PIVOT TALK BUSINESS
収入を上げるカギは、外見、学閥、愛嬌
(410)
8,528回視聴
2025年7月7日

人口ボリュームの大きい、1970〜1980年代生まれの氷河期世代。その影響力がます中で、どうすれば氷河期世代は逆襲することができるのか?その3つのステップについて、ブルー・マーリン・パートナーズ代表の山口揚平氏に聞いた。
価値経済から関係経済へ - 氷河期世代が考えるべき日本の未来像
現代社会は大きな転換点を迎えている。かつての「価値経済」から「関係経済」へのシフトが進み、私たちの働き方や生き方も変わりつつある。ブルー・マーリン・パートナーズ代表の山口揚平氏は、特に氷河期世代が直面している課題と今後の展望について、独自の視点から解説している。

Q. 価値経済から関係経済へのシフトとは何ですか?
価値経済とは、生み出す価値の量によって収入が増える経済モデルのことです。労働力、能力、スキル、学歴などに応じて報酬が決まるという考え方でした。
しかし現在は関係経済(ピア経済)へとシフトしています。これは中心に大きな権力と権威、そして莫大な資金を持つ「ハブ」となる人物や企業が存在し、そことの距離や関係の強さによって収入や所得が決まる構造です。
関係経済では、求められる要素も変わります。外見、学閥(学歴ではなく)、愛嬌といった要素が重視されるようになっています。例えば韓国では既にこうした傾向が強く、学閥や財閥との関係が重視される社会となっています。

Q. 現代社会において職業の社会的価値と年収は比例していますか?
現代社会では、社会的価値と年収は必ずしも比例せず、むしろ逆相関している場合も少なくありません。これは「貨幣経済の罠」と呼ばれる現象です。社会に役立つ仕事ほど金銭的な報酬が少ないという矛盾が生じています。
例えば、広告会社の役員などは社会的な価値が低いと評価される傾向があります。これは広告が必要以上の消費を促進し、本来必要な量の500%程度の消費を社会に強いているという批判に基づいています。同様に、SNSプラットフォームの創業者なども、精神衛生に悪影響を与えるコンテンツや広告を拡散しているという理由で批判されることがあります。
Q. 所得格差はどのように変化していますか?
現代では、富の分配が極めて不均等になっています。かつてはアダム・スミスの理論のように、ちゃんと働けばちゃんと収入が得られるという世界観がありましたが、現在はそうではなくなっています。
実際には、人口の0.01%が99.9%の富を持つような極端な格差社会になりつつあります。特にAI時代の到来により、この傾向はさらに加速すると予想されます。2027年頃までには多くの仕事、特にホワイトカラー職が不要になる可能性があります。AI技術による計算機能、効率化、合理化、生産、イノベーション創造などの分野では、人間の出番が急速に減少しているのです。

Q. これからの時代、人々はどのように生きていくことになりますか?
今後は多くの人が「誰かに食わしてもらう」関係経済の中で生きていくことになるでしょう。お金はベーシックインカム化していくと考えられます。実際、現在でも多くの人が政府や大企業から何らかの形で給与や支援を受けています。
ただし、この状況ではアイデンティティの問題が重要になります。介護や農業などのエッセンシャルワークは引き続き必要ですが、それ以外の多くの仕事は再定義が必要になるでしょう。
歴史的に見ると、この状況は新しいものではありません。かつての中国の百子や、武家社会での殿様を中心とした関係性など、似たような社会構造は過去にも存在しました。ただし現代では、より意識的な選択が求められます。「誰と繋がるか」「誰に媚びを売るか」という観点が重要になります。

Q. 日本の税負担はどのような構造になっていますか?
日本の税負担構造を見ると、上位0.1%が税金全体の10%を負担し、上位10%が55%を負担しています。上位20%で見るとほぼ70%の税金を担っており、下位50%の人々は全体の12%程度しか負担していません。アメリカではこの傾向がさらに顕著です。
このような状況では、最も税金を払っている富裕層が国外に流出する懸念があります。富裕層に対しては単に税金を徴収するだけでなく、寄付などの社会貢献に対して適切な敬意を示す仕組みが必要です。アメリカでは寄付文化が根付いており、富裕層が社会に還元するインセンティブが整っています。日本でもそのような文化を育てる必要があるでしょう。

Q. 国家のあるべき構造とは何でしょうか?
国家の構造は大きく分けて、思想・文化の基盤の上にシステム(産業、法律、物流など)が乗り、さらにその上にビジョン(国家の目的、向かう先)が位置するという三層構造になっています。
例えば、アメリカは自由と平等、貨幣と契約、キリスト教博愛を基盤に構築された人工国家です。イギリスは権威と権力、資本の集中投資、階級内補助を特徴としています。一方、日本は濾過・発酵文化、相互補助、八百万の精神を持っています。
しかし現在、多くの国でこの構造が揺らいでいます。アメリカでは機会の平等まで揺らぎ、エリート校への入学に多額の資金が必要になるなど、実質的な階級社会化が進んでいます。また、セーフティネットだったキリスト教の影響力も低下しています。

Q. 氷河期世代が今後取り組むべき課題は何ですか?
氷河期世代が取り組むべき最も重要な課題は、日本のあるべき姿、ビジョンを再構築することです。現在の日本は「空っぽな産業国家」とも表現され、明確な国家的ビジョンが欠如しています。
日本の歴史を振り返ると、江戸時代には「天下泰平」というビジョンがありましたが、その後は不平等条約への対応や経済大国化など、主に外圧に対応するための目標が中心でした。
今、必要なのは日本の根本的な思想の根底を見つめ直し、国民的な議論を通じて新たなビジョンを構築することです。特に日本の特徴である「八百万の神」の考え方や、物事を濾過・発酵させて発展させる文化など、日本固有の価値観を再評価する必要があります。
氷河期世代は、AIという新時代を生きる最初の世代として、単なる生産性や合理性ではなく、人間としての「濃さ」や「濃度」を発揮できる社会を構築する役割を担っているのです。