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医療費48兆円をどう削減するか?
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2025年5月22日

社会保障費の膨張により、現役世代の負担が高まっている。その中心にあるのが、48兆円の医療費だ。医療費削減のために具体的にどう制度を変えればいいのか?作家の猪瀬直樹氏と雇用ジャーナリストの海老原嗣生氏に議論してもらった。 <ゲスト> 猪瀬直樹|作家・日本維新の会 参議院幹事長 1987年、『ミカドの...
「医療費47兆円をどう削減するか?猪瀬直樹が語る具体策と社会保障改革の行方」
医療費が年々増加を続け、日本の財政を圧迫している。47兆円にも達した医療費をどう削減すべきか。猪瀬直樹氏が具体的な解決策を語った。

Q. なぜ日本の医療費は膨れ上がり続けるのか
日本の医療費は年間47兆円から48兆円に達している。このままでは数年で50兆円を超える見込みだ。これは国民全体の負担となる。例えば、30歳で年収350万円の単身世帯の場合、所得税は7万円にすぎないが、社会保険料は50万円もかかる。その半分が医療保険だ。さらに会社側も同額の50万円を負担するため、実質的には100万円の負担となっている。

この医療費を10%(約4兆円)削減できれば、30歳の人の手取りが6万円増える計算になる。
Q. OTC医薬品と処方薬の関係はどうなっているのか
現在の医療費削減の具体策として、処方箋医薬品とOTC医薬品(市販薬)の関係を見直す必要がある。処方箋医薬品は11兆円規模で、これに対しOTC類似薬は1兆円程度だ。
問題は、処方箋医薬品を処方箋なしで購入できるようにする「スイッチ」の動きが非常に遅いことだ。1245成分ある医薬品のうち、この3年間で処方箋なしになったのはわずか12成分にとどまる。
医薬品の流れを「川の流れ」に例えると、左側(処方薬)から右側(ドラッグストアで購入できる薬)へのスイッチが滞っている。OTC類似薬を処方箋なしで購入できるようにすれば、そこだけで1兆円の医療費削減が可能になる。
Q. 門前薬局の問題点は何か
医療費を押し上げているもう一つの大きな問題が、門前薬局の存在だ。これらの薬局は病院の周りに並び、処方箋を持った患者を待ち受けている。
院内処方(病院内で薬を出す)と院外処方(調剤薬局で薬をもらう)では、コストに大きな差がある。例えば、院内処方なら300円程度の手数料が、院外の門前薬局では調剤基本料、薬剤調整料、薬剤管理料など様々な名目で2300円にもなる。つまり、約7倍のコストだ。

現在、薬代は年間約6兆円だが、それに対して手数料が2兆1000億円にものぼる。薬代の3分の1以上が手数料という不均衡な状況が生じている。
Q. 日本の病床数はなぜ多すぎるのか
日本は人口当たりの病床数が世界一多い。現在、一般病床は約120万床あるが、これは必要以上だと指摘されている。入院日数が他国と比較して長いことが主な原因だ。
興味深いことに、この問題を解決する動きも出始めている。病床削減のための補助金制度が作られ、わずか3週間の募集期間で予想を上回る申請があった。7000床分の予算で募集したところ、5万4000床分の申請があったのだ。これは多くの医療機関が病床を減らしたいと考えていることを示している。
仮に10万床を削減できれば、年間2兆円程度の医療費削減が可能になるとみられる。
Q. 精神科病床の問題はどうなっているのか
精神科病床も大きな問題だ。日本には精神科病床が約32万床あり、現在入院している患者は約25万人だ。特に問題なのは、1年から5年、さらには5年以上の長期入院患者が多いことだ。
欧米では精神科患者の多くがグループホームなどの地域施設で生活しているのに対し、日本では病院に長期入院させる傾向が強い。精神科病院の患者一人当たりの年間コストは約500万円だが、これをグループホームに移せば半額以下になる。
単純計算で、この移行だけで7000億円の削減効果が期待できる。
Q. 社会保障改革を進める上での障壁は何か
社会保障改革を進める上での最大の障壁は、利益団体とそれに支えられた政治家の存在だ。医療・薬剤業界などの強い抵抗があり、改革が進みにくい構造になっている。

また、メディアが医療費削減の問題を十分に取り上げないことも課題だ。猪瀬氏は「地上波がなかなかついてこない」と指摘する。改革を進めるためには、ニュートラルなデータに基づいた議論が必要だが、感情的な議論や断片的な情報に流されがちな現状がある。
Q. 医療費削減に向けた現在の進捗状況は
猪瀬氏が所属する日本維新の会は、これらの医療費削減策を主要テーマとして掲げ、自民党・公明党との協議体を設置している。ただし、具体的な進展はまだこれからだ。最終的には総理大臣のレベルでの決断が必要になるだろうと猪瀬氏は見ている。
医療費削減は単なる財政問題ではなく、将来の国家の行方を左右する重要課題だ。猪瀬氏は、昭和16年の戦争突入時の意思決定と同様に、データに基づいた冷静な国家意思決定の重要性を強調している。
Q. 医療費削減で期待できる効果は
医療費を4兆円削減できれば、前述のように30歳の人の手取りが6万円増える。また、病床削減で2兆円、精神科病床の適正化で7000億円など、様々な施策を組み合わせることで、国民の負担軽減と医療の質の向上を両立させることが可能だ。
ただし、これを実現するためには、政治的な決断力とメディアを含めた世論形成が不可欠だ。短絡的な議論ではなく、データに基づいた冷静な議論を通じて、持続可能な社会保障制度を構築していく必要がある。