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狙うはROE10%。三菱地所のビジネスモデル改革
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2025年6月6日

世界一のデベロッパーを目指して、「2030年の事業利益4000億円、ROE10%」を宣言した三菱地所。 日本最大の含み益の活用法は?物価高騰と人手不足への対策は?ビジネスモデルの改革について中島篤社長に聞いた。 <ゲスト> 中島 篤|三菱地所 社長 1986年 東京大学法学部卒業後 三菱地所に入社...
「日本一へのカギは"人材"」三菱地所社長が明かす「不動産デベロッパーの成長戦略」
中島 篤 三菱地所 社長がROE10%への挑戦と海外展開の実情について語る

Q. 三菱地所の経営戦略が変わりつつあると聞きますが、具体的にどのような変化があるのでしょうか?
不動産を作って持ち続けるという従来のモデルから、資産効率を重視したビジネスモデルへと転換しています。
丸の内や大手町は引き続き保有し街としての価値を高めていきますが、それ以外の開発物件については売却してキャピタルゲインを得る方針です。

株式を上場している以上、ROE(株主資本利益率)という資本効率の指標で評価される現実があります。
財務的な利益を上げるには売却が必要で、特に海外物件については、
ニューヨークの2棟のオフィスビル以外は基本的に回転させて売却利益を上げていく戦略です。
Q. なぜ良い物件を開発したら売却するのですか?持ち続けた方が価値が上がりそうですが。
この点は非常に悩ましい問題です。
不動産デベロッパーとして長期的な街づくりの視点を持ちつつも、上場企業として株主の期待に応える必要があります。
賃貸事業は安定した収入をもたらしますが、減価償却などがあり、株主が求める資本効率の観点では十分な利益を生み出せないケースがあります。
目標としているROE10%を達成するためには、資産を回転させて売却益を上げる必要があります。
ただし、売却後も関連するファンドを通じて所有し、マネジメントフィーを得るというビジネスモデルを構築することで、長期的な関与も維持していきます。
Q. ROEを上げるための具体的な戦略は何ですか?
ROEを上げる最も効率的な方法は、資産を使わずに収入を得る「ノンアセットビジネス」の拡大です。
不動産投資マネジメント、設計、仲介、施設運営などのフィービジネスを今後さらに強化していきます。

また開発案件においても自社100%出資ではなく、他社と共同で事業を行うことで投資額を抑えつつ、
開発に関するフィー収入も得られるような仕組みを増やしています。
大阪のグランフロント大阪などはその好例で、各社の役割分担の中で当社はオフィス関連や開発分野を担当し、フィーも得ながら事業を展開しています。
Q. 三菱地所の海外展開における「勝ち筋」はどこにありますか?
海外展開の鍵は現地パートナーとの連携です。不動産はローカルな特性が強く、その市場に根差したノウハウが必要となります。
アメリカではロックフェラーグループという名前で事業展開していますが、現地の人材を活用し、私自身はマネジメントに専念しています。
市場によってアプローチは異なり、M&Aで買収する場合もあれば、事業パートナーとして現地企業と組む場合もあります。
ロンドンではローカルのフィーデベロッパーを活用するなど、各地域に合わせた手法を確立していくことが重要です。
Q. アジアと欧米、どちらの市場に可能性を感じていますか?
アジアのポテンシャルは非常に大きいですが、不動産市場や制度が十分に確立されていない面があります。
マーケットの厚みが形成されるまでには時間がかかるでしょう。
一方、欧米の成熟市場では、制度が整備され市場も深いため、現時点では事業を展開しやすい環境があります。
ただし、将来的にはアジア市場も成長していくと考えています。
Q. 今後の成長における最大の課題は何でしょうか?
最大の課題の一つは人手不足からくる物価高騰、特に建設コストの上昇です。
短期的な業績への影響は限定的ですが、5年、10年先を見据えると、古いビルの建て替えなどに大きな影響を与える可能性があります。
これは社会全体で解決すべき問題でもあり、場合によってはビジネスモデルの調整も必要になるでしょう。
もう一つの課題は世界的な分断の広がりです。不動産業は経済全体の動向に左右されやすく、世界経済にネガティブな影響が出れば、不動産市場も悪影響を受けます。
特に建設コストの上昇や、インバウンド需要の変動などは当社のホテル事業などにも直接影響します。
Q. 日本の建設業界における人手不足問題にはどう対応すべきでしょうか?
働き方改革自体は必要ですが、現場の実情に合わせた柔軟な対応が求められます。
例えば、丸の内のような住居がないエリアでは、夜間工事などを効率的に行える可能性がありますが、働き方改革の流れの中で制約が生じているケースもあります。
適切な労働環境と効率的な事業推進のバランスを取りながら、行政や関連業界と協力して解決策を模索していく必要があります。
またインフラ整備など社会基盤の維持のためにも、建設業界全体の持続可能性を高める取り組みが重要です。
Q. 三菱地所が日本で圧倒的なナンバーワンになるために必要なものは何ですか?
一言で言えば「人材」です。不動産業界の競争が激化する中で差別化の源泉となるのは、結局のところ人材の質と組織力です。
単に個人のスキルだけでなく、自分自身を成長させながら他者を巻き込んでチームとして価値を生み出せる人材が求められています。

社内での人材育成はもちろん、多様な経験を持つ中途採用も増やしています。
今の若い世代は入社時から海外志向が強い人も多く、グローバル展開を進める上で大きな力になっています。
また、イノベーションを起こすためには、型にはまらない「尖った」人材も必要だと考えています。
Q. 不動産企業として東京の国際化をどう促進していくお考えですか?
企業としての取り組みに加え、インフラ面での整備が重要です。
特に税制面での改善や、インターナショナルスクールなどの教育環境の充実が必要です。
最近はインターナショナルスクールも増えてきており、環境は徐々に整いつつあります。
また、言語の壁がハードルと思われがちですが、若い世代ではその障壁は低くなっています。
企業側も多様な人材を受け入れる体制を整え、グローバル企業として成長していくことが、東京全体の国際化にも貢献すると考えています。