PIVOT TALK BUSINESS
キャリアを守る休職・復職法
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2025年5月23日

100人に3人がなってもおかしくないというメンタル不調 自分は大丈夫か?どう対処すべきか?仲間がメンタル不調になった時はどう接したらよいのか? 産業医を15年間以上つとめる武神健之氏に、基本から話を聞いた。 <ゲスト> 武神健之|產業医 神戸大学医学部卒業。東京大学大学院医学部在籍中に有限会社ジ...
メンタル不調と休職の真実:あなたの会社の休職制度を知っていますか?
メンタル不調による休職は特別なことではない。がんや糖尿病と同じく「たまたまなってしまった」病気だ。しかし、多くの人がその実態を知らないまま働いている。適応障害で休職する場合、平均期間はどのくらい?休職中はどう過ごすべき?復職の判断基準は?産業医の武神健之氏に聞いた。

Q. 適応障害で休職する場合、平均的な期間はどのくらいですか?
適応障害の場合、平均的な休職期間は5〜6ヶ月程度です。ただし、これは会社の就業規則によって異なります。就業規則に病気による休みが「3ヶ月まで」と定められている会社であれば、5ヶ月の休職はできません。
会社によって休職できる期間は大きく異なるため、自分の会社の就業規則を事前に確認しておくことが重要です。実は多くの人が、転職時に給与体系は細かくチェックするものの、休職制度などの福利厚生についてはあまり注目していません。自分が働いているルールを知らないまま仕事をしているのです。
Q. 休職中はどのように過ごすべきですか?
まず大切なのは、「ゆっくり休む」ことです。朝のアラームを切り、会社のメールは見ず、寝たいだけ寝ることが重要です。お昼寝も推奨されます。夕方5時以降にお昼寝しなければ、夜眠れないのは病気が原因であり、昼寝のせいではありません。

特に休職初期は「だらだら」することが大切です。メンタル不調の人は真面目で計画的な人が多く、「4月はゆっくり、5月は準備期間、6月は復職準備、7月から復帰」などと計画を立てがちですが、それを止めるのが産業医の役目でもあります。
睡眠は特に重要です。寝ることで、セロトニン(ハッピーホルモン)という脳内伝達物質が生産されます。メンタル不調の人にはこれが不足していることが多いため、食べて寝ることが電池の充電のように必要なのです。
Q. 休職中に旅行に行ってもいいのでしょうか?
医学的には問題ありません。ただし、休職の結果、同僚の仕事は増えているため、SNSへの投稿などは配慮が必要です。休職した人が旅行を楽しんでいる様子を見る同僚の気持ちも考慮すべきです。
メンタル不調の人は「そんなことをしていいのですか?」と尋ねる傾向がありますが、川に行くことやイタリアに行くことも含め、基本的には自由に過ごして構いません。むしろ、そのような質問をすることなく楽しめる人は、メンタル不調になりにくい傾向があります。
Q. 復職の準備開始はいつごろから始められますか?
主に以下の条件が整っているかを見ます:
1. 睡眠が規則正しく取れているか
2. 一日の6割程度の時間を家の外で過ごせるか(家事をしている時間も活動的に過ごしているとみなします)
これらの条件が満たされると、「回復期」から「復職準備期」に入ったと判断し、復職に向けた準備を始めます。
復職準備としては次のようなことが必要です:
- 体の準備:睡眠時間を5〜6時間から8時間に伸ばす、通勤練習をする(特にラッシュ時の電車に乗る練習は重要)
- 心の準備:いつから調子が悪くなったのか、どうして調子が悪くなったのか振り返り、同じ状況になったときの対処法を考える
心の準備ができていなくても復職を断ることはありませんが、準備をしておくと復職がスムーズになります。実際、通勤練習をせずに突然復職を試みると、会社の最寄り駅に着いただけで調子が悪くなり、復職できなくなるケースもあります。
Q. 休職後、同じ職場に戻るべきか転職すべきか迷っています
転職も前向きな選択肢の一つです。特に、復職準備期に入っても会社のことを考えると涙が出る、眠れなくなるという場合は、環境が合っていない可能性があります。
ただし、休職直後の判断力が低下している時期に転職を考えるのではなく、ある程度回復してから検討するのが良いでしょう。興味深いことに、多くの人は転職について考える際には症状が出ないことがあります。これは、その人にとって転職が良い選択肢である可能性を示唆しています。
また、メンタル不調で一度休職した人が同じ環境に戻ると、2回目のメンタル不調はより深刻になる傾向があります。2回目は「頑張らなければ」と我慢してしまうためです。もし2回目に調子が悪くなるなら、その環境が自分に合っていないと判断し、退職を考えるのも一つの選択肢です。
Q. 休職中の同僚にはどう接するべきですか?
基本的には「そっとしておく」のが最善です。何かあれば連絡してねという心構えでいて、戻ってきた時に温かく迎えることが大切です。

友人関係が深い場合を除き、休職中の人に連絡するのは避けた方が良いでしょう。「声をかけていいですか?」と産業医や人事に聞くこと自体、自己満足である可能性があります。メンタル不調の状態では、どんな言葉も否定的に受け取りがちです。「ゆっくり休んでね」と言われれば「私はいらない存在なのだ」と、「頑張って早く帰ってきてね」と言われれば「頑張れない自分はダメなのだ」と解釈してしまうことがあります。
Q. メンタル不調は「弱さ」の表れですか?
全くそうではありません。メンタル不調になる人が弱いとは思いません。むしろ真面目で責任感が強い人がなりやすい傾向があります。がんや糖尿病と同じく、「たまたまなってしまった」と考えるべきです。
食生活や運動、気分転換などの影響が全くないとは言えませんが、メンタル不調になったことに恥じる必要はありません。働けるか働けないかの問題であり、それ以上の意味はないのです。
Q. 会社は産業医についてどう考えるべきですか?
良い産業医を雇うことをお勧めします。特に小規模な会社では、1人がメンタル不調になった場合の影響が大きいため、適切に対応できる産業医の存在が重要です。検診機関に任せて安くすませるよりも、専門の産業医を雇った方が長期的には良いでしょう。

良い産業医の条件としては:
- コミュニケーション能力が高い
- 何らかの専門医としての経験がある
- 社会常識があり、人事担当者が自分の身内の相談をしたいと思えるような人物
直接産業医になった「直産」よりも、臨床経験を積んだ上で産業医になった医師の方が望ましいでしょう。産業医の資格を持つ医師は日本の医師の約4分の1にも上りますが、その中から適切な人を選ぶことが重要です。