MONEY SKILL SET EXTRA
100歳まで資産が尽きない方法/20代から出口戦略を立てて資産形成【野尻哲史×菱田雅生】
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2025年6月17日

株・保険・住宅など資産運用にまつわるスキルセットを一流のプロの講義を受けて学ぶMONEY SKILL SETの応用編。今回は「100歳まで安心の資産戦略」をフィンウェル研究所代表の野尻哲史さんと正直FPの菱田雅生さん解説。前編では、現役世代に向けた資産形成術を教える。 <ゲスト> 野尻哲史(フィン...
「日本版 DIE WITH ZERO」のすすめ!100歳まで資産を枯渇させない運用法
若いうちから資産の出口戦略を立てることが大切。あなたの将来の生活は、公的年金で月々20万円程度で十分なら、2000万円も必要ないかもしれない。大事なポイントは現役時代にあまり売らないこと。80歳まで運用すると考えれば、まだ45年もある。その距離感で今は利益確定しなくていい。

Q. 若いうちから資産の出口戦略を立てる必要があるのはなぜ?
ゴールが見えている人こそ正しいスタートを切れる。退職金や年金がどういう制度になっているか、自分が将来どういう生活をしたいのかを明確にイメージしてから進むことが重要だ。

リタイア後、老後の生活をイメージした上で、どう資産を形成していくかを考えることで、資産寿命を伸ばせる可能性が高まる。精神的な安心感も得られる。
早い段階から退職後の収入や資産を「見える化」しておくことが大切だ。公的年金、会社の退職金制度、DC(確定拠出年金)の有無、何歳まで働けるかなどを把握し、自分でコントロールできる部分(NISA、iDeCoなど)をどうするか決めていくといい。
Q. 60歳時点で持っている資産額によって老後の生活はどう変わる?
3つのタイプに分けて考えてみよう:

タイプA(60歳時点で5000万円)
運用せずに65歳から月25万円取り崩すと80歳ちょっとでなくなる
65歳まで2.5%で運用し、その後も運用しながら取り崩すと90歳まで持つ
月20万円に減らせば100歳まで持つ
タイプB(60歳時点で3000万円)
運用せずに月25万円取り崩すと75歳でなくなる
2.5%で運用しながら月25万円取り崩しても70代後半でなくなる
月15万円に減らせば90歳まで、月12万円なら100歳まで持つ
タイプC(60歳時点で1500万円)
運用せずに取り崩すと60代のうちになくなる
運用しても71歳頃、取り崩し額を減らしても70代後半でなくなる
これを見て、自分はどのタイプになりたいかを考え、そこから逆算して今からの資産形成を計画するといい。若いうちから始めれば時間を味方につけられ、株価変動のリスクも軽減できる。
Q. 資産が100歳まで尽きないための計画はどう立てればいい?
理想は人生を1つのステージとして「ずっと運用を続けて好きなように使っていく」ことだが、それが難しい場合は3つのステージに分けて考えるのが最善だ。

従来の2つのステージ時代(現役時代に貯金→退職後は現金化して使う)から進化して、「運用しながら取り崩す時代」を間に作ることで3ステージになる:
1. 30歳〜65歳:積み立てながら運用の時代
2. 65歳〜80歳:使いながら運用の時代
3. 80歳〜100歳:使うだけの時代
80歳で区切りをつける理由は、認知判断能力の低下を考慮する必要があるから。理想的には緩やかな資産減少で済ませたいが、それができない可能性も含めて計画を立てておくべきだ。
重要なのは現役時代にあまり売らないこと。投資を始める際に「いつまで持つのか」を決めておくといい。80歳まで運用すると考えれば、まだ数十年ある。その距離感で今は利益確定を急がなくていい。
Q. 30歳から65歳までの資産形成はどう進めるべき?
国の制度を最大限活用しよう。会社勤めなら企業のDC(確定拠出年金)を利用し、iDeCo(個人型DC)も併用する。ただしDCは60歳まで引き出せないので、もしもの時のためにNISAとのバランスも考慮する。
NISAには「うさぎ作戦」と「亀作戦」がある:
うさぎ作戦:年間360万円×5年間で1800万円の非課税枠を早期に使い切る
亀作戦:月5万円(年60万円)で30年かけて1800万円を使い切る
計算上は、うさぎ作戦の方が将来のリターンは大きくなる。元本が大きい方が企業や経済の成長の恩恵をより多く受けられるからだ。若い世代には難しい金額かもしれないが、可能であればうさぎ作戦が理屈上は有利だ。
若い世代なら、代表的な4資産に均等分散されたものを毎月積み立てるだけでも効果的。実際に20年前から運用が続いている投資信託の実績で計算すると、年率5.65%の複利運用と同等の効果が得られている。新入社員1年目から月2万円でも始めておくべきだ。
Q. 家計の見直しで資産形成の資金を捻出するコツは?
投資を始める前に、まず家計の見直しをしよう。特に保険料は大きなポイントだ。
例えば、月3万円の保険料を見直して浮かせ、その3万円を30年間積み立て投資できれば、5%で運用して約2500万円になる計算だ。
保険は「確率は低いが損害額が大きいもの」に対して入るべきだ。死亡保険は「死亡時に引き出せる貯金」、医療保険は「病気になった時に引き出せる貯金」と考えて、本当に必要かどうか見直そう。
例えば死亡保険は、自分が亡くなった時に家族が金銭的にどれだけ困るかを考えて判断する。子供の教育費分は残したいなら、その金額から現在の資産を差し引いた金額を保障額とすればいい。配偶者が働ける場合や遺族年金が出る場合は、さらに保障額を減らせるかもしれない。
Q. NISAとiDeCoはどう使い分けるべき?
NISAは自由に引き出せる柔軟性がある一方、iDeCoは税制優遇が大きいが60歳まで引き出せないという制約がある。
会社員なら、まず企業型DCを最大限活用し、次にiDeCoで所得控除のメリットを得る。そして余裕があればNISAも活用するのが基本だ。
若い世代ほど、早くから始めることで複利効果の恩恵を最大限に受けられる。20代前半から月1万円でも積立投資を始めれば、60代になる頃には最低でも2000万円程度になる可能性がある。
最後に、投資信託も選び過ぎないこと。65歳に近づいてきたら、だんだん本数を減らして整理しておくと、取り崩し時に管理がしやすくなる。