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【覚醒する日本株】失われた30年からの目覚め【UBS証券・守屋のぞみ】
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2025年6月30日

EXIT・りんたろー。と国山ハセンが株・保険・住宅など資産運用にまつわるスキルセットを学ぶ。今回は海外投資家からも注目される日本株。失われた30年から目覚める覚醒の3ステップとは。守屋のぞみ氏にこれからの日本市場について聞いた。 <ゲスト> 守屋のぞみ(UBS証券 調査本部・株式ストラテジスト/日...
日本株は"覚醒"する!専門家に聞く、過去30年とは違う「本格上昇」のシナリオ
「失われた30年」の呪縛から解き放たれようとしている日本企業。2023年に日経平均が4万円台を記録するなど、日本株式市場には久しぶりに活気が戻りつつある。しかし、「本当に上がるの?」「海外株と比べて魅力はあるの?」と疑問を抱える人も多いだろう。
今回はUBS証券の日本株ストラテジスト・守屋のぞみ氏に、日本株のポテンシャルについて詳しく聞いた。東大経済学部卒業後、20年以上の企業分析経験を持つ守屋氏が語る「覚醒する日本企業」の可能性とは。

Q. 日本株は本当に上昇する可能性があるのでしょうか?
長い目で見れば、間違いなく上昇する可能性があります。私がUBS証券に入社した2002年当時は日経平均が8,000円を割れる時代でした。それと比較すると、昨年4万円を超えた変化は非常に大きいものです。
特に重要なのは、日本経済が「失われた30年」から目覚めつつある点です。近年、賃金と消費者物価指数(CPI)がともに2%を超える状態が続いていますが、これは30年以上ぶりの状況です。

一つの象徴的な出来事として、2022年秋冬にユニクロがフリースを1,990円に値上げし、同時に従業員の賃金も引き上げると発表したことが挙げられます。ユニクロはこれまで「いいものをいかに安く売るか」というデフレ時代の象徴的企業でしたが、この動きは日本企業の意識変化を象徴していると感じました。
Q. 企業の意識はどのように変化しているのでしょうか?
まず、企業のインフレ期待が2022年頃から大きく上昇し、2.5%を超える水準で定着しています。これは単なる円安や一時的なコスト上昇ではなく、日本社会が人手不足の中で賃金上昇が避けられないという認識の表れです。
その背景には「コーポレートガバナンス改革」があります。これは企業統治のあり方を見直し、株主価値を高める経営を促す取り組みです。アメリカでは1970年代から、ドイツでは90年代から進められ、企業価値向上につながってきました。

日本でも2023年3月に東京証券取引所が上場企業に対して「資本コストや株価を意識した経営」を要請しました。これがいわゆる「PBR1倍割れ問題」として話題になりました。PBR(株価純資産倍率)が1倍を割るということは、企業が持つ現金や資産の価値よりも、市場での評価が低いことを意味します。
東証は企業に対し、バランスシートの効率化や経営資源の適切な配分、中長期的な戦略の明確な説明など、10のポイントを示しました。これによって企業は内部留保の使い方や投資戦略を見直すようになっています。
Q. 日本企業が「覚醒」するために必要なステップとは何ですか?
覚醒のプロセスには3つの重要なステップがあります。
1. 株主還元: 溜め込み過ぎた内部留保を株主に返す
2. 事業再編: 収益性の低い事業の整理や政策保有株(持ち合い株)の解消、グループ再編など
3. 成長投資: 整理した資金で収益性の高い事業に集中投資する
まず、株主還元については、自社株買いが活発化しています。トピックス500の企業のうち3割以上が自社株買いの追加枠を発表しており、中には任天堂のように5,000億円規模で設定する企業も出てきています。
次に事業再編では、トヨタグループが関連会社を非公開化するなどの動きが見られます。日本企業は長年、様々な事業を手広く展開するコングロマリット(複合企業)形態や、企業同士の株式持ち合いが特徴でしたが、これらを見直す動きが出てきています。
持ち合い株については、ビジネス上の明確な価値がない場合は非効率です。昔からの関係で「なんとなく」株を持ち合い、株主総会で賛成票を入れ合うような慣行は、現代のガバナンスからは問題視されています。
こうした再編を経て、最後に成長が見込める事業に集中投資することで、企業価値と株価の上昇につながります。
Q. 日本株の買い手はどのように変化していますか?
興味深いのは、日本株の主要な買い手が変化していることです。最近では事業法人(主に自社株買い)が大きな買い手となっており、海外投資家とともに市場を牽引しています。

一方で個人投資家の買いはまだ本格化していません。日本の家計金融資産は約2,200兆円もありますが、その半分以上の1,100兆円が現預金のままです。この資金が株式市場に流れ出せば、大きなうねりになる可能性があります。
海外の機関投資家も日本の個人投資家の動向を「NISA」や「シュント(個人投資家の資金流入)」といった言葉とともに注目しています。
Q. 日本株投資を考える上でのポイントは?
世界的に不確実性が高まる中、これまでのようなアメリカ株一極集中ではなく、分散投資の観点から日本株を見直す動きが出ています。
日本企業は長年の内部留保によってバランスシートが比較的強く、自社株買いを実施できるだけの余力があります。また、ガバナンス改革によって企業価値向上への取り組みが進んでいることも評価されています。
ただし、企業によって「覚醒」の度合いは異なります。株主還元、事業再編、成長投資という3つのステップをしっかり進められる企業を見極めることが重要です。また、家計のインフレ期待はまだ企業ほど高まっていないため、社会全体の変化には時間がかかるかもしれません。
それでも、30年間続いたデフレからの転換点に立っている今、日本株の食わず嫌いを直して、その可能性に目を向けてみる価値は十分にあるでしょう。