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夫婦ともにキャリアアップは目指せるか?
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2025年5月24日

共働き世帯は増えているが、フルタイム同士の共働き世帯は増えていない。 残業を前提としたフルタイムでは家事・育児を納得したカタチで両立させることは難しい。 男性育休の取得も以前より増えてきたが、依然として共働き夫婦の、仕事と子育ての両立には課題が山積みだ。 少しでも前に進めるためのヒントを21世紀職業...
共働き・共育て世代のキャリアを切り拓く方法とは?専門家が語る解決策
子育てしながら夫婦ともにキャリアを形成することの難しさ。特に日本では、残業や柔軟性の低い働き方が、夫婦のキャリア形成を阻む大きな要因となっています。しかし、そのハードルを乗り越えてキャリアと子育ての両立を実現する「共働き・共育て」のカップルも少しずつ増えています。21世紀職業財団研究員の本道敦子さんに、ミレニアル世代の共働き・共育て世代の現状と課題、そして解決策について聞きました。

Q. 「共働き・共育て」とは何ですか?
「共働き」は夫婦ともに働くことを指しますが、単に共働きというだけでなく、夫婦がともにキャリア形成を目指している状態を指します。従来の「共働き」のイメージは、夫が正社員で妻がパートという形態が一般的でしたが、最近では夫婦ともに正社員としてキャリアを築きながら、子育ても分担する「共育て」のスタイルが注目されています。
「共育て」は夫婦ともに子育てや家事に関わることを意味しています。これまでの「サラリーマン」は、ほぼワンオペ育児の家庭が多かったのに対し、夫婦ともに育児・家事に携わるスタイルが「共育て」です。「共働き・共育て」がセットになっているのが重要なポイントです。
私たちが「共働き・共育て」と呼ぶカップルは、夫婦ともにキャリア形成を目指しながら、子育ても一緒に行いたいという思いを持っている人たちに焦点を当てています。
Q. 日本の「共働き」の現状はどうなっていますか?
統計を見ると、共働き世帯全体は増加傾向にありますが、夫婦ともにフルタイム(週35時間以上就業)で働くカップルの数は横ばいです。共働きの中でも、妻がパートタイム(週35時間未満就業)で働くケースが増えています。

フルタイムで働く正社員の場合、残業が求められることが多く、子育てとの両立が難しいという現実があります。そのため、時間の融通が利くパートタイムを選択する女性が多くなっています。これは個人のキャリア観として尊重されるべきですが、結果として男女間の賃金格差や女性管理職の少なさにつながっている側面もあります。
また、フルタイムの正社員から一度パートに移行すると、子育て環境が変わってもキャリアチェンジが難しいという社会的な問題もあります。現在の日本では、夫婦ともに正社員としてキャリアを形成しながら子育てをするという選択肢は、最もハードルが高いものになっています。
Q. 「共働き・共育て」世代が直面する課題は何ですか?
大きく分けて3つの課題があります。
1. 妻のキャリアロス問題:育児のために仕事を調整せざるを得ず、キャリアが中断または停滞してしまう問題です。半数近くの女性が「マミートラック」(同じような仕事をずっと続けて、キャリアが停滞している状態)に陥っていると感じています。上司からの「子供の方が大事だよね」という一見思いやりのある言葉が、実は女性のキャリア形成を妨げることもあります。
2. 夫のプライベートロス問題:仕事に邁進せざるを得ず、育児や家庭生活を十分に楽しめない問題です。ミレニアル世代の男性は67.5%が「夫婦の役割は同じように行うべき」と考えていますが、現実には長時間労働などにより思うようにならないケースが多いです。小さい子供がいる男性に対しても、上司が残業を任せるとその男性の残業時間は長くなるというデータもあります。
3. 非協力的なパートナー問題:これは必ずしもパートナー個人の問題ではなく、企業の働かせすぎや残業を良しとする風潮による問題でもあります。夫婦ともにキャリアアップを目指したいという意識はあっても、働き方の問題でそれが実現できないケースが多いのです。
Q. 「共働き・共育て」の理想的な関係とは?
私たちが目指す理想は「デュアルキャリアカップル」です。これは夫婦それぞれが自立的にキャリアを形成し、ともにキャリアアップを目指しながら、家庭責任も仕事の責任もそれぞれがしっかり担っていく関係です。
これが実現できれば、「男は稼がなければならない」という重圧から解放され、リスク分散にもなります。インタビューした男性の中には「妻が働いているからこそ、自分は転職というリスクを取れた」と語る人もいました。互いの依存関係ではなく、パートナーシップの関係が「デュアルキャリアカップル」の特徴です。
Q. 「共働き・共育て」を実現するために、当事者として何ができますか?
まず大切なのは、キャリアについて夫婦で話し合うことです。家事や育児の分担については日々話し合うカップルが多いですが、お互いのキャリアについても同じように話し合うことが重要です。
具体的なきっかけとしては、会社のキャリア研修や、この記事のような情報をきっかけに会話を始めるのも良いでしょう。また、環境の変化(子供の成長、仕事の変化など)があるたびに話し合いの機会を持つことも大切です。
夫婦をチームと考え、どうしたら幸せになれるかを一緒に考えることが重要です。例えば、週に1日でも時間を気にせずに仕事に打ち込める日を作ることも効果的です。調査によると、夫が週に1回(20%)以上保育園のお迎えに行くと、妻のキャリアアップ意識が高まるというデータもあります。
Q. 上司や会社はどのようなサポートができますか?
上司として大切なのは、世代間の価値観の違いを認識し、「自分たちの時代はこうだった」という考えではなく、今の人たちが幸せになる方法を考えることです。無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)を捨て、目の前にいる個人がどのような状況にあるのかをよく知ることが重要です。

自分自身の働き方を振り返り、仕事と家庭のバランスや幸せとは何かを考え直すことも大切です。コロナをきっかけに生活を見直し、仕事の仕方と家庭との関わり方を180度変えた管理職もいます。
会社としては、男性社員自身の両立の問題としても捉える視点が必要です。育児休業を取得した男性は「効率的に仕事を行うようになった」「周囲の人に配慮できるようになった」などのメリットを感じています。これは研修では得られない貴重な経験です。
また、柔軟な働き方(テレワーク、フレックスタイム制など)の導入や、「残業している人の方が頑張っている」という価値観の見直しも必要です。一部の企業では、上司の評価に「部下の男性育休取得率」を含めるなど、制度面での工夫も始まっています。
Q. 社会全体としてできることは何ですか?
重要なのは、子育てしている人だけが時間制約を持っているのではなく、すべての人が何らかの事情を抱えながら働いているという前提に立つことです。病気治療中の人、介護をしている人、学校に通いたい人など、誰もが何らかの制約の中で働いています。
特定の世代や状況の人だけを特別扱いするのではなく、すべての人の事情に対応できる柔軟な社会を目指すことが大切です。それによって、子育て世代と他の世代の分断を防ぎ、互いに支え合える環境が作れます。

外部のサポートを積極的に活用することも重要です。ベビーシッターや宅配サービス、シルバー人材センターなど、様々なリソースを使って無理なく両立する工夫をしているカップルもいます。「二人で何とかしなければならない」という考え方にとらわれず、社会のリソースを上手に活用することが大切です。
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現代の「共働き・共育て」世代は、多くの課題に直面しながらも、自分たちなりの方法で両立を模索しています。大切なのは、外からどう見えるかではなく、自分たち家族がどう感じているかです。個々の家庭に合った形で、社会のサポートも活用しながら、互いのキャリアと子育てを大切にする関係を築いていくことが、これからの時代の理想的な形なのかもしれません。