マーケティング新常識
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2025年6月11日

広告とネット炎上 海外と日本の炎上の違い 炎上時の対処方法 「マーケターのためのネット炎上新常識」をテーマに、炎上研究の専門家、山口真一氏に聞いた。 <ゲスト> 山口 真一(やまぐち しんいち) 国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授。 1986年生まれ。博士(経済学・慶應義塾大学...
「炎上によって購入や利用を停止、再検討する人が約半数」「炎上に書き込みをしている人はネットユーザー全体の0.00025%に過ぎない」――ネット炎上の専門家が語る新たな視点から、企業の対応策を探る。

年間1200件以上の炎上が起きている。これは1日に複数の炎上が発生していることになる。言い換えれば、今日も必ずどこかで誰かが炎上している状況だ。
しかし意外なことに、炎上1件に対してネガティブな書き込みをしている人は、ネットユーザー全体のわずか0.00025%に過ぎない。これは約40万人に1人の割合であり、普通に生活していれば書き込みをしている人に出会うことはほとんどないレベルだ。
炎上は一度起こると社会全体が攻撃しているように見えるが、実際には少数の声が反映されているに過ぎない。しかも、その中のさらに一部の人が非常に大きな声を上げている実態がある。例えば、あるサイエンスライターが大量の誹謗中傷を受けた事例では、被告が200以上のアカウントを作成して1人でその人を攻撃していたことが裁判で判明した。
SNSの意見分布は社会全体の意見分布と大きく異なる。SNSは能動的な発信しかない言論空間で、言いたいことがある人だけが発言できる場所だ。そこにはモデレーターがいないため、極端で強い思いを持った人が大量に発信するという偏りがある。

実証研究によると、憲法改正という話題について、社会全体では「どちらかといえば賛成」「どちらとも言えない」「どちらかといえば反対」といった中間的な意見が多い。一方、SNS上では「非常に賛成」と「絶対に反対」という両極端な意見が最も多く投稿されている。両極端な意見を持つ人は社会全体では各7%程度しかいないにもかかわらず、SNS上では圧倒的な存在感を示している。
炎上も同様のメカニズムが働いている。「別にいいんじゃないか」と思う人はほとんど何も発言しないが、極端で攻撃的な意見を持つ人ほど大量に投稿する傾向がある。
広告関連の炎上は主に3つのパターンに分類できる。

1. 価値観ずれ炎上:多様性やジェンダー、無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)に関連して批判される炎上
2. 知識不足炎上:歴史、文化、動物、環境、著作権などについての知識が不足していて、誤った表現が批判される炎上
3. 空気読み違い炎上:新型コロナウイルスのパンデミックや災害時など、社会がセンシティブになっている時期に不適切な広告や表現を行い批判される炎上
これらの炎上は必ずしも法律違反や利用規約違反を伴うわけではなく、特定の層を不快にさせるという点で問題となることが多い。特に価値観ずれ炎上は線引きが明確でないため、議論になりやすい。
炎上による企業への影響は多岐にわたる。まず経済的な損失として、株価下落が挙げられる。研究によると、中規模以上の炎上では平均で0.7%程度株価が下落する。これは航空機事故に匹敵する下落幅だ。また、調査では炎上によって購入や利用を停止・再検討すると答えた人が46.9%に上る。
採用面での影響も大きい。数十%の就職活動中の学生が、炎上した企業への応募を取りやめる傾向がある。選択肢が多い中で、あえて炎上した企業を選ぶ必要はないという判断だ。
さらに、内部の人のモチベーションが低下するリスクもある。「炎上した会社」というレッテルが貼られることで社員の意識にもネガティブな影響を与える。
対応費用の増加も無視できない。謝罪会見の開催、問題のある広告の回収と差し替え、弁護士費用など、様々なコストが発生する。
社会全体への影響としては「表現の萎縮」が挙げられる。炎上を恐れるあまり、企業が安全策を取り、尖った表現を避けるようになると、結果的に表現の多様性が失われる。これは企業だけでなく、消費者にとっても損失になりうる。
炎上の予防には3つの重要なポイントがある。

1. 多様な人が関わり、心理的安全性を確保する:年齢や性別の異なる多様なメンバーで広告を検討することが重要だ。ただし、単に多様なメンバーを集めるだけでは不十分で、全員が自由に意見を言える「心理的安全性」が確保されていることが必須条件となる。
2. シミュレーションを実施する:批判が予想されるポイントを事前に洗い出しておくことで、炎上時に慌てず冷静に対応できる。批判を予想した上で表現を変更するか、あるいは批判されても貫く覚悟を決めておくかを事前に決定しておくことが重要だ。
3. 炎上対応マニュアルと危機管理プランを整備する:炎上は一部署だけの問題ではなく、部門横断的な対応が必要となる。何も決まっていない状態では適切な対応ができないため、平時から危機管理プランを整備し、各部署の役割を明確にしておくことが重要だ。
ただし、100%炎上を防ぐことは不可能である。そのため、過剰に萎縮せず、自社のメッセージやビジョンを大切にした上で、必要なリスク管理を行うバランス感覚が求められる。
炎上が起きた場合、まず対応するかどうかを判断する必要がある。内容と規模の両面から判断することが重要だ。
内容の判断では、批判に反応すべきか、批判内容が妥当か、指示している人はどれくらいいるか、自社のメインターゲットは批判しているか、批判しているユーザーの過去の発信を確認するといった点を検討する。
規模の判断では、インフルエンサーが取り上げたか、メディアが掲載したかを確認する。インフルエンサーやメディアが取り上げる前の段階では、大きな影響はないケースが多い。
対処する際の推奨アプローチは以下の通り:
1. 批判や中傷を省みる機会と捉える
2. 事実関係の公表に徹する
3. 問題点や今後の対応を明確化する
避けるべき対応は:
1. 隠蔽
2. 言い訳
3. 批判への反論
特に隠蔽は現代のネット社会では不可能であり、むしろ状況を悪化させる可能性が高い。
謝罪が必要な場合は、迅速に行い、「何が起こり、何が問題で、誰に責任があって、今後どうするのか」というポイントを明確に伝えることが重要だ。
炎上対策において心がけるべき3つのポイントがある。
1. 過剰に萎縮しないこと:炎上は少数の声が大きく見える現象であることを理解し、自社のビジョンやメッセージを過度に制限しないことが重要だ。
2. 事前準備を徹底すること:シミュレーションやソーシャルリスニングを通じて、人々の反応を分析し、何か起こった際に適切な対応ができるよう準備しておくことが大切だ。
3. 平時から取り組むこと:マニュアル作成、継続的な炎上に関する研修、炎上トレンドの把握など、有事の際だけでなく平時からの取り組みが効果的な対応につながる。炎上のトレンドは時代とともに変化するため、常に最新の情報を収集しておくことが重要だ。
また、普段からSNSでの広報活動を行っていると、炎上時に自社の見解を迅速に発信できるという利点がある。数十万人のフォロワーがいれば、自社の立場を直接伝えることができ、ファンが情報を拡散してくれる可能性もある。
※こちらは生成AIによるまとめ記事です。