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日経平均4万円の回復はいつか?
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2025年5月21日

トランプ関税後の大幅下落から値を戻しつつある日経平均。このまま回復は続くのか?4万円回復は年内にありうるのか?ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストに聞いた。 <ゲスト> 井出真吾|ニッセイ基礎研究所 主席研究員 チーフ株式ストラテジスト 1993年東京工業大学卒業、日本生命保険入社...
日経平均4万円回復はいつ?「ジェットコースターのような乱高下で今は材料待ち」実力水準はどこか
Q. 日経平均株価が4万円を回復するのはいつ頃だと思いますか?
日経平均株価は4月に大きく下落した後、急速に回復しましたが、現在はやや足踏み状態です。完全に材料不足の状況になっています。4月7日に3万1000円台まで下落した後、V字回復して3万5000円までの回復は早かったです。その後、一度3万8000円まで戻した後、やや押し戻されています。

材料不足の背景として、トランプ前大統領の関税政策に関する懸念が和らいでいることや、ロシア・ウクライナ情勢も大きな動きがないこと、そして日本企業の決算発表が一段落したことが挙げられます。現在は次の材料を待っている状態といえるでしょう。
Q. 4月の急落はなぜ起きたのでしょうか?
4月2日にトランプ前大統領が総合関税の発表をしたことが急落の原因です。これは市場に大きな衝撃を与えました。S&P500も日経平均も大きく下落し、日経平均は一時3万1000円を割るまで落ち込みました。この下落は「令和のブラックマンデー」と呼ばれた昨年8月の水準を下回るものでした。
その後、株価は急速に回復しましたが、関税政策による企業業績への影響懸念は依然として残っています。この影響により、アナリストたちも業績予想を急速に下方修正しています。
Q. 日経平均の「身の丈」と呼ばれる適正水準はどのあたりなのでしょうか?
日経平均の「身の丈」とは、PER(株価収益率)14倍から16倍で計算される標準的な株価レンジのことです。現在、この身の丈が縮んできています。これは日本企業の業績見通しが悪化しているためです。
4月7日に3万1000円台まで下落した時は、この身の丈より大幅に下にあったため「売られすぎ」と判断され、すぐに3万5000円程度まで回復しました。しかし現在は割安感がなくなってきており、業績から見た株価の実力が下がっている状態です。

これはトランプ関税の影響で輸出企業を中心に業績が打撃を受けるという懸念があるためです。アナリストによる企業業績の見通し修正を表すリビジョンインデックスも、2月頃から下がり始め、特に4月以降は急速に低下しています。
Q. 日経平均が4万円を回復する可能性はどれくらいありますか?
年内の4万円回復の可能性は約30%程度と見ています。現時点では楽観できる状況ではありません。年末の水準としては3万8000円から9000円くらいを想定しています。ただし、年末近くに一時的に4万円をタッチする可能性はあります。
業績が5%増益で着地すれば、PER15.5倍程度で計算して4万円をやや超える水準になります。しかし業績が横ばいの場合、PER16倍でようやく4万円ですから、通常のPER15.5倍では3万9000円程度が上限となってしまいます。
現在の株価は横ばい業績をベースにPER15倍から15.2倍程度で評価されており、市場はやや慎重な見方をしています。業績がどうなるかはトランプ関税次第という部分が大きく、これが今後の最大の不確定要素です。
Q. 企業の業績予想はどのような状況ですか?
現在、日経平均採用企業225社の純利益合計の予想には大きな開きがあります。市場予想(アナリスト予想)では5.2%の増益が見込まれていますが、企業側が発表した予想では2.1%の減益となっています。
例年、企業は慎重な予想を出し、四半期ごとの決算で少しずつ上方修正していくパターンが多いのですが、今年はその開きが例年より大きくなっています。これは関税の影響をどう織り込むかで対応がまちまちだからです。
例えばトヨタ自動車の場合、関税の影響は4月、5月の2ヶ月分だけを織り込んでいます。つまり6月以降の関税影響は含まれていないため、関税が続くなら下方修正が必要になる可能性があります。
このように今年の業績は、トランプ関税がどうなるかによって大きく変わる可能性があります。夏頃には関税の枠組みがある程度決まり、中間決算(10月頃)では業績の方向性がより明確になると予想されます。
Q. 今後の株価に影響する他の要因はありますか?
株価に影響する要素としては、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ期待が挙げられます。現在、市場は年内3〜4回の利下げを期待していますが、これは楽観的すぎる可能性があります。
関税によるインフレ再燃の可能性を考えると、FRBがそれほど積極的に利下げできない可能性があります。6月のFOMC(連邦公開市場委員会)で発表されるドットチャート(金利見通し)で、利下げ回数が市場予想より少なくなれば、株式市場にマイナスの影響を与える可能性があります。

一方、為替の影響も重要です。FRBが利下げをあまり行わなければ、円安傾向が続く可能性があり、これは輸出企業にとってはプラス要因になります。現在、多くの企業は1ドル143円程度の為替レートを想定していますが、実際には145〜146円で推移しています。FRBが利下げに慎重なら150円近くまで円安が進む可能性もあり、これは輸出企業の業績を押し上げる効果があります。
Q. 投資家はどのように対応すべきでしょうか?
現時点では不確実性が高いため、一括で大きく投資するよりも、購入のタイミングを分散させるのが良いでしょう。例えば、ボーナスで100万円投資する場合、一度に投入するのではなく、20万円ずつ5回に分けて投資するなど、時間分散を図ることをお勧めします。
投資スタイルについては、個人の性格や目標によって異なります。心の安定を求めるなら分散投資が適していますが、より高いリターンを求めるなら集中投資という選択肢もあります。例えばS&P500は過去37年間で年率約12%のリターンがあり、より分散されたオール・カントリー指数の年率9%より高いパフォーマンスを示しています。

4月初めの急落時には、多くの個人投資家が「安値圏」と判断して買いを入れました。日本の個人投資家の金融リテラシーは着実に高まっており、昨年8月の「令和のブラックマンデー」の経験から学び、過度に売り急がない投資家が増えています。急落時に「ここで買わずにいつ買うのか」という判断ができる投資家が増えていることは良い傾向です。
最後に、S&P500については、5500〜5800程度が適正水準と考えられます。現在はやや高い水準にありますが、長期投資の観点では下落時に買い増すという戦略が有効でしょう。