PIVOT TALK BUSINESS
NTT・SBI連合の勝算。ネット金融を制するのは?
(408)
1.7万回視聴
2025年5月31日

ドコモによる住信SBIネット銀行の買収、NTTによるSBIへの出資。電光石火の動きで金融に打って出たNTTグループ。その狙いは何か?ネット金融を制するのはどの連合なのか?東洋大学の野崎浩成教授に聞いた。 <ゲスト> 野崎浩成|東洋大学国際学部グローバル・イノベーション学科教授 1986年慶應義塾大...
NTTグループの金融戦略に関するQ&A:東洋大学教授が解説
NTTグループによる住信SBIネット銀行の買収とSBIホールディングスへの出資により、通信と金融の融合が加速している。この動きは業界に何をもたらすのか、東洋大学国際学部グローバル・イノベーション学科教授の野崎浩成氏に聞いた。

Q. NTTドコモによる住信SBIネット銀行買収とNTTによるSBIホールディングス出資は予想外の展開だったか
業界関係者の多くが予想していなかった展開だった。特にSBIはソフトバンクの流れを汲む企業であり、NTTグループとの距離感があると考えられていた。SBI住信ネット銀行が関連するという点は、多くのアナリストの想像を超えていたようだ。
まず最初にドコモによる住信SBIネット銀行の買収ニュースが出て、続いてNTT本体からSBIへの出資が発表された。この二段構えの展開も驚きだった。SBI側の銀行戦略が関連していると考えられる。
Q. ドコモと住信SBIネット銀行の相性はどうか
注目すべきは単に携帯キャリアと銀行の連携という側面だけでなく、NTTグループ内でのシナジーだ。特にNTTデータは銀行システムの構築において強みを持っており、SBIが持つブロックチェーン技術などとの結びつきが今後どのような未来を切り開くかが注目される。
テクノロジー面での卓越性という意味では、SBIとNTTの組み合わせは大きな可能性を秘めている。
Q. この提携により競争の構図はどう変わるか
通信キャリアと金融サービスの連携については慎重な見方もある。楽天経済圏のようにeコマースと銀行サービスの結びつきが強い場合は成功例があるが、純粋な通信と銀行の連携では必ずしも突出した成功例は見られない。
auとじぶん銀行の関係や、ソフトバンクとPayPayの連携(決済サービスからPayPay銀行への送客)などの例はあるが、通信キャリアと銀行サービスの関連性がどこまで深まるかは不透明だ。Dポイントなどポイント経済圏をうまく活用すれば、異なる戦略が生まれる可能性はある。

Q. 通信業界と金融業界の融合に成功例はあるか
現時点で顕著な成功例はあまり見られない。ドコモはすでにマネックス証券を買収しているが、目に見える形での大きな変化は今のところ現れていない。
マネックス証券を持つ中で、さらにネット証券最大手のSBI証券と組むことについては、シェア調整やカニバリゼーション(共食い)の結果として、実際のシェアが縮小する可能性もある点に注意が必要だ。
Q. SBI側の提携理由は何か
公式には様々な理由が述べられているだろうが、主な理由は資本の問題と考えられる。SBIは戦略的投資よりも金融投資の色彩が強い企業だ。
例えばSBI新生銀行の上場を検討していることからも、戦略的に市場シェアを取りに行くというよりは、最終的にはイグジット(出口戦略)を考えている可能性がある。
Q. SBIのメディア戦略についてどう思うか
メディアと金融の融合については、未来の全体像を正確に予測することは難しい。しかし消費者のタッチポイントとしてソーシャルメディアが重要な位置を占め続けることは確実で、そこと金融との結びつきは不可欠になるだろう。
時間軸が10年なのか30年なのかは分からないが、メディアと金融の融合という方向性については一定の同意ができる。

Q. 三菱UFJのスマホ銀行戦略は遅すぎないか
三菱UFJはデジタル専業銀行を自前で作ろうとしている点が、三井住友銀行との大きな違いだ。しかし良い金融サービスやモデルを作れば顧客が集まるという発想には限界がある。
モデルが成功すれば時間軸を縮めることはできるかもしれないが、優れた商品を作っても(プロダクトアウト)、それだけで吸引力を持たせることは難しい。一般の人々は生活の延長線上で金融サービスを必要とするものであり、その発想の転換が必要だ。
Q. 楽天グループとみずほの関係はどうか
楽天グループとみずほの連携は分かりやすい関係性に見えるが、楽天が戦略性を持たせた上でみずほと組んでいるかについては疑問が残る。楽天としては資本力を高める必要があったという側面が強く、それがなければここまでみずほとの関係を深めていたかどうかは不明だ。
本当に戦略的な関係であれば、例えば将来的にみずほのデジタルバンキングサービスをすべて楽天に移管したり、みずほ銀行のリテール部門を楽天銀行にブランド変更するといった大胆な展開も考えられる。
Q. 金融と通信の融合で先行しているのはどの企業か
三井住友銀行が経済圏戦略やネット戦略で先行している。特に太田前社長から中島現社長へと引き継がれる中で、ポイント経済圏やデジタルバンキングの構築に大きく貢献している。
三井住友銀行とPayPayの大連立は合理的な戦略だ。優れた金融サービスを作って顧客を待つのではなく、消費者が日常的に利用している場所に積極的に入っていくという考え方が、今後ますます重要になる。
Q. 今後の金融・通信業界の動向で注目すべき点は何か
ネットと金融、あるいは通信との融合については、ある程度整理がついたと考えられる。次のフェーズでは、金利上昇環境下で預金の価値が増す中、人口動態の変化や消費者行動の変化に伴い、地域金融も含めたお金の流れがどう変化するかが重要だ。
今後も中島社長(三井住友銀行)と北尾社長(SBIホールディングス)の動向に注目すべきだろう。