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【中国人留学生の本音に迫る】手を取り合い共生するために必要なこと
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2025年6月20日

中国国内の締め付けから自由を求めて日本に来日する中国人留学生。なぜ分断は深まるのか。『中国人留学生のリアルに迫る』をテーマに東京大学大学院 准教授の阿古智子氏に聞いた。後編は「留学生の本音」に迫る。 <ゲスト> 阿古智子|東京大学大学院 准教授 1971年大阪府生まれ。大阪外国語大学、名古屋大学大...
中国人留学生が語る「本音と建前」──日本で感じる文化の壁と留学生活のリアル
日本に住む中国人留学生たちは、どのような経験をし、文化の違いに直面しているのだろうか。東京大学大学院の阿古智子准教授とともに、中国からの留学生3名が語る日本での体験や感じている課題、そして将来の展望について紹介する。

Q. 日本での生活で文化的な壁を感じることはありますか?
中国と日本では人間関係の構築方法に大きな違いがある。中国人留学生たちは「建前と本音」の文化に戸惑いを感じている。「日本人の友人とは共感を得ることが難しい時がある」と留学生の一人は語る。中国人や他国からの留学生とは直接的に話せるが、日本人との交流では「建前と本音」の違いに悩むことがあるという。
特に「誘い」の曖昧さに困惑することが多いようだ。「次回一緒に遊ぼう」という言葉が具体的な日程に結びつかないことに戸惑いを感じている留学生もいる。
また、近所づきあいの違いにも言及があった。中国の地方では高齢者とも気軽に会話するのが一般的だが、日本、特に東京ではアパートの住民同士は挨拶程度の関係にとどまることが多い。
Q. どのように日本人との交流を深めていますか?
留学生たちは積極的に日本人との交流機会を作っている。「全学期は日本人の学部生のサークルに入り、日本の学部のサークル文化を体験した」と語る留学生もいる。また、東京大学のグローバルオフィスでチューターを務め、言語交換プログラムを通じて日本人学生と交流を深めている例も紹介された。
彼らは日本での生活に溶け込むために努力を続けている。文化的な障壁を感じながらも、それを乗り越えようとする積極的な姿勢が見られる。
Q. 中国のソーシャルメディアで日本の大学受験に関する情報交換はありますか?
中国では日本の大学受験に関する情報交換が活発に行われている。「本当に頑張って出願書類やリサーチプロポーザルを作成している」と留学生は説明する。こうした情報交換の文化は、中国人学生の日本の大学院への進学率の高さにも関係しているという見方がある。
阿古准教授によれば、「中国の社会は情報交換の社会」だという。メディアの規制もあり、人間関係が密接なため、必要な情報をグループで共有する文化が根付いている。これは大学受験に限らず、中国人が日本に移住してきた際の中学受験情報など、様々な場面で見られる特徴だ。
Q. 留学生受験の不正問題についてどう感じていますか?
日本で話題になった中国人留学生の不正問題について、留学生たちは「悲しい」「がっかりした」と率直に感想を述べている。

中国のSNSでは「いくらで払えば何々大学に進学できる」といった詐欺的な投稿も見られるという。また、試験での不正行為についても「不正をしようとする人はどこでも不正をする」としながらも、「日本では監督が中国ほど厳しくないため、不正がしやすいと考える一部の人がいる」との指摘があった。
ただし、こうした不正行為に対しては中国人留学生たちも批判的であり、大多数の留学生は真面目に勉強していると強調している。
Q. 日本と中国の学習環境や情報アクセスの違いは?
中国では日本に比べて学術情報へのアクセスに制限がある場合がある。「中国にいる時はインターネットの検索で文献が見つからないことがあった」と語る留学生は、日本での学習環境を「便利」と感じている。
阿古准教授は、中国の教育制度についても言及。「中国では不平等な環境がある」とし、特権を持つ人が入試で有利になったり、共産党幹部の子どもたちが飛び級で博士課程に入るといったスキャンダルがあると指摘している。このような環境では「真面目に勉強しても上に行けない」と考える人も出てくるという。
Q. 今後の進路や日本での生活についてどう考えていますか?
3人の留学生全員が「日本に残りたい」と答えた。その理由として「中国よりも弱者に対して優しい社会」という点を挙げる留学生もいる。「中国では障害者が街中で見かけることが少なく、社会システムが整っていない。自分もいつか弱者になる可能性があるので、弱者に優しい社会に住みたい」という考えだ。
具体的には、「日本で就職したい」「博士課程に進学したい」「大学の教員になりたい」など、それぞれが明確な目標を持っている。
阿古准教授によれば、以前は帰国する留学生が半数以上だったが、中国での競争の激化や経済状況の変化により、日本に残る人が増えているという。
Q. 日本社会は外国人受け入れについてどう考えるべきでしょうか?
阿古准教授は「学ぶ環境はいろんな人たちが助け合って作っていくもの」であり、「日本の奨学金だから日本人だけ」という短絡的な考えは不要だと強調する。日本で貢献する外国人もいれば、日本から外に出て国際的に活躍する人材もいるため、グローバルな視点で考えるべきだという。

また、「特定の民族や国籍の人を差別する、それをターゲットに排斥することは絶対にやってはいけない」と述べ、相互理解の重要性を訴えている。
日本の人口減少という現実を踏まえれば、「外国人が入ってくるのは当たり前」であり、「どうやって受け入れていくか」を前向きに考える必要があるという。ただし、「日本で生まれ育った人たちがより優遇されるような部分もあってよい」とのバランス感覚も示している。
Q. 日本の若者へのメッセージはありますか?
最後に阿古准教授は、競争力の重要性を指摘する。「中国の人たちは競争社会で育っているため、日本人が負けてしまうこともある」と述べ、「人を蹴落とすような競争ではなく、多様性を持ち、イノベーションの力をつけ、国際的に活躍できる人材」を育てる必要があると強調している。

また、「自由は当たり前ではない」とし、「自由を守っていくための努力」の重要性も訴えている。外国人との共生という課題は「急務」であり、排除するのではなく、どうやって共に生きていくかを考えることが大切だという。