PIVOT TALK BUSINESS
TikTokコマースついに日本上陸。究極のAIレコメンド
(300)
7,350回視聴
2025年6月17日

日本でも6月に上陸するTikTokコマース。なぜ世界中でTikTokコマースが猛威を振るっているのか?TikTokコマースで成功する秘訣はどこにあるのか?日中カルチャーナビゲーターの山下智博氏に解説してもらった。 <ゲスト> 山下智博|日中カルチャーナビゲーター 2012年より中国上海へ移住、20...
TikTokコマース日本上陸、買い物が「見つける」から「見つけられる」時代へ
SNSでの動画視聴中に商品を発見し、2タップで購入完了—。すでに世界各国で急成長を遂げているTikTokコマースが、いよいよ日本でも本格始動する。TikTokのAIが自分の好みを学習し、「欲しくなる商品」を次々と提案してくる新たな購買体験は、私たちの消費行動をどう変えるのか。日中カルチャーナビゲーターの山下智博氏に聞いた。

Q. TikTokコマースとは何か?いつから日本で始まるのか?
TikTokコマースとは、TikTok内で直接商品を販売・購入できる機能です。すでに6月からテスト運用が始まっており、一部のショップは出店申請が可能になっています。一般ユーザーが全機能を使えるようになるのは、夏から秋口頃になるでしょう。
これまでの買い物は「消費者が商品を探す」という流れでしたが、TikTokコマースでは「商品が消費者を探す」という逆転の発想です。TikTokの膨大なユーザーデータを基に、AIが最適な商品を提案します。例えばサッカーの動画をよく見ているユーザーには、サッカー関連グッズが自動的にレコメンドされるといった具合です。
Q. なぜ急速に世界中で伸びているのか?
TikTokコマースの最大の特徴は「買い物目的ではない人に買い物をさせる」点にあります。TikTokを見ていると、自分の興味に合った商品がフィードに自然と現れ、欲しいと思った瞬間に購入できる仕組みが整っています。

さらに、クレジットカード情報を一度登録すれば2タップで決済が完了する手軽さがあります。これはゲーム内課金に似た体験で、購入の障壁を大幅に下げています。
例えばアメリカでは2023年9月にサービスが開始され、わずか半年で90億ドルのGMV(流通取引総額)を達成。成長率は600%に達しました。
Q. どのような商品が売れているのか?
初期段階では、若い女性向けの商品が中心になります。世界各国のデータを見ても、化粧品・スキンケア用品やアパレルが上位を占めています。その後、食品・お菓子、地方の特産品、ガジェット類へと広がっていきます。
興味深いのは、ほとんどの国で「無名ブランド」が上位に食い込んでいる点です。例えばアメリカでは、TikTokコマース参入によって月商6億円を達成する無名ブランドも登場しています。新規参入者にとって2024年から2025年はまさに「ボーナス期間」と言えるでしょう。
Q. 従来のEコマースとどう違うのか?
従来のAmazonや楽天市場では、消費者が「欲しいもの」を検索して探すのに対し、TikTokコマースでは「欲しいと思わなかったもの」が提案されます。買い物自体がエンターテイメントとなる「ショッパーテイメント」が最大の特徴です。
また、既存のEコマースプラットフォームとの大きな違いは、「顔出し」による信頼性の担保です。TikTokでは商品を紹介する人の顔が見えるため、問題のある商品を紹介すればすぐに批判にさらされます。このため、売り手側の責任も強く求められます。

世界市場でのEコマース全体のシェアではまだ小さい(アメリカでは1%未満)ものの、ソーシャルコマース分野ではすでに68%のシェアを獲得しています。
Q. 日本市場でどのような影響が予想されるか?
日本市場でも、最初は若い女性を中心に化粧品・アパレル分野から広がっていくでしょう。注目すべきは「物を売れる人」の台頭です。TikTokのデータ解析ツールによって、どのクリエイターがどれだけ商品を売れるかが可視化されていくため、「物販型スター」の誕生が予想されます。
これはジャパネットたかたのような存在がTikTok版として登場する可能性を示唆しています。商品の魅力を短時間で伝え、購入まで誘導できる人材が新たな時代のスターになるかもしれません。
また、中小企業にとっては大きなチャンスになります。写真よりも動画で商品の魅力を伝えられること、一度バズれば大量の注文が入ることから、マーケティングの考え方自体が変わる可能性があります。
Q. デメリットや懸念点はあるのか?
最も懸念されるのは「買い物依存」の問題です。TikTokコマースは衝動買いを促進する仕組みであり、AIのレコメンド精度が高いほど「欲しくなる商品」が次々と表示されます。特に若年層にとって財布の紐が緩みやすい環境といえるでしょう。
また、クリエイター側にとっては常に評価にさらされるプレッシャーがあります。TikTokはクリエイターの販売実績をデータ化し、誰がどれだけ商品を売れるかをリアルタイムで可視化しています。このため、営業マンのように日々の実績を求められる状況が生まれています。
Q. 今後どのように発展していくと予想されるか?
初期は無名ブランドが中心となり、2〜3年後には大手ブランドも参入してくるでしょう。これはYouTubeの発展と似た道筋をたどると予想されます。
また、知識コンテンツの販売も注目されています。中国ではすでに、英語教材や各種講座の動画が少額で販売され、人気を博しています。短いショートドラマを20〜30円で購入するような「デジタルコンテンツ販売」も広がりを見せています。

ショップを運営するノウハウを持たないクリエイターをサポートする代理店やコンサルティング会社も成長していくでしょう。TikTokコマースに特化した新たなビジネスモデルの誕生も期待されます。