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【一億総活躍社会で日本を支える】引退年齢は自分で決める時代
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2025年6月24日

「老後2000万円問題」など、将来に不安を感じる人も多い年金。6月に成立した年金制度改革の関連法で何が変わるのか?基礎年金の底上げ、SNSで議論を呼んだ遺族年金の変更点など、改正ポイントを整理。ファイナンシャル・プランナーの山崎俊輔氏が、年金制度の現状と未来を解説する。 <ゲスト> 山崎俊輔|フィ...
「20年前に予想不可能」だった要因で年金制度は救われた?改正法案で読み解く将来の安心感
日本の年金制度が大きく変わろうとしている。数多くの誤解や不安が語られる中、実際のところ制度はどう変化し、私たちの老後はどう変わるのか。財政の専門家が明かす年金の真実とは。

Q. 今回の年金制度改正法案で重要な変更点は何ですか?
年金制度改正法案には、大きく5つの変更点があります。まず、私的年金の拡充として「イデコ2.0」とも呼ばれる新しい制度が導入されます。これまで65歳までだった加入年齢上限が70歳まで引き上げられ、月々の積立上限額も企業年金のない会社員の場合、2万3000円から6万2000円まで拡大されます。
また、厚生年金の適用拡大により、従業員101人以上の企業からパートタイム労働者も加入できるようになります。これによって、より多くの人が将来的に年金を受け取れるようになります。
その他、育児期間中の厚生年金保険料免除制度の拡充や、在職老齢年金制度の見直しも含まれています。これらの変更は年金制度を持続可能にするための重要な調整と言えるでしょう。
Q. 年金制度について、よく「破綻する」と言われていますが、実際はどうなのですか?
年金が破綻するという話は根拠が薄いものです。むしろ、当初の予想と違って厚生年金は安定的な基盤を持っています。年金積立金は過去10年間で急速に増加しており、「2020年代には年金積立金が空になる」といった破綻論の予測は外れました。実際には、アベノミクスの影響で株価が上昇したこともあり、積立金は増え続けています。
特筆すべきは、働く人口が予想外に増えたことです。20年前の厚生労働省の予測では、人口減少と高齢化で社会保険料を納める人は減ると考えられていました。しかし実際には、女性の社会進出が進み、高齢者も予想以上に働き続けているため、厚生年金に加入している人の数は増加しています。
ただし、基礎年金の持続可能性については課題が残されています。厚生年金はかなり安定している一方で、基礎年金の財源確保は次の改正に先送りされている状況です。
Q. 基礎年金の底上げが検討されていますが、厚生年金の加入者の負担は増えるのですか?
基本的に厚生年金保険料は18.3%で固定されているため、負担は変わりません。制度設計としては、負担率を一定にしたまま、給付と負担のバランスを自動的に調整する仕組みになっています。
むしろ注目すべきは、働く人口が予想外に増えているという点です。20年前の予測では人口減少と高齢化で現役世代は減ると考えられていましたが、実際には女性の社会進出が大幅に進み、高齢者も国の予想をはるかに超えて働き続けています。
多くの高齢者が「働くことに楽しさを感じている」と言い、65歳までは働くことが標準になりつつあります。さらに65歳以降も機会があれば働く傾向があり、この「パラダイムシフト」が厚生年金全体の安定性を支えています。
ただし、給付が少しずつ下がる可能性はあります。制度として負担を一定にして、その範囲内で給付を行う設計になっているためです。
Q. 今回の改正法案に盛り込まれなかった項目はありますか?
大きな論点として、「無拠出の基礎年金問題」が先送りされました。基礎年金をどう支えていくかという問題は次の改正に先送りされており、与党としての責任や実現への道筋について議論の余地があります。

また、当初検討されていた国民年金の加入期間延長案も見送られました。現在は20歳から60歳までの40年間加入するシステムですが、これを65歳まで延長して45年間にする案がありました。単純に5年長く払わせるのではなく、保険料を12.5%長く払う代わりに年金額も12.5%増やすという提案でした。
しかし、この案はネット上で「45年も払わせるのか」という批判を受け、年金審議会が次回改正への検討項目としました。実際には加入者にとってメリットのある案だったにもかかわらず、誤解が広がったことで先送りになったという経緯があります。
Q. 日本の年金制度は海外と比べてどうですか?
意外かもしれませんが、日本の年金制度は国際的に見ると比較的良好な状態にあります。まず、日本は世界一健康寿命が長く、平均寿命も世界トップレベルですが、年金受給開始年齢は比較的早い部類に入ります。
例えば、アメリカの年金受給開始年齢は67歳で、これは健康寿命とほぼ同じです。つまり、体が動けなくなる頃から年金が支給される設計になっています。一方、日本では65歳から年金が支給されるため、健康なうちに年金生活を始められる余裕があります。

また、日本の年金積立金は約260兆円と世界トップレベルです。ドイツ、フランス、イギリスなどのG7諸国の多くは、実質的に積立金を持たず、その月に集めた保険料をそのまま年金支給に回す「世代間の支え合い」の仕組みで運営しています。
これらを考えると、日本の年金制度は国際的な観点から見ても十分に持続可能性があり、うまく設計されていると言えるでしょう。
Q. 私たちはこれからの年金制度についてどのような心構えでいればよいですか?
まず、年金は基本的に破綻しないと考えて良いでしょう。ただし、公的年金で賄えるのは日常生活費程度だということを理解しておく必要があります。贅沢な生活のための資金は別途準備する必要があります。
余裕を持った老後生活を望むなら、iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)を活用した資産形成を検討すべきです。会社員として働き続けることで退職金を確保することも重要です。

手元の貯金は長生きすれば使い切る可能性がありますが、公的年金は90歳でも100歳でも、生きている限り支給され続けます。つまり、長生きリスクに対する最大の保険が公的年金なのです。
年金定期便に付属のシミュレーターを活用して、自分の将来受け取れる年金額を確認することも大切です。若い世代は現時点までの納付実績だけを見ると金額が小さく見えますが、シミュレーターでは今後のペースで働き続けた場合の推計額を確認できます。
また、夫婦の場合は二人分の年金を合わせて考えることで、より実態に即した生活設計ができるでしょう。