
1. 地政学的変化を踏まえたサプライチェーンの再構築
2. デジタル化・AI導入の加速
3. 少子高齢化に対応した商品・サービスの開発
特に日本企業はデジタル化やAI導入で遅れをとっている面があるため、この分野への投資が活発化すると予想されます。また、既存の強みを活かした分野でのM&Aによるシェア拡大も重要な成長投資の形です。
必ずしも全く新しい技術革新を起こす必要はなく、既存技術の組み合わせや、現在の強みをさらに伸ばすための投資も有効です。企業がコア事業を明確にして、そこに集中投資することで競争力を高めることが重要です。
Q. どのセクターに投資機会がありますか?
現在特に注目しているのは日本の内需セクターです。賃金上昇により消費が良くなることが期待される食品業界や飲料業界、不動産価格の上昇が続いている不動産セクター、そして日本のデジタル化を牽引するITサービスセクターが有望です。
具体的には、スーパーやドラッグストアなどの小売業、大手デベロッパーなどの不動産会社、そしてNECや富士通などのITサービス企業が挙げられます。特に食品・小売業界では事業再編も進んでおり、強い企業がさらに規模を拡大する動きも見られます。
また、米国株の調整時にも影響を受けにくいセクターとして内需関連は魅力的です。トランプ政権2.0による不確実性も考慮すると、国内需要に支えられるセクターから銘柄を探すことも一つの戦略です。
Q. 投資先を選ぶ際のポイントは何ですか?
銘柄選択のポイントは主に3つあります。
1. 内的な変化:経営者が危機感を持っているか、世代交代が進んでいるか
2. 外的な変化:アクティビスト(物言う株主)の存在や社外取締役の影響力
3. バリュエーション:PBR(株価純資産倍率)とROE(自己資本利益率)のバランス
特にPBRとROEのバランスは重要で、ROEが高い企業はPBRが高くても割高とは言えません。例えば、ROEが10%ある企業がPBR1倍で取引されているなら、それは割安と考えられます。
また、企業の変化を見極める上で、経営者の姿勢も重要です。赤字に陥って危機感から変革を起こした日立のような例もあります。世代交代も注目点で、40〜50代の経営者は「失われた30年」に引きずられない新しい視点を持っていることがあります。
さらに、アクティビスト(物言う株主)の存在も企業変革のきっかけになります。日本でもアクティビストファンドの活動が活発化し、株主提案が増えるなど、株主の声が届きやすくなっています。
Q. 日本株への投資はもう遅くないでしょうか?
決して遅くありません。むしろこれからが本番です。確かに日経平均やTOPIXは上昇してきましたが、企業の変革はまだ始まったばかりです。
株主還元だけでなく、事業再編や成長投資までの3ステップ全てを完了した企業はまだ少数です。事業をどう整理するか、どこに投資するかといった判断には時間がかかるため、企業の「目覚め」はこれから本格化します。

2023年の初めから始まった変化から約3年目に入り、いよいよ時間のかかるアクションが動き出す局面です。したがって、より長い時間軸で見れば、日本株はまだまだ楽しみだと考えています。
個別銘柄では、大企業にこそ改善の余地が大きいケースが多いです。過去にお金を貯め込みすぎていたり、事業を手広く展開しすぎていたりする大企業が、これから変革を進めることで大きなリターンが期待できるでしょう。
タイミングについては、米国株の調整や関税問題など不確実性もあるので、急ぐ必要はありませんが、企業の「目覚め」に注目しながら投資機会を探すことをお勧めします。