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【中国人留学生のリアルに迫る】自由を求めて日本へ
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2025年6月19日

中国国内の締め付けから自由を求めて日本に来日する中国人留学生。なぜ分断は深まるのか。『中国人留学生のリアルに迫る』をテーマに東京大学大学院 准教授の阿古智子氏に聞いた。前編は「日本が選ばれる理由」に迫る。 <ゲスト> 阿古智子|東京大学大学院 准教授 1971年大阪府生まれ。大阪外国語大学、名古屋...
中国人留学生はなぜ日本を選ぶのか?留学生3人が語る「リアルな声」
近年、日本の大学で学ぶ中国人留学生が増加している。その背景には何があるのか。東京大学、早稲田大学、慶應義塾大学で学ぶ中国人留学生3名と東京大学大学院准教授の阿古智子氏に話を聞いた。

Q. 日本の大学における中国人留学生の現状は?
中国人留学生の数は過去10年間で倍増している。全体で見ると、大学院に約5万8000人、大学学部に約8万7000人、日本語教育機関にも多くの中国人留学生が在籍している。
東京大学では、中国人留学生は外国人留学生全体の約67%を占め、その多くは大学院生だ。学部生は比較的少ない。一方、私立大学では学部生も多い傾向にある。
阿古准教授によれば、東京大学の中国関係のゼミでは95%ほどが中国本土からの学生だという。「世界人口から見ても中国人は多く、技術や専門知識を持つ人材が日本に増えているのは当然のこと。特に驚く必要はない」と阿古准教授は語る。
Q. なぜ中国人留学生は東大や早稲田を選ぶのか?
留学先として日本を選ぶ理由は様々だ。中国では大学入試制度「高考」が不平等だと阿古准教授は指摘する。北京や上海などの大都市の戸籍を持つ人は大学に入りやすいが、農村部の戸籍を持つ人は非常に高い点数を取らないと良い大学に入れない。そのため、優秀でありながら中国国内では望む大学に入れない学生が日本に来るケースが多いという。
早稲田大学に留学している学生は「中国の歴史上の有名人も早稲田出身者が多く、そのため人気がある」と話す。東京大学の学生は「学部時代の先輩が東大に留学していて、東大の研究環境が整っていると聞いたから」と留学を決めた理由を語る。
また、中には親が1980年代末から90年代初頭に日本で働いていた経験があり、子どもの頃から日本に旅行に連れてきてもらっていたという学生もいる。「高校時代に高考を受けたくないと親に相談したら、母が『日本に行こう』とアドバイスしてくれた」と話す。
Q. 中国人留学生が増えることへの懸念について、どう考えるか?
SNSなどでは中国人留学生の増加に対する懸念の声も見られる。特に国立大学の場合、税金が使われているという点から反応が大きい。
阿古准教授は「中身をしっかり見る必要がある」と強調する。「中国からの留学生数が多いためインパクトもあり、人口的に小さい日本が大きな隣国からたくさんの人を受け入れることで警戒心を抱く人もいるだろう。しかし奨学金を受けている留学生たちは日本に貢献している。このお金の使われ方は日本にとっても利益になることかもしれない」

また「中国人だからという理由で差別するのは良くない。評価する時に優秀な人を高く評価するのは当然のこと。私自身、研究プロジェクトで一緒に働く優秀な中国人研究者がたくさんいる」と話す。
Q. 「日本は自由を求める中国人の基地になるといい」という発言の意図は?
阿古准教授は「現在の中国共産党政権は学問の自由や言論の自由を厳しく制限している。人間として自分の頭で考え表現したいという気持ちは共通するものだが、中国ではそれが難しく、苦しんでいる人がたくさんいる」と説明する。

「私の友人の中には刑務所に入っている人もいるし、大学で働いていても出版ができない、授業も担当できない先生もいる。そういう中で、同じ漢字文化圏で生活しやすい日本が注目されている」
「中国から永遠に逃げてくるわけではなく、一時的に休憩したい、ストレスの多い環境から離れて作品を仕上げたいという理由で来日する人もいる。そういう人々にスペースと時間を提供することは日本にとっても良いこと」と阿古准教授は語る。
Q. 中国人留学生が日本の大学院を選ぶ理由は?
「私は文系の大学院教員をしているが、日本人が来ない。そこが問題だ」と阿古准教授は指摘する。「大学院の博士課程まで行くには時間も労力もかかる。そこまで頑張ろうという人が外国人ばかりになっている」

中国人留学生の一人は「中国では大学院の学位を持っていると企業で評価され、給料も高くなる」と説明する。一方、日本の企業は大学院で長く学んだ人材を積極的に採用しない傾向がある。
「日本の政策が日本人学生に博士課程への進学や研究者になることをサポートするような政策を打ち出さない限り、状況は変わらない。また、企業の意識も変わる必要がある」と阿古准教授は語る。
Q. 文化的な壁や乗り越えるべき課題はあるか?
東京大学で学ぶ中国人留学生は「建前と本音の違いに戸惑うことがある」と話す。日本の独特のコミュニケーションスタイルに慣れるのに時間がかかるという。
阿古准教授は「学ぶ環境はいろんな人たちが助け合って作っていくもの。日本の大学だから日本人だけというような短絡的な考えは必要ない」と述べる。
留学生たちの今後の進路について聞くと「博士課程に進学した後、日本に戻って大学教員になりたい」と答える学生もいた。