EDUCATION SKILL SET
稼げるエスカレーター校ランキング
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2025年6月4日

EDUCATION SKILL SET特別編。青学・法政より西大和が儲けている理由とは?ゲストはダイヤモンド編集部副編集長の臼井真粧美氏。 <ゲスト> 臼井真粧美/ダイヤモンド編集部 副編集長 専門誌を経て、2006年より週刊ダイヤモンド記者。運輸、ホテル・観光、自動車、化学、製薬、ヘルスケア、教...
学校経営の新風景:西大和学園が示す驚異の利益率とその秘密
学校法人の経営も時代とともに変化している。中でも西大和学園は、驚異的な利益率で注目を集めている。学校運営の本質と西大和学園の戦略から、教育機関の未来を探る。

Q. 学校法人にとって「稼ぐ」ことはなぜ重要なのでしょうか?
学校法人は営利企業ではないため、利益を出すことが最終目的ではありません。本来の目的は質の高い教育や研究を提供することです。しかし、優れた教育や研究を継続するためには資金が必要不可欠です。十分な収益がなければ、優秀な教員の確保や施設の充実、カリキュラムの開発など、教育の質を維持・向上させるための投資ができません。
つまり、学校法人が「稼ぐ」ことは、教育機関としての使命を果たすための手段なのです。
Q. 「稼げるエスカレーター校ランキング」の首位はどこですか?
一般的には、早慶付属校や有名大学の附属校が収益性が高いと思われがちですが、実際のランキングでは西大和学園が1位となっています。このランキングは「経常収支差額比率」に基づいており、西大和学園はおよそ40%という驚異的な数字を記録しています。
これは他の学校法人が10%台にとどまる中で圧倒的な差をつけており、特筆すべき数値です。
Q. 西大和学園とはどのような学校ですか?
西大和学園は奈良県に本拠を置く学校法人で、近年急速に進学実績を伸ばしている注目校です。1990年代以前は運動も重視する「文武両道」の学校でしたが、2000年代から「勉強一本」の教育方針に転換しました。

まず東北大学の合格者数で日本一を達成し、その後は東大合格者数の増加に注力。去年はベスト5に入るほどの実績を上げています。東大合格者ランキングでは一時的に下がることもありましたが、着実に実績を積み上げています。
Q. 西大和学園はどのようにして高い利益率を実現しているのですか?
西大和学園が高い利益率を実現している主な要因は「支出の抑制」にあります。多くの学校法人が収入源の多様化(寄付金の獲得や資産運用など)を図る中、西大和学園は入学金や授業料といった基本的な収入源に焦点を当てつつ、徹底した経費削減を行っています。
特に注目すべきは「人件費比率」と「教育研究費比率」で、これらは調査対象の60学校法人の中で最も低い水準となっています。西大和学園の人件費比率は30.9%と、他校と比較して大幅に低く抑えられています。
Q. 人件費を抑えているのに教育の質はどう維持しているのですか?
興味深いことに、西大和学園では教員数自体は他校と大きな差はありません。1人の教員あたりの学生数で見ると、他の学校法人と同程度の水準を保っています。

大きな差があるのは職員(事務スタッフなど)の数です。西大和学園では、1人の職員あたりの学生数が157.6人と、他校(立命館大学38.4人、関西大学47.6人など)と比較して圧倒的に少ない職員で運営されています。つまり、教育の最前線である教員の数は確保しつつ、事務職員を最小限に抑えることで人件費を削減しているのです。
Q. 西大和学園の教育方針の特徴は何ですか?
西大和学園は「とがった教育」で知られています。特に以下の点が特徴的です:
1. 徹底した進学実績重視:東大や医学部など難関大学への合格者数増加に特化した教育
2. 手厚い学習支援:「監獄」とも表現されるほど厳格な学習環境で、塾に通わなくても高い学力を身につけられる
3. 目標達成への徹底したアプローチ:東北大学合格者数日本一を達成した後は東大に標的を移すなど、明確な目標設定と集中的な取り組み
4. 効率的な受験対策:東大の低倍率学科を狙うなど、戦略的な進学指導
Q. 女子教育についても強みがあるのですか?
西大和学園は男子校というイメージが強いかもしれませんが、女子教育においても高い実績を上げています。実は優秀層では女子の割合が高いとも言われています。
関西では奈良女子高校のような女子の最高峰となる学校がなかったため、西大和学園が女子にとっての難関校として位置づけられつつあります。女子学生も男子と同様に厳しい校則と高度な教育を受けますが、「女子には比較的優しい」という声もあるようです。
Q. 西大和学園の運営方針について批判的な見方はありますか?
教育の質と経営効率のバランスという観点から、西大和学園の運営方針には賛否両論があります。
批判的な見方としては、人件費や教育研究費の抑制が長期的には教育の質の低下につながる可能性を指摘する声があります。また、進学実績を重視する「ごり押しの教育方針」による「後遺症」の懸念もあります。管理教育で育った学生が大学入学後に自主性の欠如や留年などの問題に直面するケースもあるとの指摘もあります。
一方で、明確な目標と効率的な経営によって高い進学実績を達成している点は評価されています。
Q. 大和大学についても教えてください
西大和学園は中高の教育で実績を上げていますが、大和大学はまだ発展途上の段階です。西大和学園と同様に人件費比率が低く、効率的な運営を行っているとされています。
Q. 今後の学校経営にとって、西大和学園のモデルはどのような意味を持ちますか?
西大和学園の事例は、従来の学校経営の延長線上では生き残りが難しくなっている現状を示しています。塾経営などの発想を取り入れた、目的を明確にして余計なものは排除するという経営手法は、一つの新しいモデルと言えるでしょう。
ただし、このモデルが普遍的に適用できるわけではありません。学校ごとに教育理念や保護者・学生のニーズが異なるため、西大和学園のような徹底した効率化と進学実績重視のアプローチが適切でない場合もあります。
重要なのは、各学校が自らのミッションを明確にし、それを実現するための持続可能な経営モデルを構築することです。西大和学園の事例からは、明確な目標設定と経営効率化の重要性を学ぶことができるでしょう。
Q. 公立高校の台頭も見られるようですが、どのような傾向がありますか?
近年の東大合格者数ランキングでは、日比谷高校や横浜翠嵐高校など公立高校の躍進が注目されています。これにより「公立ルートでも東大や医学部に行ける」という認識が広がりつつあります。

高校授業料の無償化も進む中、「あえて中学受験をせずに、日比谷や筑波など公立高校を目指し、最小限の投資で東大や医学部を目指す」という選択肢を考える家庭も増えています。こうした公立進学校も西大和学園と同様に「とがった教育」を特徴としており、明確な目標を持った教育機関への支持が高まっている傾向が見られます。