
財産と親権をめぐる泥沼離婚の実態
離婚は"経済戦争"?富裕層の離婚で2億円失った男性も…弁護士が明かす離婚の真実
離婚は人生における大きな岐路であり、多くの場合、感情的な問題だけでなく経済的な側面も持ち合わせている。日本では2分に1組の夫婦が離婚しているという現実の中、その裏側では"財産分与"という名の経済戦争が繰り広げられている。特に富裕層の場合、その金額は億単位になることも珍しくない。今回は離婚弁護士・清水理聖氏に、離婚にまつわる法律と経済の現実について聞いた。

Q: 離婚するとき、どんな手続きがあるの?
離婚の手続きは主に3つのステップがある。まず「協議離婚」、次に「調停離婚」、そして最後が「裁判離婚」だ。
協議離婚は当事者同士で話し合って離婚届にサインして終了する最も一般的な方法。これで解決しない場合は家庭裁判所に入ってもらう調停に進む。調停でも解決しない場合は、裁判で法律上の離婚要件があるか審議される。
ほとんどの離婚は協議で成立するが、弁護士を立てずに進めると養育費の未払いなどの問題が生じることがある。弁護士を入れておけば、給料差し押さえなどの強制執行も可能になるため、トラブルを避けることができる。

Q: 裁判所は離婚の際、どちらの味方をするの?
基本的に裁判所は弱い立場の人を守る傾向がある。収入が少ない方や、精神的に追い詰められている方に寄り添う法律と言える。
また、浮気など婚姻関係を壊した側(有責配偶者)が離婚を求める場合、裁判所は基本的に離婚を認めない。ただし、①相当長期の別居状態、②子どもが成熟していること、③離婚によって他方配偶者が経済的に過酷な状況にならないこと、という3つの要件を満たせば離婚が認められる場合もある。
裁判所は単にどちらが悪いかを判断するのではなく、離婚後の生活の安定性なども考慮して判断している。
Q: 離婚で発生する金銭問題にはどんなものがある?
離婚時の金銭問題は主に3つある。「婚姻費用・養育費」「財産分与・年金分割」「慰謝料・解決金」だ。
まず「婚姻費用」は別居後、離婚が成立するまでの生活費で、収入が高い配偶者から低い配偶者に支払われる。「養育費」は離婚後、子どもがいる場合に支払われる養育のための費用だ。
例えば支払う側の年収が1500万円、受け取る側が300万円で子ども2人の場合、月額31万円ほどの婚姻費用が発生する。年収2000万円以上だと42万円にもなることがある。

Q: 財産分与ってどういう仕組み?
財産分与は、結婚してから別居するまでの間に夫婦が築いた財産を半分ずつ分けるもの。結婚前からの財産や相続・贈与で得た財産は、それを証明できれば対象外となる。
この制度の背景には「内助の功」という考え方がある。配偶者のサポートがあって初めて仕事に専念できるという発想だ。ただし、現代は共働き世帯も多く、「片方だけが貯金して、もう片方は全て生活費に使っていた」ような不公平な場合にも調整が必要になる。
会社経営者の場合は特に注意が必要だ。会社を結婚後に設立した場合、その株も財産分与の対象になる。実質的に会社資産の半分を手放さなければならないケースもある。
また、退職金や年金も分与対象となる。年金は将来受け取る際に年金事務所が分割して振り込む仕組みになっている。
Q: 慰謝料はどのくらいもらえるの?
意外かもしれないが、浮気などの不貞行為による慰謝料の相場は約300万円程度。収入に関わらず、この金額があまり変わらないのが現状だ。
一方、「解決金」は別の概念で、特に自分が浮気して離婚したい場合などに発生する。
裁判所は基本的に浮気した側からの離婚請求を認めないため、早期に離婚するには相手の同意が必要となる。そのための「手切れ金」的な性質を持つのが解決金だ。
通常、別居から3年程度経過しないと離婚が認められないケースが多いため、その間ずっと婚姻費用を支払い続けることになる。年収2000万円の場合、3年で約1500万円の婚姻費用がかかることも。それを避けるため、解決金を支払って早期解決を図るケースが多い。

Q: リアルな離婚争いの例は?
ある事例では、妻の浮気が原因で夫が離婚を求めたにもかかわらず、妻に1億9800万円もの財産分与をすることになった。これは、浮気したからといって財産分与の権利がなくなるわけではないという法律の原則を示している。
別の例では、自分が浮気して別れたい夫が、妻が住む自宅の住宅ローン30万円に加え、月100万円の婚姻費用を支払うことになった。離婚が成立するまでの経済的負担は非常に大きくなる可能性がある。
Q: 子どもの親権はどうやって決まるの?
日本では「単独親権」を採用しているため、離婚時にどちらか一方が親権者になる必要がある。
親権争いがある場合、最も重視されるのは「これまで子どもの面倒を主に誰が見てきたか」という点。親子の関係性や日常的なケアをどちらがしていたかが重要な判断材料となる。
保育園の先生やかかりつけ医など第三者の証言も参考にされる。中には育児日記をつけて記録している人もいるが、通常は準備していない人がほとんどだ。
Q: 離婚で後悔しないためには?
専門家によると、離婚問題では弁護士を立てることが重要。特に養育費の支払いや財産分与で不利にならないよう、専門家のアドバイスを受けるべきだという。
また、結婚前に財産についての話し合いをしておくことも大切。欧米ではプレナップ(婚前契約)が一般的だが、日本ではあまり浸透していない。ただ、特に資産家や事業経営者の場合は、将来のリスクマネジメントとして考えておく価値がある。
富裕層の離婚では特に財産分与の額が大きくなるため、経済的なリスクも大きい。どんなに仲の良い夫婦でも、万が一の場合に備えて法律知識を持っておくことが推奨される。
