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トランプ政権の真の狙いは、日米国家ファンド設立だ
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2025年4月10日

日本との交渉を開始するトランプ政権。トランプとベッセント財務長官は日本に何を求めるのか?「日米国家ファンド設立が最大の目的」と語るエコノミストのイェスパー・コール氏に、トランプ側の狙いと、日本にとってのピンチとチャンスについて聞いた。 <ゲスト> イェスパー・コール|エコノミスト 2015年ウィ...
トランプ関税ショックから見えてくる新たな世界秩序
アメリカのトランプ大統領による関税政策の発表は世界のマーケットに大きな衝撃を与えた。この「トランプ関税ショック」の背景には単なる経済政策を超えた「文化革命」ともいえる大きな変化が隠されている。世界最大の債務国アメリカと最大の債権国日本の関係はどう変わるのか。イェスパー・コール氏が語る日米関係の未来像とは。

Q: トランプ関税ショックをどう見ていますか?
驚きではありますが、トランプ大統領が前例のない政策を打ち出すこと自体は予想していました。しかし、これほど攻撃的で劇的な関税政策を実施するとは想定外でした。残念ながら、段階的なアプローチではなく、劇的な措置が取られてしまいました。
これはルールの変更というよりも「ルールの不在」を意味します。第二次世界大戦後、アメリカを中心とした信頼できるルールが存在していました。確かにニクソンショック、ブレトンウッズ体制の終焉、プラザ合意などでルールは変化してきましたが、ルールメーカーとしてのアメリカへの信頼は揺るぎませんでした。しかし、独立記念日に発表された攻撃的な関税政策により、アメリカへの信頼感に大きな疑問符が付きました。
Q: 中国に対する104%の関税をはじめ、日本も標的になっていますが、アメリカは引き下がらないのでしょうか?
トランプ大統領は非常に強硬な姿勢を示しています。彼は単なる「ディールメーカー」ではなく、歴史に名を残す「スーパー大統領」になりたいと考えています。彼自身が述べているように、「アメリカを再び偉大にする」ために、一度大きな痛みを伴う変革が必要だと信じています。
これは経済政策というよりも「文化革命」なのです。投資の世界において最も重要なのは信頼感です。信頼がなければ投資も融資も行われません。その信頼感が今、大きく揺らいでいます。
Q: スコット・ベッセン財務長官についてどう思いますか?
スコット・ベッセンは約20年来の友人です。彼がトランプ政権に参加した理由は、この歴史的な「革命」に関わりたいからです。トランプ大統領とベッセン長官は全く異なるキャラクターです。ベッセンは頭脳派で、研究に基づいて現実的な対応を模索する人物です。
彼はかつてジョージ・ソロスのファンドマネージャーでした。ソロスはトランプに似た強いリーダーシップを持つ人物ですが、ベッセンはその下で単に生き残るだけでなく素晴らしい実績を上げました。彼は非常に信頼できる人物です。
トランプ大統領が関税発表で市場に衝撃を与える一方、ベッセン長官は現実的なアプローチで日本や韓国との交渉を進めようとしています。

Q: 日米の関係はどのように変わっていくと予想していますか?
歴史的な分岐点に立ち会いたいベッセン長官は、プラザ合意やブレトンウッズ体制のように世界金融構造を新たな段階に進めたいと考えています。そのために必要なのが、世界最大の債権国である日本と世界最大の債務国であるアメリカの間のより強固な関係構築です。
今までは日本企業が米国市場の購買力を求めて工場を作るという民間主導の関係でした。今回は民間だけでなく、国家レベルでの連携が目指されています。新しいファンド創設や日本産業と共同でのインフラ整備、工場建設、技術移転などが検討されています。
Q: 日米間の「国家ファンド」とはどのようなものですか?
通常、国家ファンドはノルウェーやシンガポールのように資源収入を原資とするものですが、資源の少ないアメリカはそれができません。そこで世界最大の債権国である日本と共同でファンドを作る構想があります。
これは従来の国家ファンドとは異なります。日本とアメリカの政府がジェネラルパートナー(GP)としてファンドのオーナーとなり、共同で投資する仕組みです。アラスカの原油パイプラインやLNG施設など具体的なプロジェクトもありますが、より重要なのは新しい投資構造を作ることです。民間だけでなく国家のコミットメントによって担保された日米の本格的なパートナーシップが目標です。

Q: そのようなファンドはこれまでに例がありますか?
複数国による共同の国家ファンドは現在存在しません。これまでのアメリカは「民ができることは民がやるべき」という考え方で、国際機関にも積極的には関わってきませんでした。トランプ政権ではさらに国際機関への予算をカットしています。
一方で参考になるモデルとしては、ソフトバンクの孫正義氏が関わるスターゲートがあります。トランプ大統領就任直後に創設された5000億ドル規模のファンドで、AI開発のためのデータセンター構築などに投資しています。ソフトバンクやOpenAIなどがパートナーとなり、レバレッジをかけて資金を運用する仕組みです。
Q: このファンドはどのような規模を目指すのでしょうか?
米国経済は約30兆ドルの規模なので、ファンドとしては3兆ドル程度の規模が考えられます。さらにレバレッジを10倍かけると約30兆ドルの資金力となります。これは十分に実現可能な規模です。
通常、国家ファンドではレバレッジをかけませんが、不動産業出身のトランプ大統領はレバレッジを重視します。彼の経営者としての成功はレバレッジによるものであり、その考え方を国家にも適用しようとしています。
ファンドの構造としては、一般的なプライベートエクイティやヘッジファンドのようなGP-LP(ジェネラルパートナー・リミテッドパートナー)構造が考えられます。
Q: 日本の観点からこの構想はどう評価できますか?
日本にとって、これは単なる選択肢ではなく生き残るための唯一の道です。日本は世界最大の債権国ですが、国内市場だけで成長することは難しく、アメリカとのパートナーシップが不可欠です。
トランプ関税の影響を受ければ、日本企業の業績は少なくとも30〜40%下落すると予測されます。これは国家的な危機、大震災のような危機です。エリート官僚や財務省、経済産業省、日銀が結集してスコット・ベッセンと交渉し、歴史的な新しい枠組みを構築する必要があります。
Q: 最終的に日米関係はどのように進化するでしょうか?
これは日本とアメリカにとってウィンウィンの関係になる可能性があります。ファンドを通じて日本にもメリットのある投資先に資金を振り向けることができます。例えば、エネルギー資源が乏しい日本にとって、50年後もLNGは必要不可欠です。長期的な計画に基づいた投資が可能になります。
これは従来見たことのない新しい関係です。単発のプロジェクトではなく継続的に共同投資を行うファンドとなり、日米関係を根本から変える可能性があります。
これは日本にとってピンチではなく大きなチャンスです。世界秩序の歴史的転換点において、日本は重要な役割を果たすことができます。日本には「武器」があります。政府系ファンドGPIFがアメリカ国債の25%を保有しており、これを減らせばアメリカの金利は6%以上に跳ね上がる可能性もあります。
しかし最も重要なのは、新しい金融構造を日米共同で作り上げることです。トランプ大統領とベッセン長官は歴史に名を残すレガシーを作りたいと考えており、日本はその重要なパートナーとなるのです。
Q: 投資家はこの状況をどう見るべきでしょうか?
現在の市場リスクは非対称です。年末にかけてウォール街が10%上昇する可能性は10%未満ですが、20%下落するリスクは約50%あります。このようなリスク・リターン構造では積極的な投資はお勧めできません。
投資タイミングを図る上で一つの目安となるのはウォーレン・バフェットの動向です。彼は現在、現金比率を高めており、約1年半前からアメリカ株の割安感がないと警告してきました。バフェットが現金比率を下げてアメリカ株を買い始めたら、それに追随するのが賢明でしょう。