PIVOT TALK BUSINESS
政府と企業が急ぐビットコイン戦略
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2025年5月31日

米国のトランプ大統領は今月、25億ドル規模の暗号資産投資を発表した。暗号資産に詳しい小田玄紀氏は、新たな米国の暗号通貨「ステーブルコイン」に注目しているという。日本が世界のデジタル資産ブームに乗り遅れないためには?暗号資産の未来について深掘りする。 <ゲスト> 小田玄紀|ビットポイントジャパン代表...
暗号資産は金融商品へ変化中?日本の新しい暗号資産規制と取引手数料の未来
「金よりもビットコインの方が資産価値があるんじゃないか」

Q. 暗号資産の定義が数年間で再定義されたと聞きましたが、どのように変わったのでしょうか?
数年間で暗号資産の定義に大きな変化がありました。以前は「新しい通貨」として考えられていて、日本でも2017年に施行された資金決済法では「決済手段」として仮想通貨を認める形でした。
しかし現在は社会的状況が変わり、暗号資産の価値や社会的役割は「アセットクラス(資産クラス)」として評価されるようになっています。簡単に言えば、金融商品として見られるようになったのです。
これはビットコインが通貨としてではなく、金のような価値保存の手段として評価されるようになったことを意味します。
Q. アメリカのトランプ政権の暗号資産に対する戦略はどのようなものですか?
トランプ政権の最も大きな政策は、アメリカ政府としてビットコインを購入または保有するという点です。アメリカの各州でもビットコインを購入する法案が次々と提出されています。

例えばテキサス州が大量のビットコインを購入する動きがあり、このような動きが国や州レベルで広がっています。彼らはビットコインを購入することが国や州にとってプラスになると判断しているのです。
ビットコインは総発行量が決まっているため、その価格は単純に需要と供給で決まります。もしアメリカ政府やテキサス州などの大きな機関が購入し、長期保有するなら、市場に出回る量が減り、価格が上昇する可能性が高まります。
Q. 日本政府はビットコインを保有していますか?
現時点では、日本政府がビットコインを正式に保有しているという発表はありません。ただし、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がビットコインへの投資について検討しているという情報はあります。
昨年、GPIFはビットコインに関する情報提供を求めていましたが、その段階では「これから検討する」という状況でした。
一方で、意外なことにブータンのようにビットコインを国として保有し、経済的に豊かになった国もあります。ブータンは国としてのビットコイン保有量で上位に入っているようです。
興味深いことに、法定通貨への信頼が強い国ほど暗号資産への移行が遅く、法定通貨への信頼があまりない国の方が先に暗号資産を購入する傾向があります。
Q. ステーブルコインとは何ですか?その仕組みと役割を教えてください。
ステーブルコインは、法定通貨と1:1で価値が固定された暗号資産です。技術的にはビットコインと同じブロックチェーンを使用していますが、価値の安定性が特徴です。

日本では2023年に資金決済法が改正され、国内でステーブルコインを発行・流通させることが認められました。2024年3月にはSBIVCトレードが日本で初めてステーブルコインの取扱いの認定を受けました。
日本で認められているのは「法定通貨担保型」と呼ばれるタイプで、例えば300億円分のステーブルコインを発行する場合、発行者は300億円の日本円を確実に保有していることが求められます。これにより、1:1の価値を保証しています。
世界で最も流通量が多いステーブルコインはUSDT(Tether)で時価総額が約20兆円、次いでUSDC(Circle社発行)が約6兆円の規模です。これらは実際にドルなどの資産で裏付けられています。
Q. ステーブルコインの主なメリットは何ですか?
ステーブルコインの最大のメリットは、国内だけでなく海外でも使えることです。従来の方法で日本円を外貨に両替すると高い手数料がかかりますが、ステーブルコインを利用すれば大幅にコストを削減できます。
例えば、海外旅行時や海外での買い物、送金の際にステーブルコインを使うと、従来の方法より圧倒的に安いコストで取引が可能です。日本国内では通常のクレジットカードでの決済が便利かもしれませんが、海外取引ではステーブルコインの方がメリットが大きいでしょう。
また、「ドルを持っておきたい」という需要に対して、ステーブルコインは新しい保有形態を提供します。QRコードで簡単に送金できるため、普及の障壁も低いと考えられます。
Q. 中央銀行デジタル通貨(CBDC)とステーブルコインの関係はどうなりますか?
現在の世界的な流れとしては、CBDCよりもステーブルコインを活用する方向に向かっています。アメリカでも「CBDCはやめるべき」という意見が広まっています。
CBDCの役割は、民間企業が発行するステーブルコインによって代替される可能性が高いと考えられます。特にアメリカのトランプ政権は、USDCのようなステーブルコインを戦略的に活用しようとしています。
これは米ドルの国際的な影響力を拡大するための戦略とも言えます。直接的なドル取引を受け入れない国や地域でも、USDCやUSDTといったステーブルコインなら受け入れるというケースも出てきています。
このように、ステーブルコインはアメリカのドル覇権を強化する道具としても機能し始めています。
Q. 日本の暗号資産に関する規制はどのように変わっていく見込みですか?
日本政府の姿勢は大きく変わりつつあります。昨年、国内の暗号資産口座数が1000万口座を超えたことがきっかけとなり、自民党議員らの認識も変化しました。
2023年10月から金融庁が勉強会を開催しており、現在の資金決済法から金融商品取引法への移行が検討されています。これが実現すれば、暗号資産は金融商品として正式に位置づけられることになります。
ただし、有価証券と全く同じ扱いにしてしまうと、暗号資産の特性を活かせなくなるため、有価証券とは異なる新しいカテゴリーとして管理する方向で議論が進んでいます。

また、税制面では暗号資産取引の利益に対する税率が最大55%(雑所得)という高い水準になっていますが、これを株式などと同様の申告分離課税にする検討も進んでいます。
さらに、現在は暗号資産取引のレバレッジ倍率が2倍に制限されていますが、これを10倍程度まで引き上げる提案や、国内での暗号資産ETFの導入も業界から提案されています。
これらの変更が実現すれば、2025年頃には日本の暗号資産市場の間口が大きく広がる可能性があります。