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トランプ関税後の株価。調整はいつまで続くか?
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2025年4月6日

トランプ関税発表後、大幅下落が続く日米の株価。調整はいつまで続くのか?大不況到来もあるのか?日経平均が年内に4万円回復する可能性はあるのか?ニッセイ基礎研究所の井出真吾・チーフ株式ストラテジストに聞いた。 <プロフィール> 井出真吾|ニッセイ基礎研究所 主席研究員 チーフ株式ストラテジスト 199...
井出真吾氏が語る「米国株は15%の下落余地あり」と「年内の日経平均4万円回復」の真相
米国で全世界に対する関税引き上げが発表され、株式市場が大幅に下落するなか、今後の展望はどうなるのか。ニッセイ基礎研究所の井出真吾・チーフ株式ストラテジストに聞いた。

「米国株はまだ15%下がる余地がある」
Q: トランプ政権が全世界向けの関税を発表し、日経平均が1000円以上下落しましたが、この状況をどう見ていますか?
米国株はまだ調整が完了していないと思います。今回のトランプ関税による下落で米国株はS&P500で10%程度、ナスダックで14%弱下がりましたが、これでも割高さは完全には解消されていません。状況次第ではさらに10~15%の下落余地があると考えています。
具体的にはS&P500の場合、直近で5600ポイント程度ですが、5000ポイントを割り込むまでは調整余地があります。必ずそこまで下がるというわけではありませんが、その水準まで下がらないと割高さは解消しきれないという意味です。
「イールドスプレッド」が示す米国株の危険な状態
Q: 米国株が割高だという根拠は何ですか?
イールドスプレッドという指標に注目しています。これは株の益利回り(PERの逆数)からアメリカ国債の利回りを引いたものです。株はリスクが高いので、通常このスプレッドはプラスであるべきです。
しかし去年10月以降、このスプレッドがマイナスの領域に突入しました。つまり、アメリカ国債よりもアメリカ株の方が利回りが低いという状態になったのです。これは理屈では説明がつきません。その後、スプレッドはさらにマイナス幅を拡大し、株の割高さが増していきました。
最近の株価調整でイールドスプレッドは0.6%程度までプラスに戻りましたが、これでもまだ低すぎます。コロナ前は3%前後でした。適切な水準は1%から1.5%程度と考えており、それに達するには株価がさらに10~15%下落する必要があります。
米国景気とインフレの微妙な状況
Q: 米国の景気状況はどうなっていますか?
米国の景気は微妙な状況です。ハードデータ(実体経済のデータ)はまだ堅調ですが、消費者マインドなどのソフトデータが悪化しています。
労働市場はまだしっかりしており、銀行の貸出も前年比プラスに転じ、住宅市場も底入れの兆しが見えています。実質賃金もプラスを維持しています。
しかし懸念材料もあります。製造業の景況感が再びマイナスに沈み、消費者マインドが悪化しています。特に消費者の1年後のインフレ期待が6%超まで上昇しており、インフレ懸念が強まっています。

関税がもたらすスタグフレーションの危険性
Q: トランプの関税政策はどのような影響を与えますか?
最大の懸念はスタグフレーション(経済停滞とインフレの同時進行)です。アメリカのインフレは下げ止まっており、関税によってさらに物価上昇圧力がかかります。
関税の影響は誰かが負担することになります。トランプ大統領は企業に対して「関税を理由に値上げするな」と圧力をかけていますが、結局は消費者か企業が負担することになり、これは増税と同じ効果をもたらします。
関税の影響は1年間継続し、その後は据え置かれれば影響は薄れます。しかし段階的に引き上げられると継続的なインフレ要因になります。また、各国が報復関税をかけ合う報復合戦になると世界貿易が縮小し、世界経済全体に悪影響が及びます。
日本株は「年内に4万円回復」の可能性
Q: 日本株の見通しはどうですか?
年内に日経平均4万円回復は可能だと考えています。もちろん米国がリセッションに陥らないという条件付きですが、日本企業の業績は横ばいからプラス数%程度の増益が見込めると思います。
昨年度ベースでも日経平均の実力値は4万5000円程度です。市場心理が落ち着けば4万円回復まではそれほど難しくないでしょう。ただし短期的には企業の業績見通しの下方修正などで下落する場面もあるでしょう。
最悪のシナリオでは3万1500円程度までの下落もありえますが、企業業績と比較すると日本株は割高ではなく、むしろ若干の割安感もあります。
投資戦略:「少しずつ買う」のが賢明

Q: 個人投資家はこの状況でどう行動すべきですか?
一括投資よりも「少しずつ買う」戦略が賢明です。不透明感が非常に高い状況なので、一発勝負はリスクが高すぎます。3万3000円台、場合によっては3万1000円台まで下落する可能性も想定しておくべきです。
私自身も先週、日経平均が3万6000円台だった時に少し買いました。結果的には今のところ含み損ですが、長い目で見れば安値圏で買えたはずだと思っています。
リーマンショック時でさえ、株価が元の水準に戻るのに5~6年でした。若い方で資産形成を考えている場合、数十年の時間軸で考えれば、短期的な含み損は気にする必要はありません。むしろ買い増しのチャンスとも言えます。
トランプ政権の今後の展開
Q: トランプ政権は今後どう動くと予想されますか?
関税による増税分は何らかの形で還元される可能性が高いです。例えばトランプ減税の恒久化の財源として使われる可能性や、アメリカ車を購入する際の補助金として還元される可能性があります。
トランプ政権の目的は中間選挙で勝つことですから、経済に打撃を与えるだけでは支持を失います。今後は関税の話が一段落し、トランプ減税の恒久化や規制緩和など、よりポジティブな方向に議論が移っていく可能性が高いです。
また、2018年の第一期トランプ政権では貿易摩擦でマーケットのボラティリティが上昇しましたが、2019年には落ち着きました。今回も最悪の時期は今で、来年には市場は落ち着いてくると予想しています。