日本再興ラストチャンス
生成AIで日本が勝つ方法
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2025年5月9日

日本が生成AIで世界をリードするには、どのような方法があるか? PKSHA Technology代表の上野山勝也氏、デジタルガレージ共同創業者の伊藤穰一氏、慶應義塾大学教授の中室牧子氏に、生成AI時代の日本の勝ち筋を聞いた。
日本がAI時代に勝つための戦略とは?専門家が語る成功の鍵
「AIがAIできるんだから、ロボット人間を作らないというルールにするには、その人の強みをもっと強くするという方が多分AIの時代に向いている」—これは日本のAI戦略を考える上で重要な視点だ。
日本は今、AIを活用してグローバル競争で勝ち抜くための戦略を模索している。何に投資し、どのような人材を育成すべきか。PKSHA Technology代表の上野山勝也氏、デジタルガレージ共同創業者の伊藤穰一氏、慶應義塾大学教授の中室牧子氏が、日本のAI戦略について語った。

どの分野に投資すべき?フィジカルAIと科学技術が鍵
Q: 日本がビジネス戦略で勝つためには、どの分野に力を入れるべきですか?
知能化する機械、つまりハードウェア・モノづくりという日本の強みが生きるフィジカルAI分野が一つの巨大な柱となる。もう一つが科学技術分野だ。例えばGoogleが開発したAlphaFoldのようなタンパク質構造予測モデルなど、AIと組み合わせて科学的発明を加速させる領域が重要になる。
この2つの分野は非常に巨大であり、日本が強みとする本柱でもある。これらを無視すれば、AI化された20年後には日本の強みが完全に無効化され、単なる下請けのデバイスをつなぐだけの存在になってしまう可能性がある。国レベルで見ると、この2分野は極めて重要だ。
人型ロボットで中国に先行されている日本の現状
Q: フィジカルAIの分野では、現在どの国が先行していますか?
スタートアップを見ると、中国、アメリカ、フランスにヒューマノイド系が多数存在している。中国はフィジカルAIを国の柱に据え、全力で取り組んでいる。サプライチェーンから何まで今作っていて、国家戦略として推進している。日本も検討し始めているが、出遅れている状況だ。
興味深いのは、ロボットの設計思想にも違いがあることだ。足が必要かどうかという議論もある。本当はバリアフリー環境なら車輪で動くロボットでも良いのだが、現実の世界がそうなっていないため、人型ロボットが必要になっている側面もある。日本はかつてロボット開発で先行していたが、今は「ロボット疲れ」を起こしている可能性もある。
日本企業のAI投資と研究開発の課題
Q: 日本企業はAI分野の研究開発にどう取り組むべきですか?
日本企業、特に大企業の巨大な研究開発費をもっと中期的視点でAI関連分野に投入していくべきだ。AI関連で今後立ち上がる巨大産業はある程度予測可能であり、そこに試行錯誤と人材とお金を投入する以外に道はない。それができるのは日本では大企業しかないだろう。
しかし、大企業の研究開発は応用に至らないことが多い。重要なプロジェクトほど社内で行おうとする傾向があるが、実は外部に切り出した方が成功するケースが多い。「デジマモデル」と呼ばれる方式だ。例えばソニーではPlayStationやSo-netなど外部に出したプロジェクトが成功している。Amazonも同様だ。
重要なのはプロジェクトを本体の人事制度から切り離しつつも、トップと繋がった構造を作ることだ。これには経営トップの決断が必要となる。

AIと教育システムの矛盾
Q: 日本の教育システムはAI時代に適応できていますか?
日本の教育システムは標準化された「ロボットのような人間」を作るために最適化されている。入学するための試験は難しく、自分の弱点を克服するために勉強する。その結果、標準化された平均的な人間になるインセンティブが高い。
しかし、AI時代は「弱みを上げる」のではなく「強みをもっと強くする」ことが重要だ。これは標準化された試験をベースにした日本の教育システムとは相性が悪い。また、偏差値を中心とした大学から採用する企業の存在が、朝までAIを研究するような特異な人材の育成を阻害している。
日本の大学は7割が文系、3割が理系だが、この割合を逆転させる議論も出ている。しかし、大学という組織は急速に方向転換することが難しい。そこで重要なのが、学校以外の教育機会の増加だ。例えば42東京のように、企業が出資して学費0円でエンジニアを育成する取り組みなどが注目される。
AI時代に日本が輝くためのメッセージ
Q: 日本がAI時代にさらに輝くためには何が必要ですか?
日本は変化が遅いが、きちんと仕上げて本当に役立つものを作ることができる。歴史を振り返れば、自動車産業やゲーム、コンテンツなど、後から参入しても世界をリードした例は多い。遅れていることを弱みと考えず、「一瞬遅れのフロントランナー」になることが可能だ。
若い世代へのメッセージとしては、AIの進化により新しい産業やビジネスが広がっていくので、新しいものを面白がり試せる人にとっては非常に面白い時代が来ている。
また、異質な文化に触れることで自己を確立した人が多いことも注目すべき点だ。日本は社会システムが高度に発達した素晴らしい国だが、中にいるとそれが見えにくい。外に出ることで環境を揺さぶりながら内面を拡張していくことが、教育の本質ではないだろうか。

AIの世界では異質なものの掛け合わせが重要であり、縦割りの世界とは対極にある。最後に政府の役割として、データ活用のルールや規制を適切に設計することが極めて重要だ。個人や企業では変えられないルールメイキングは政府の仕事であり、制限がかからないよう進めてもらうことが大切だ。
専門家は、フィジカルAI開発で中国に先行されていると指摘