
不登校・ひきこもりの9割は解決できる
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2025年5月6日
子育て・教育の新常識を一流講師から学ぶ。不登校・ひきこもりはなぜ減らないのか?その解決策を伝授。さらに、国のサポート体制に物申す。 <ゲスト> 高濱正伸/花まる学習会代表 1993年「花まる学習会」を設立、会員数は23年目で20,000人を超す。 花まる学習会代表、NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理...
「様子を見ましょう」は悪魔の言葉? なぜ不登校は減らないのか
「うちの子が学校に行きたくないと言い出したら…」。そう考えただけで胸が締め付けられる親御さんは少なくないでしょう。実は今、不登校の子供の数は過去最多を更新し続けており、特に小学生の不登校も増加傾向にあります。親として適切な心構えや対応策を知っておくことは、家庭で方針を定める上で非常に重要です。この記事では、不登校・引きこもり問題の専門家である花まる学習会代表の高濱正伸氏と一般社団法人不登校ひきこもり予防協会代表理事の杉浦孝宣氏、そしてEXITのりんたろー。氏、フリーアナウンサーの竹内由恵氏の対談を元に、Q&A形式でその現状と対策を深掘りします。


Q. まず、不登校の現状について教えてください。
(高濱氏)
不登校の子供の数は過去最多となっており、この10年で急増しています。特にここ3年間は毎年5万人ずつ増えているような状況です。総人口や小中学生の数が減っている中でこの増加は、非常に深刻な事態であると言えます。

Q. なぜ、これほどまでに不登校の子供が増え続けているのでしょうか?
(高濱氏)
一因として、現代の家庭や社会が子供を育てる上で、優しく真面目に接することは得意でも、「心を強く育てる」ことが非常に苦手になっている点が挙げられます。とにかく子供に嫌なことをさせないようにと先回りし、転ばぬ先の杖を差し伸べがちです。しかし、本来、喧嘩をしたり、転んだり、嫌な目にあったりする経験こそが、子供を精神的に鍛えるのです。
社会に出る前に無傷でいると、免疫がない状態で現実の困難に直面した際に、「あんなところ無理」とすぐに引っ込んでしまう傾向があります。

(杉浦氏)
そもそも学校に行く意味や名義がない状態で社会に出てしまうと、困難に立ち向かえなくなることがあります。
Q. スマホの普及も関係しているのでしょうか?
(高濱氏)
大いに関係していると考えます。特にコロナ禍の約5年間で、親が子供にスマホを安易に与える「スマホ育児」が広がりました。0歳から画面をスクロールするような状況が常態化していますが、その影響が明らかになるのは20年後、30年後です。
友達付き合いや外遊びといった現実の楽しみよりも、ゲームなどの仮想空間が一番の楽しみとなり、生身の人間の気持ちが分からなくなったり、少しでも嫌なことがあるとゲームの世界に逃避したりする子供が増えています。これが津波のような勢いで広がっていると感じています。WHO(世界保健機関)は0歳児のスクリーンタイムはゼロが良いとしていますが、現状はかけ離れています。
不登校になりやすい「4つのタイミング」と「なんとなく」という理由
Q. 不登校になりやすい特定のタイミングというものはあるのでしょうか?
(杉浦氏)
人生において不登校や引きこもりになりやすいタイミングは主に4つあります。
1. 中学1年生の時(中1ショック)
2. 高校1年生の時(高1クライシス)
3. 高校卒業時
4. 就職活動でつまずいた時
これらに加え、小学生なども含めると、春休み明け、ゴールデンウィーク明け、そして特に夏休み明けといった長期休業の後は、学校へ行きづらくなる子供が圧倒的に多いです。
Q. 子供が不登校になる原因として、何が多いのでしょうか?いじめなどが主な原因なのでしょうか?
(杉浦氏)
文部科学省の調査で「不登校になったきっかけ」を見ると、「先生のこと(先生と合わなかった、先生が怖かったなど)」や「身体の不調」を抑え、「無気力・不安(なんとなくやる気が出ないなど)」が最も多いという結果があります。
実は、不登校になった子供たちの多くが「なんとなく」としか表現できない理由を抱えています。親は原因を特定したがる傾向があり、「先生の言い方が悪かったのでは?」「友達のA君に何かされたのでは?」と問い詰めて安心しようとしますが、これは落とし穴です。子供自身も、周囲から原因を追求されるうちに、特定の出来事を理由として挙げるようになることもあります。
いじめが原因となることもありますが、メディアで報じられるほど直接的な原因としては多くないのが実情です。例えば、思春期の自殺の原因で圧倒的に多いのは失恋であるというデータもあります。

「学校に行かないだけ」と「家庭でも孤立」 不登校と引きこもりの境界線
Q. 「不登校」と「引きこもり」はどのように違うのでしょうか?
(杉浦氏)
不登校は、単純に「学校に行かないだけ」の状態を指します。まだ比較的軽度と言えます。
一方、引きこもりは、学校に行かないだけでなく、家庭内でも孤立し、親と話さない、昼夜逆転、ゲーム漬け、お風呂に入らない、髪や爪を伸ばしっぱなしといった状態に陥ることがあります。
Q. 引きこもりには段階があると聞きましたが、詳しく教えてください。
(杉浦氏)
引きこもりの重症度はステージ1からステージ5まであります。見極めるポイントは主に以下の3つです。
1. 親とのコミュニケーションが取れるか
2. 生活リズムが整っているか
3. きちんと食事をとっているか
**ステージ1(不登校開始~約60日)**: 親とのコミュニケーションは比較的取れていることが多いです。しかし、生活リズムは乱れ始め、朝起きられないといった兆候が見られます。食事はまだ親と一緒に取れる場合が多いです。
**ステージ2(不登校開始から2ヶ月以上)**: 生活リズムはほぼ完全に乱れます。親とのコミュニケーションも取りづらくなってきますが、まだ親の言うことに耳を貸したり、食事の際に注意を受け入れたりする余地はあります。
**ステージ3以降(不登校開始から半年以上~)**: 厚生労働省の定義では、半年以上自室に閉じこもり、社会活動をしない状態を引きこもりとしています。この段階になると、親とのコミュニケーションはほぼ断絶し、食事も自室で摂るなど、完全に孤立するケースが多くなります。
重要なのは、親子間のコミュニケーションが完全に断絶した時点で、たとえ不登校になって1ヶ月程度であっても、それは「引きこもり」の段階に入ったと考えた方が良いということです。
「様子を見ましょう」の罠と、機能しない公的支援のリアル
Q. 子供が不登校になった際、学校や行政はどのような対応をしてくれるのでしょうか?
(杉浦氏)
残念ながら、現状では国や文部科学省、学校の対応は十分とは言えません。
学校の先生に相談しても、「学校に来てさえくれれば何とかしますよ」と言われることが多く、これは問題を回避しているに過ぎません。校長先生に相談しても、スクールカウンセラーを紹介されるだけで、そのスクールカウンセラーからは「様子を見ましょう」というアドバイスが繰り返されるケースが後を絶ちません。
「様子を見る」という言葉は、子供にとっては「何もしなくていい」「ゲームをしていても怒られない」というメッセージとして受け取られ、結果的に放置につながり、ずるずると長期化させてしまう「悪魔の言葉」になりかねません。
Q. 公的な支援施設として「教育支援センター(適応指導教室)」があると聞きましたが、これは機能しているのでしょうか?
(杉浦氏)
教育支援センターは、公的なフリースクールのような位置づけで、学校に行けない子供たちのための別な登校場所として設置されています。施設によっては多額の予算をかけて立派なものが作られていますが、全国平均の利用率は10%程度と非常に低いのが現状です。
その理由の一つは、魅力がないことです。教育支援センターも「学校に戻すこと」を前提として運営されているため、そもそも学校に行けない子供たちのニーズと合致していません。また、センター長が退職した元校長先生である場合が多く、学校運営のプロではあっても、不登校対応の専門家ではないことも影響しています。
(高濱氏)
民間が運営するフリースクールでは、子供たちが「また行きたい」と思えるような魅力的な環境づくりに必死で取り組んでいます。そうしたノウハウを公的機関も学ぶべきですが、既存の教育支援センターの職員の立場などを優先するあまり、子供にとって最善の策が取られていない現状があります。
親ができることとは? 「愛情」と「しつけ」、そして「第三者の力」
Q. 子供が不登校や引きこもりになった場合、親はまず何をすればよいのでしょうか?
(杉浦氏)
最も重要なのは、親子間のコミュニケーションを絶やさないことです。コミュニケーションが断絶すれば、それは引きこもりの始まりです。
そして、できるだけ早期に専門家や支援機関に相談し、アウトリーチ(家庭訪問などの積極的な関わり)を検討することです。特に思春期の子供には、家庭訪問が効果的な場合があります。その際、引きこもっている子供と同じくらいの年齢で、不登校や引きこもりの経験があるお兄さんやお姉さん的な存在(斜めの関係)が関わることで、子供が心を開きやすくなることがあります。ゲームの話
など、共通の話題で信頼関係を築くことも有効です。
(高濱氏)
親として、「愛情」と「しつけ」のバランスを意識することが大切です。「どんなことがあっても大好きだよ」という無条件の愛情を土台にしつつ、「社会で生きていくためには、ダメなものはダメ」とはっきり伝えるしつけも必要です。愛情があるからこそ、子供の将来を考えて厳しく接することも時には必要であり、それを恐れてはいけません。
子供の力を信じ、先回りしてトラブルを避けるのではなく、様々な経験を通してたくましく成長する機会を与える視点も重要です。
Q. すぐに専門家が見つからない場合、親はどうすればいいでしょうか?
(高濱氏)
親自身が、子供にとって厳しくも愛情を持って接してくれる「次の師匠」となるような第三者を見つける努力をすることも大切です。親以外の信頼できる大人との関わりが、子供の成長にとって大きな助けとなることがあります。
Q. 最後に、不登校や引きこもりで悩んでいる方へメッセージをお願いします。
(杉浦氏)
不登校や引きこもりは、決して特別なことではありません。そして、適切な対応をすれば必ず乗り越えられます。一人で抱え込まず、できるだけ早く専門家や支援機関に相談してください。特に、親子間のコミュニケーションが途絶える前に手を打つことが重要です。ステージが進むほど、回復には時間がかかります。早期の対応が、子供の未来を大きく左右します。
(高濱氏)
子供の可能性を信じてください。そして、親自身も学び、成長していくことが大切です。愛情としつけのバランスを取りながら、子供が社会でたくましく生きていける力を育むサポートをしていきましょう。
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