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資産を取り崩すルール/定額ではなく定率/年金のお得な受け取り方/100歳まで安心【野尻哲史×菱田雅生】
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2025年6月25日

株・保険・住宅など資産運用にまつわるスキルセットを一流のプロの講義を受けて学ぶMONEY SKILL SETの応用編。今回は「100歳まで安心の資産戦略」をフィンウェル研究所代表の野尻哲史さんと正直FPの菱田雅生さん解説。後編では、老後資産の取り崩し方を教える。 <ゲスト> 野尻哲史(フィンウェル...
「60代以降の資産運用術:公的年金の受け取り方から資産取り崩しのコツまで」
退職後の資産運用について知りたい人は多いだろう。65歳を過ぎても資産を効率的に運用しながら取り崩すにはどうすればいいのか?公的年金はいつから受け取るのが得なのか?このQ&A形式の記事では、資産運用のプロたちの知恵を集約し、老後の資金計画を立てるヒントを提供する。

Q. 公的年金は早く受け取るべき?遅らせるべき?
公的年金は受け取り開始時期を選べる。繰り上げて受け取ると1ヶ月あたり0.4%減額され、最大で60歳から受け取る場合、24%減額された年金を一生受け取ることになる。一方、繰り下げると1ヶ月あたり0.7%増額される。
数字だけで考えると、長生きする可能性が高い人は繰り下げた方が得で、長生きしない可能性が高い人は繰り上げた方が得になる。これは損益分岐点という考え方で説明できる。繰り上げて60歳から受け取る場合と65歳から受け取る場合で考えると、80歳8ヶ月を超えて生きると65歳から受け取った方が生涯で受け取る総額が多くなる。
Q. 年金を繰り上げて受け取り、その資金を運用する選択肢はあるの?
興味深い選択肢として、年金を繰り上げて受け取り、そのお金を運用する方法がある。例えば60歳から年金を繰り上げて受け取り(24%減額)、それを毎年3%で運用しながら70歳まで積み立て、70歳以降も3%で運用しながら取り崩していく場合を考える。

この場合、80歳時点での使えるお金の総額は約3721万円になる計算だ。これは70歳から繰り下げて受給した場合の80歳までの受け取り総額約2955万円を上回る。つまり、運用できる人は年金を繰り上げて受け取り、それを運用するという選択肢も考えられる。
ただし、この方法は運用リスクを取れる人向け。一般的には、健康で働ける間は働いて収入を得て、年金受給を遅らせる方が安全だ。年金は一生受け取れるものなので、受け取りを遅らせて増額された年金を受け取る方が多くの人には安心感がある。
Q. 資産を取り崩す際の注意点は?
取り崩し方に注意しないと、想定以上に資産が減少する場合がある。例えば、1000万円の資産があり、1年目が+10%、2年目が-5%の運用成績だった場合と、1年目が-5%、2年目が+10%の運用成績だった場合を比較してみよう。
両方とも2年間で4.5%のリターン(年率約2.23%)になるが、毎年一定額を取り崩す場合、後者の方が最終的な残高は少なくなる。これは、運用成績が悪い時に資産が減った状態で一定額を引き出すと、元本がより小さくなり、その後の回復力が弱まるためだ。
Q. では、どのように資産を取り崩すべきか?
取り崩す際は「率」を意識するのがポイント。固定金額ではなく、資産の一定割合(パーセンテージ)で取り崩すことで、運用成績に左右されにくくなる。例えば、資産の4%程度を毎年取り崩すという方法が一つの目安になる。
また、定期的に資産状況を見直すこともある。実際には、退職金や確定拠出年金を一時金で受け取ると現金比率が一気に上がるため、まずは預金から取り崩して生活費に充て、その間に投資資産は運用を続けるという方法も有効だ。この方法なら全体の資産バランスを保ちつつ、計画的に取り崩せる。
Q. 高齢者の資産はどのように使われるべきか?
日本は超高齢社会で、亡くなる方の72%が80歳以上、その資産を受け継ぐ方の52%が60歳以上という状況にある。いわゆる「老老相続」で、高齢者から高齢者へ毎年約50兆円ものお金が移動している。

この状況は日本経済にとって課題だ。若い世代が減少する中、高齢者が消費にもっとお金を使うことが経済を支える一つの方法になる。例えば、高齢者が持つ約2000兆円の資産のうち、わずか0.25%(5兆円)を消費に回すだけでGDPが1%程度上昇する計算になる。
Q. どうすれば安心して資産を使えるようになるか?
まず、将来いくら必要かを明確にすること。100歳まで生きたとして必要な金額を逆算し、それを超える部分は積極的に使う計画を立てる。
年齢を重ねるとお金で得られる価値が変わってくる。健康で活動的な間にお金を使って経験を積むことの価値は大きい。旅行や趣味、健康維持のための「前向きな医療費」などに使うことで、豊かな老後を過ごせる。
また、定期的に資産状況を見直す「個人版財政検証」を5年に1回程度行うと良い。状況に応じて計画を調整しながら、安心して資産を活用できるようになる。
Q. 資産の定期的な収入源を確保する方法は?
確定拠出年金(DC)を一時金ではなく分割して受け取る選択肢も検討すべきだ。9割の人が一時金で受け取っているが、定期的に収入が入ってくる安心感は大きい。

また、投資信託などで運用する場合も、奇数月に売却する方法や、配当金・債券の利息など定期的に収入が入る仕組みを作ることで、使いやすくなる。「今月入ってきたお金は今月中に使う」という明確なルールができると安心して使える。
さらに、定率で資産を取り崩す場合、月々の受取額が変動するため、これを余暇費用に充てるなど柔軟に使い分けるといい。生活費は年金や確定的な収入で賄い、変動する収入は「お楽しみ資金」として活用する発想だ。
Q. 資産の地域間移動も考慮すべき?
資産の問題は個人だけでなく、地域経済にも影響する。相続や贈与によって、地方から都会へお金が流れる傾向がある。地方に住む高齢者の資産が都会に住む子どもたちに相続されると、地方の資金が都市部に集中してしまう。
高齢者が地元で資産を使うことは、地域経済への貢献にもつながる。社会全体のためにも、資産を貯め込むのではなく、適切に使っていく意識が重要だ。