マネー新常識
ゼロ活のすすめ「相続なき遺産金は1000億円超え」【井戸美枝】
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2025年6月23日

三田友梨佳と後藤達也がタッグを組み投資だけでなく「教育」「老後」などライフスタイルに密接する正しいお金の知識を専門家が提唱する「新常識」を基に学んでいく。今回のテーマは「老後資金」。老後2000万円問題は本当に必要なのか?1級FPの井戸美枝氏が明日から使える計算式などを伝授 <ゲスト> 井戸美枝(...
老後のお金の不安を吹き飛ばす「ゼロ活」のすすめ
ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんが提案する「ゼロ活」とは、お金を溜め込むだけでなく、計画的に使いながら最終的に資産を"ゼロ"に近づける生き方。老後の不安を解消するための具体的な方法や考え方を聞いた。

Q. 豊かな老後を送るためにはいくらくらいのお金が必要ですか?
人によって必要額は異なりますが、最低限として1,000万円くらいは準備しておくと安心です。公的年金に加えて、これくらいあれば基本的な生活はカバーできます。ただし、有料老人ホームなどの施設に入る場合は、もっと多くの資金が必要になります。
お金の準備は大切ですが、それ以上に大事なのは健康です。健康でいられれば医療費もかかりませんし、何より生活の質が変わります。お金と健康、この両方をしっかり意識して老後に備えましょう。
Q. 「ゼロ活」とは何ですか?
「ゼロ活」とは、最終的に資産をゼロに近づけていく生き方です。お金を貯めるだけでなく、計画的に使っていくという考え方です。2023年時点で、相続する人がいなくて国に行ってしまった遺産が1,015億円もあります。一生懸命働いて稼いだお金を使わずに国に渡すのは悲しいことです。
お金は生きた証でもあります。貯めるだけでなく、いつどのように使うかというタイミングも大切です。結果的に資産がゼロに近づくように、計画的に使っていく生き方を考えましょう。
Q. 「ゼロ活」を実践するために具体的にやるべきことは?
家計版のPL表(損益計算書)とBS(貸借対照表)を作ることが大切です。まず、何にいくらお金を使っているのかを把握し、貯蓄率を高めましょう。
PL表では、手取り収入のうち何パーセントを貯蓄しているかを計算します。子どもの教育費がかかる時期は5%の貯蓄でも大変ですが、教育費の負担が減れば20〜25%まで貯蓄率を上げることができます。そして、10年以上先に使う予定のお金はNISAなどの投資信託に回すといいでしょう。
BS表は、資産と負債のバランスを見るものです。現在持っている資産と、住宅ローンなどの借金の残高を把握し、その差額である純資産を計算します。純資産は家計の底力になるので、これをできるだけ早く大きくすることが重要です。
Q. 資産形成について現役世代が意識すべきことは?
余裕資金のうち、10年以内に使う予定のないお金は全て投資に回すべきです。ただし、無理をする必要はなく、月3万円や5万円程度の積立でも構いません。
NISAには積立投資枠と成長投資枠があります。積立投資枠で分散投資を続け、成長投資枠では長期目線でしっかり説明してくれるアクティブファンドをスポットで買うなど、使い分けるのも良い方法です。

現在の経済状況は不確実性が高いため、株式や不動産、日本以外の通貨での資産も持っておくと安心です。ただし、投資は長期的な視点で行うことが大切です。
Q. 豊かな老後を送るために意識すべきことは?
よく「人生100年時代」と言われますが、50代以降も活動的に動けるのは75歳くらいまでが一般的です。そう考えると、50代の人はあと25年しかありません。この限られた時間の中で、やりたいことにチャレンジしていくことが大切です。
また、60代になって子どもが30代、40代になったら、ある程度のお金を早めに渡しておくのも良いでしょう。お金があると選択肢が広がります。住宅資金贈与や教育資金贈与など、非課税で渡せる制度もあります。
お金を使うタイミングも重要です。50代と60代ですべきことは変わってきます。お金を貯めるだけでなく、いつどのように使うかを考えましょう。
Q. 老後の住まいはどう考えるべきですか?
老後の住まいは、お金が最も動く部分の一つです。例えば、有料老人ホームなどの施設に入る場合、一般的に個室は32平米ほどです。そのスペースに合わせて荷物を整理しておくと、引っ越しの際にスムーズです。
戸建てからマンションに移る選択肢もあります。マンションの方が掃除や光熱費の面で効率的に暮らせますし、医療機関へのアクセスも良くなることが多いです。また、近隣の介護施設を見学するなど、将来の暮らしをシミュレーションしやすい環境になります。
持ち家か賃貸かという点では、賃貸だとずっと家賃を払い続けることになり、心理的な圧迫感があります。無理のない範囲で、中古物件でも良いので持ち家を持つことをお勧めします。必ずしも都心である必要はなく、通勤の必要がなくなる老後は少し離れた場所に住むという選択肢もあります。
Q. 老後も働き続けることについてどう考えますか?
できる限り、健康である限り、何かしらの仕事を続けることをお勧めします。65歳以降も働く人は増えています。再雇用される場合、給料は2/3から半分程度に下がりますが、月に8万円程度の収入があれば、趣味や旅行にお金を使えたり、何より「お金が入ってくる」という安心感があります。

また、働くことで人との繋がりも維持できます。若い人から新しいことを教えてもらえる喜びもあります。孤独を防ぐためにも、週に2〜3日程度、ゆるやかに働くことは健康のためにも良いでしょう。
仕事を探す方法としては、ハローワークなどの公的機関もありますが、最も確実なのは人からの紹介です。若いうちから信頼関係を築いておくと、老後になっても困ることはありません。
Q. 保険は老後にどう見直すべきですか?
保険の見直しは50代が適切です。50代になると親としての役目が大体終わっているため、死亡保険の必要性は低くなります。死亡保険は主に、自分が亡くなった場合の子どもの教育費を確保するためのものですが、子どもが独立していればそれほど必要ありません。
また、医療介護用に1,000万円程度の資産があれば、がん保険などに過度に加入する必要もないでしょう。ただし、火災保険や自動車保険などの物に対する保険は十分に加入しておくべきです。保険は何のために入るのかを明確にして、必要なものだけに加入するようにしましょう。
Q. 老後の不安を解消するために今からできることは?
お金の面では、家計のPL表とBS表を作成し、貯蓄率を高めることが大切です。また、住宅ローンがある場合は、状況に応じて早めに返済することも検討しましょう。

人間関係の面では、会社以外の世界でも人との繋がりを作っておくことが重要です。老後になってから人的ネットワークを築くのは難しいので、30代、40代のうちから会社以外の場所でも人間関係を構築しておきましょう。
また、物の整理も大切です。必要以上のものを持たず、心地よい環境で暮らすことが長生きや楽しい生活につながります。
最後に、お金だけでなく自分自身のスキルを高めることも老後に向けて重要です。リスキリングを通じて自分の価値を高めていけば、お金は後からついてくるでしょう。