PIVOT TALK BUSINESS
生前にできる相続対策
(363)
1.0万回視聴
2025年5月7日

なんだか難しそうでめんどくさそうで、話題に出すのもタブーなイメージさえある相続。 どう準備を進めていけばいいのか?家族でいつから話し合えばいいのか?相続を専門とする税理士の前田智子氏に話を聞いた。 <ゲスト> 前田智子|税理士 行政書士 名古屋市立大学卒業。 2004年税理士法人トーマツ(現デロイ...
相続トラブルを防ぐ秘訣「生前の対話」と「納得の相続」
遺言書の作成や財産管理、相続税対策など、相続に関する疑問は尽きないものです。今回は、相続を専門とする税理士の前田智子氏に、トラブルなく円満な相続を実現するためのポイントを聞きました。

Q: 遺言書は誰が作成すべきですか?
特に遺言書を作成した方がよい方は以下のようなケースです。
- 子供がいない夫婦
- 2度以上結婚していて、それぞれの家庭で子供がいる場合
- 事実婚で内縁の配偶者がいる場合
- 再婚して配偶者の連れ子がいる場合
- 独身の場合
- 会社を経営していて、事業承継を考えている場合
例えば、子供がいない夫婦の場合、「自分が全て相続できる」と思っていても、実際には兄弟が相続人になるケースがあります。このような場合、先に配偶者に遺言書を書いてもらうことで、スムーズな相続が可能になります。
Q: 遺言書には種類があるのですか?
遺言書には主に2種類あります。
1. 自筆証書遺言:自分で手書きする遺言書
2. 公正証書遺言:公証役場で公証人と一緒に作成する遺言書
自筆証書遺言は手軽に作成できますが、形式が整っていないと無効になる可能性があります。一方、公正証書遺言は公証役場で保管してもらえるため紛失の心配がなく、形式面でも安心です。次の世代の手続きを考えると、公正証書遺言がおすすめです。

Q: 公正証書遺言の作成手順を教えてください
公正証書遺言は以下の手順で作成します。
1. 公証役場に行き、公証人に自分の希望を伝える
2. 公証人が遺言の内容を文書にまとめる
3. 内容を確認する
4. 利害関係のない第三者2名を証人として立ち会ってもらう
5. 間違いがなければ署名し、実印を押す
公証役場で保管してもらえるので安全ですが、財産額に応じて30万円から40万円程度の費用がかかります。また、内容を変更する場合は再度公証役場へ行く必要があります。
Q: 自筆証書遺言の場合、どう保管すればよいですか?
自筆証書遺言は基本的に自宅で保管することになります。火災などのリスクを考慮して、耐火金庫などに入れておくとよいでしょう。ただし、金庫が開けられなければ意味がないので、保管場所やパスワードは家族に伝えておくことが大切です。
なお、自筆証書遺言は法務局に保管してもらうこともできます。この場合、相続発生後に法務局に問い合わせれば見つけることができます。
Q: 相続税対策として有効な方法は何ですか?
相続税対策として特に有効な方法は以下の3つです。
1. 生命保険の活用
2. 小規模宅地等の特例
3. 生前贈与
まず、生命保険は相続人一人あたり500万円まで非課税になるため、効果的な対策になります。例えば、配偶者と子供2人がいる場合、1,500万円まで非課税枠が使えます。
小規模宅地等の特例は、被相続人が住んでいた土地の評価額を最大80%減額できる制度です。例えば5,000万円の土地なら1,000万円として評価されるため、大幅な節税効果があります。ただし、条件が細かいので、専門家に相談するとよいでしょう。
Q: 生前贈与を行う際の注意点はありますか?
生前贈与は年間110万円までなら贈与税がかからない制度を活用するものですが、家族関係に影響を与える可能性があるため注意が必要です。
例えば、親が子供A(子供がいる)と子供B(子供がいない)に対して不平等に贈与を行うと、後々トラブルになる可能性があります。「子供がいるから多く贈与する」というのは親からすれば平等でも、子供Bからすれば不平等に感じるかもしれません。
また、贈与を行う際は「贈与契約書」を作成しておくことが大切です。「あげました、もらいました」という事実を証明するためのもので、夫婦間であっても作成しておくべきです。インターネットなどで見つけられるフォーマットを利用し、お互いが署名・捺印するとよいでしょう。

Q: 相続が発生したら、まず何をすべきですか?
相続が発生したら、まず相続人を確定させることが重要です。被相続人の生まれてから亡くなるまでの戸籍、および相続人の現在の戸籍を集めて、相続人が誰かを確定させます。
戸籍を調べることで、認知した子がいるなど、自分たちが知らない相続人が見つかることもあります。次に、遺言書があるかどうかを確認します。公正証書遺言なら公証役場で、法務局保管の自筆証書遺言なら法務局で調べることができます。
もし自宅保管の自筆証書遺言を見つけた場合は、開封せずに家庭裁判所で検認という手続きを行う必要があります。開封してしまうと5万円以下の過料が科される可能性があるので注意しましょう。
Q: 相続手続きの中で、法定相続情報一覧図とは何ですか?
法定相続情報一覧図は、相続人が確定したことを証明する書類です。法務局で作成してもらえます。この書類があれば、さまざまな相続手続きで戸籍謄本を何度も提出する必要がなくなります。
戸籍は1通あたり数百円から数千円かかりますが、法定相続情報一覧図があれば無料で必要な枚数が発行されるため、手続きが効率的になります。
Q: 遺産分割協議はいつ頃行うべきですか?
相続税の申告がある場合は、被相続人が亡くなってから10ヶ月以内に申告する必要があるため、それまでに遺産分割協議を済ませるのが理想的です。特に申告が関係ない場合でも、10ヶ月から1年を目安に行うとよいでしょう。
ただし、四十九日法要を過ぎた頃から少しずつ動き始め、まずは財産目録を作成するところから始めるとよいでしょう。財産目録があれば、後の手続きがスムーズになります。
Q: 相続でよくあるトラブルは何ですか?

相続でよくあるトラブルには、次のようなものがあります。
1. 相続税対策を優先するあまり、家族関係が悪化するケース
2. 相続人以外の家族(配偶者や孫の配偶者など)が介入するケース
3. 相続財産の具体的な金額が明らかになった時に、想像以上の金額に「欲しい」気持ちが生まれるケース
4. 現金は欲しいが、管理の手間がかかる土地や山林などは引き継ぎたくないケース
Q: 相続トラブルを防ぐために大切なことは何ですか?
相続トラブルを防ぐために最も大切なのは、生前から家族が集まる機会を増やし、お互いの状況を理解し合うことです。顔を合わせることで、誤解が生まれにくくなります。
また、親が生前に自分の考えを子どもたちに伝えておくことも重要です。例えば、「お墓の管理をする長男には少し多めに遺すつもりだ」と事前に説明しておけば、相続時に兄弟間でトラブルになりにくくなります。
Q: 相続に関して専門家に相談する場合、どのような人に頼るべきですか?
相続の内容によって、頼るべき専門家は異なります。
- 相続税がかかる場合:税理士
- 不動産がある場合:司法書士(土地や建物の名義変更)
- 不動産がなく預金のみの場合:行政書士(遺産分割協議書の作成)
- 相続人同士が揉めている場合:弁護士(代理人として交渉)
専門家を選ぶ際は、相続の経験が豊富かどうかに加え、人柄も重要です。相続の手続きは約10ヶ月かかることが多く、その間にプライベートな情報も共有することになるため、信頼できる人を選ぶとよいでしょう。
Q: 相続で最も大切なポイントは何ですか?
相続で最も大切なのは、関係者全員が「納得すること」です。優しい気持ちを持ち寄り、お互いが納得する形で相続を進めることが、円満な相続につながります。そのためにも、事前の準備と家族間のコミュニケーションが欠かせません。
相続は単なる財産分与ではなく、故人の想いを次の世代に伝える大切な機会でもあります。トラブルなく、故人の想いを次世代に引き継ぐためにも、生前からの準備と対話を大切にしましょう。
