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最新解説:ウクライナ・LA抗議デモ
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2025年6月18日

ゼレンスキーの「蜘蛛の巣」作戦の真の狙いは何か?米国世論がウクライナ寄りに変わったのはなぜか?LA抗議デモはいつ沈静化するのか?トランプへの反発は強まっているのか?ジョセフ・クラフト氏に展望してもらった。 <ゲスト> ジョセフ・クラフト|経済アナリスト/東京国際大学副学長 1986年カリフォルニア...
ウクライナの「蜘蛛の巣作戦」は何のために?LA抗議デモの真相とトランプの思惑
ウクライナの軍事作戦からロサンゼルスの抗議デモ、さらにはイーロンマスクとトランプの関係まで、アメリカの政治情勢について東京国際大学副学長であるジョセフ・クラフト氏が分析。「蜘蛛の巣作戦」の裏にある外交戦略や、トランプ大統領の「狂犬政治」の真意を解説します。

Q. ウクライナの「蜘蛛の巣作戦」とは何ですか?
ウクライナが極秘で攻撃用ドローンをロシア国内に持ち込み、ロシア国内から飛ばして幅広い範囲の軍事基地や軍用機を攻撃した作戦です。軍事界では非常に衝撃的なイベントとして受け止められています。この作戦は1年半から2年近く準備されていたと見られます。
Q. なぜこのタイミングで作戦を実行したのでしょうか?
タイミングには複数の理由が考えられます。まず、G7サミットとその翌週のNATO首脳サミットという重要会合を見据えての実行でした。ゼレンスキー大統領としては、これらの会合でウクライナ支援や同盟国の結束を高めるために成果を見せる必要がありました。
より具体的には、アメリカ上院で模索されているロシア制裁強化法案の推進が狙いと考えられます。この法案は「二次関税」と呼ばれる厳しい内容で、ロシアと貿易をする国に対してアメリカとの貿易で関税をかけるというものです。つまり「アメリカかロシアか選べ」という選択を迫る厳しい制裁法案です。
4月頃から上院でこの法案の気運が高まっていましたが、なかなか進展しませんでした。そこで「蜘蛛の巣作戦」で成果を出し、法案を進める機運を作ろうとしたと考えられます。実際、作戦実行の翌日にはジョンソン上院院内総務が「ロシア制裁法案の提出を今月中に始める」と表明し、ゼレンスキー大統領の思惑通りに上院が動き出しました。
Q. トランプ大統領はウクライナに対する姿勢を変えたのでしょうか?
トランプ大統領は就任当初、ウクライナに批判的でロシア寄りと批判されていましたが、4-5月頃からプーチンに対して批判的になりました。この変化の背景にあるのはアメリカの世論です。
3月にギャラップ社が行った調査では「米国のウクライナ支援は少なすぎる」と答えた人が前回12月の30%から46%に上昇しました。これはウクライナ侵攻が始まって以来、最も高い数字です。
また、ピュー・リサーチが同じく3月に行った調査では「ウクライナ戦争はアメリカの国益に重要」と答えた人が69%に達しました。アメリカ世論がウクライナに対して再び関心を持ち、支援に前向きになったことを、上院、議会、そしてトランプ大統領は感じ取って姿勢を調整しています。
Q. なぜアメリカの世論が変わったのですか?
2月28日にホワイトハウスでゼレンスキー大統領とトランプ大統領が口論になった出来事が転機となりました。それまでウクライナにあまり関心を示していなかった国民が「ウクライナ戦争がまだ続いている」「ゼレンスキー大統領がいじめられている」と同情的になりました。

アメリカ人は「勝ち馬に乗りたい」という性質がある一方で、「弱者を応援したい」という側面もあります。ウクライナがこの一連の出来事と「蜘蛛の巣作戦」によって、アメリカ人の心に響いたと言えるでしょう。
Q. ロサンゼルスの抗議デモはどのような状況ですか?
これはいわゆる「寛容政治VS狂犬政治」の対立と捉えられます。2020年にブラック・ライブズ・マター運動が起きた際、民主党支配地域での抗議デモに対して「寛容すぎた」という批判がありました。
今回のロサンゼルスでの抗議デモに対して、トランプ大統領は州知事の同意を得ずに自ら連邦軍を送り込みました。さらに海兵隊まで派遣したことは一線を越えた対応と言えます。海兵隊は基本的に逮捕する権限もなく、暴動を止める訓練もされていません。
Q. トランプ大統領のこの対応は支持されているのですか?
日本のメディアでは反トランプの情報が主流ですが、全国的に見るとトランプ支持の声も少なくありません。ワシントン・ポストによる調査では、トランプ大統領がLA抗議デモに連邦軍と海兵隊を送り込んだことについて、支持が41%、不支持が44%とほぼ拮抗しています。
特に共和党の支持基盤がある州では「トランプはよくやった」「強いリーダーが重要だ」という声も多く聞かれます。
Q. デモの参加者側にも問題はありますか?
デモ参加者の中には、メキシコの国旗を掲げたり、アメリカの国旗をひっくり返したり、さらには国旗に火をつけたりする人もいます。これが「反アメリカ的」「アナキスト的」と見られ、トランプのプロパガンダにはまってしまう結果になっています。

実際には、抗議デモは当初は平和的なものでしたが、一部の「雇われアナキスト」が放火や落書きをしたことが問題を大きくしました。これを理由にトランプは強硬な対応に出たわけです。
Q. カリフォルニア州知事のギャビン・ニューサムはどのような人物ですか?
ニューサム知事は2028年の民主党の大統領候補の筆頭と言われていますが、実は人気はそれほど高くありません。YouGovの世論調査では支持率28%、不支持率42%と低迷しています。2021年にはリコール運動も起きました。
カリフォルニア州でさえそれほど人気がないニューサム知事が、全国区で支持を集めるのは難しいでしょう。特に中西部や南部の製造業従事者などのブルーカラー層からは「信頼できない」「鼻につく」と思われがちです。
彼の人気が低い理由としては、山火事の際に高級レストランで食事していたというスキャンダルもあります。「かっこいいけど口だけで行動が伴わない」「庶民感覚がない」という印象があり、エリート層には人気があっても一般庶民には響かないのが現状です。
Q. イーロンマスクとトランプの関係は修復するのでしょうか?
両者は互いを必要としているため、関係は修復するでしょう。トランプはイーロンマスクの資金力がないと選挙戦を有利に進められません。一方でマスクも政権の支えがないと事業に支障をきたします。

マスクは3日間で113回もトランプを批判する投稿をしましたが、後に後悔していると述べています。トランプもそれを「いいことを言った」と評価しており、温度は下がりつつあります。おそらく近いうちに2人は会って関係を修復するでしょう。
Q. 日米貿易交渉はどうなりそうですか?
G7のタイミングで一定程度の合意が発表される可能性が高いです。完全な貿易合意ではなく、イギリスとの間で結んだような枠組みになるでしょう。トランプとしては、これまでの悪いニュースが続く中で、G7で合意を発表したいという思いがあります。
日本側からは赤澤経済再生担当大臣も参加しており、何らかの進展があると見られます。おそらくLNG供給や日本企業のアメリカへの投資、農産品の購入などを盛り込み、トランプが「大きな成果を得た」と主張できる内容になるでしょう。
難しい問題(規制緩和やデジタル課税など)は先送りし、継続交渉とする形が考えられます。自動車関税については、日本としては関税を避けたいところですが、一律10%程度の関税がかかる可能性もあります。