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テスラvsトヨタ 財務分析で比較検証【村上茂久】
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2025年4月14日

EXIT・りんたろー。と国山ハセンが株・保険・住宅など資産運用にまつわるスキルセットを学ぶ。今回は企業分析には欠かせない決算分析について。数字が多く避けがちな決算資料の読み方の極意を「決算分析の地図」著者・村上茂久氏に学ぶ。 <ゲスト> 村上茂久(「決算分析の地図」著者/(株)ファインディールズ代...
株価はSwitch 2次第?決算分析のプロが教える企業価値の見方
株式投資において、本当に知るべきなのは企業の未来価値。任天堂、ミクシィ、テスラなどの実例を交えながら、「決算分析の地図」著者・村上茂久氏が企業分析の本質を解説します。時価総額と株価の関係から、PERとPBRの真の意味まで、投資判断のコアとなる知識を身につけましょう。

Q: 任天堂の株は買いですか?
任天堂の株を買うべきかどうかは、次世代機「Switch 2」次第です。企業分析では過去の業績だけでなく、将来性も重要な判断材料になります。
任天堂の売上高と営業利益のグラフを見ると、2008年頃のWiiの時代に売上が1.8兆円まで上昇しましたが、その後わずか3年で約3分の1まで下落しています。この落ち込みは、Wiiの後継機であるWii Uが大きく失敗したことが原因です。Wiiが世界で1億台売れたのに対し、Wii Uは1300万台程度しか売れませんでした。
その後、2017年3月に発売されたSwitchにより業績は回復しましたが、2025年3月期の売上予想は下降傾向です。これはSwitchの発売から8年が経過し、多くの人がすでに所有している状況だからです。
次世代機「Switch 2」が成功すれば株価は上昇する可能性がありますが、スマホゲームやNetflixなどの競合も多く、不確実性があります。

Q: 企業分析に必要な3つの財務諸表とは?
企業分析には主に3つの財務諸表が重要です:
1. 損益計算書(PL):企業の売上から費用を引いた利益を示すもの。一般の人の年収と支出、残りの貯金のようなイメージです。
2. 貸借対照表(BS):企業が持っている資産と負債を示すもの。個人で言えば所有している不動産や車、借入金などが記載されます。
3. キャッシュフロー計算書:実際のお金の出入りを示すもの。これが最も重要で、企業の実際の資金状況を把握できます。
損益計算書は「流しそうめん」のように、売上から原価、販管費、金利、税金などが引かれていき、最終的に当期純利益として残るイメージです。企業分析では特に営業利益が重視されます。
Q: 任天堂、ミクシィ、ソニーのビジネスモデルの違いは?
任天堂、ミクシィ、ソニーの損益計算書を比較すると、興味深い違いが見えてきます:
- 任天堂:売上高1.6兆円のうち原価率43%、営業利益率32%
- ミクシィ:原価率30%と低いが、販管費が高く営業利益率は13%
- ソニー:営業利益率9%
なぜミクシィの販管費が高いのでしょうか?これはスマホゲーム「モンスターストライク」を展開するミクシィが、AppleやGoogleに支払う手数料(売上の15~30%)が大きいためです。この手数料は販管費に含まれています。
対照的に、任天堂やソニーはゲーム機を持っているため、ソフトメーカーから手数料を受け取る立場です。このようにビジネスモデルの違いが財務諸表の数字に反映されているのです。
Q: 時価総額とは何ですか?
時価総額は、株価に発行済み株式数を掛けたもので、市場が評価する企業価値を表します。会計上の貸借対照表には載っていない、市場の期待値を含んだ数値です。
例えば、1億円の不動産を5000万円の借入れと5000万円の自己資金で購入した場合、貸借対照表上の純資産は5000万円です。しかし、不動産の市場価値が2億円に上昇すると、市場価値ベースでは純資産(株主価値)は1.5億円になります。この市場価値ベースの企業価値が時価総額です。
株価だけで企業を比較するのは意味がありません。例えばトヨタの株価は2,706円、東亜(仮名)は5,240円と東亜の方が高いですが、時価総額はトヨタが42.7兆円、東亜が3,860億円とトヨタが圧倒的に大きいです。これは発行済み株式数が異なるためです。

Q: PERとPBRの意味を教えてください
PER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)は企業価値を判断する重要な指標です:
- PBR:時価総額÷純資産で、企業の純資産に対して市場がどれだけのプレミアムをつけているかを示します。例えば、PBRが3倍なら、簿価の3倍の評価を市場から受けています。
- PER:時価総額÷当期純利益で、企業の利益に対して市場がどれだけの倍率をつけているかを示します。例えばPERが20倍なら、20年分の利益が時価総額になっていると考えられます。
一般的にPERは15倍程度が目安とされていますが、成長期待が高い企業はより高いPERになることもあります。
Q: トヨタとテスラはどちらが過大評価されていますか?
トヨタとテスラの比較は非常に興味深いケースです:
- 売上:トヨタ45兆円 vs テスラ15兆円
- 営業利益:トヨタ5.3兆円 vs テスラ1.6兆円
- 販売台数:トヨタ1,100万台 vs テスラ179万台
- 時価総額:トヨタ43兆円 vs テスラ162兆円
会計的には明らかにトヨタが優位ですが、時価総額ではテスラがトヨタの約4倍です。日本の自動車メーカー7社(トヨタ、ホンダ、日産、スズキ、スバル、いすゞ、マツダ)を合わせた時価総額約60兆円でも、テスラ1社に及びません。
この差はPERとPBRで明確になります:
- PBR:トヨタ1倍 vs テスラ15倍
- PER:トヨタ8倍 vs テスラ151倍
テスラのPERが151倍ということは、現在の年間利益の151年分が時価総額に織り込まれていることになります。これは一般的な15倍という目安を大きく上回っています。
しかし、テスラはトヨタに比べて売上高成長率(テスラ33% vs トヨタ11%)や投資収益率(テスラ11% vs トヨタ6%)が高いため、将来の成長に期待が集まっています。市場はテスラに対して、EVシフトや自動運転技術の普及による大きな成長を期待しているのです。
Q: 企業価値は何で決まりますか?
企業価値は主に以下の要素で決まります:
1. 将来生み出すキャッシュフロー:企業がどれだけのお金を稼ぐか
2. 資本コスト:投資家が期待するリターン
キャッシュフローは「売上高成長率」と「投下資本利益率」によって決まります。資本コストはPERの逆数と考えることができ、例えばPERが20倍なら5%(1/20)のリターンが期待されています。
テスラのPERが151倍と高いのは、市場がテスラに対して大きな成長を期待している表れです。一方で、テスラの販売台数は2023年の181万台から2024年は179万台と減少に転じており、中国のBYDなど競合の台頭もあります。
株式投資は将来に対する判断であり、今の高いPERが将来の成長で正当化されるか、それとも過大評価なのかを見極めることが重要です。

Q: 企業分析のスキルを身につけるにはどうしたらいいですか?
企業分析のスキルを身につけるには継続的なトレーニングが必要です。料理と同じで、初めは材料選びから下ごしらえ、調理法まですべてが難しいですが、経験を積むことで自然に身についていきます。
具体的には以下のステップで分析を進めるとよいでしょう:
1. 一次情報(有価証券報告書など)を収集する
2. 時系列比較と他社比較を行う
3. 会計思考(過去の実績)とファイナンス思考(未来の期待)を組み合わせる
4. ビジネスモデルを理解する
5. 業界動向や政治経済の状況も考慮する
数字を見ているうちに自然と疑問が生まれ、それを解決していく過程で分析力が高まります。企業分析は難しく見えますが、「決算分析の地図」を持ち、比較という「コンパス」を使うことで、徐々に理解が深まっていきます。