PIVOT TALK BUSINESS
戦略の立て方6ステップ
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2025年3月27日

“戦略”と聞くと経営などを思い浮かべがちである。しかしマーケティングのプロ、音部大輔氏は人生における戦略の重要性を語る。戦略とはどのように立てるのか?そのスキルを聞いた。 <ゲスト> 音部大輔|クー・マーケティング・カンパニー代表 17年間の日米P&Gを経て、資生堂などでマーケティング担当副社長や...
全ビジネスパーソンが身につけるべき「戦略スキル」とは?マーケティングのプロが解説
戦略は経営者だけのものではない。むしろ日常のさまざまな悩みからビジネスの課題解決まで、誰もが使える強力なツールだ。マーケティングのプロ・音部大輔氏に、簡単に使える戦略立案の方法を解説してもらった。

Q: なぜ今、戦略スキルが必要なのでしょうか?
世の中で「戦略」という言葉はよく使われていますが、実は多くの人が学校でもビジネスでも体系的に学ぶ機会がありません。特に日本のビジネスパーソンは、経営戦略は知っていても日常の業務に適用できる戦略の立て方を習っていないケースが多いです。
実は戦略とは「目的達成のための資源利用の指針」であり、ビジネスだけでなく婚活や育児との両立など、日常生活のあらゆる場面で役立つスキルなのです。
達成したいことがあるのに「しんどい」「大変」と感じる状態は、十分な資源を持っていない証拠。戦略を立てることで、その状態が「ワクワクする」気持ちに変わることがあります。

Q: 戦略を立てる具体的な手順を教えてください
戦略を立てる手順は大きく分けて6つのステップがあります。
1. 目的を明示する
2. 目的を再解釈する
3. 資源を探索する
4. 資源優勢を確立する
5. 文章に書く
6. 組織に展開する
目的を明示する - SMACで具体化
まず目的を明確にする際には「SMAC」という基準が重要です。これは「Specific(具体的)」「Measurable(測定可能)」「Achievable(達成可能)」「Consistent(一貫性がある)」の頭文字です。
目的が明確になると、人と共有しやすく誤解も生まれにくくなります。例えば「ビジネスを伸ばそう」という曖昧な表現ではなく「3年間で5%伸ばす」と明示することで、全員が同じ理解を持つことができます。
この図のように、会社のパーパスから事業部、ブランドレベルまで戦略が一貫していることが重要です。各階層の目的がその上の階層の戦略と連動していることで、組織全体が同じ方向に進むことができます。

Q: 「目的の再解釈」とはどういう意味ですか?
目的を再解釈するとは、「目的が達成された時に何が起きているか」を具体的に描くことです。
例えば、「20億円の売上拡大」という目的があった場合、それを次のように再解釈できます。
- 1個5000円の商品を年2回購入する新規ユーザーが20万人増加した状態
- あるいは既存の40万人のユーザーが1回追加購入した状態
オリンピックの柔道選手の例で言えば、「金メダルを取る」という目的を「背負い投げで一本を取る状態」と再解釈し、そこから逆算して戦略を組み立てることができます。
Q: 資源の探索と優勢確立とは何ですか?
資源とは目的達成のために使えるものすべてを指します。人材やプロダクト、時間、知識、ブランド力などの内部資源と、広告会社やコラボレーション相手などの外部資源があります。
資源を探索する際には「強み」を探すのではなく「違い」を探すことが重要です。自分たちと競合との違い、過去と現在の違いなどを見つけることで、戦略の核となる資源が見えてきます。
「資源優勢の確立」とは、目的に対して使える資源が十分にある状態を作ることです。資源が目的達成に十分であれば、多くの場合成功の確率は高まります。資源が優勢な状態は「ワクワクする」気持ちにつながるのです。
Q: 戦略を文章化するコツはありますか?
戦略は文章に書くことで組織内で共有しやすくなります。文章化する際のテンプレートは以下の要素を含めると良いでしょう。
1. いつまでに
2. 何を達成するために
3. 再解釈した目的を実現するべく
4. 活用すべき優勢な資源に集中・注力する
例えば「2025年12月までに、20億円の売上拡大を達成するために、既存ユーザー40万人の年間購入回数を1回増やすべく、3回使用で体感できる効果の高い製品体験に注力する」というように書くことができます。
Q: 個人でも戦略は使えますか?
もちろん個人でも戦略は有効です。キャリア開発、婚活、友人関係、家族との関係など、個人の課題にも戦略的思考は応用できます。
例えば「30歳までに業界で認められるMCになるために、経済・ビジネス分野での発言力を高めるべく、現在持っている知識とネットワークに集中する」というように自分のキャリア戦略を立てることができます。
戦略を個人レベルで活用する際も、同じ6つのステップを踏むことで効果的に目標達成に近づけます。
Q: 戦略を実行する際の注意点はありますか?
戦略を実行する中で最も注意すべき点は、途中で別のアイデアに気づいた場合の対応です。「右」と決めて走り始めたのに途中から「左」の方が良さそうだと感じても、安易に方向転換すると資源が目減りし、モチベーションも下がる可能性があります。
強い組織の特徴は「戦略に基づいて実行し、きちんと振り返りができること」です。計画、実行、振り返りのサイクルをしっかり回すことで、戦略の質が高まっていきます。
Q: 日本企業によくある戦略の課題は何ですか?
多くの日本企業で見られる課題として、「目的の再解釈」ができていないことが挙げられます。例えば「AIやDXに尽力する」と言って大きな予算を確保しても、その目的が明確でなければ効果的な戦略とはなりません。
またもう一つの課題は「戦略の自分ごと化」ができていないことです。上層部が決めた戦略が組織全体に浸透せず、現場レベルでは「言われたからやる」というマインドになりがちです。
戦略が組織に浸透するためには、個々のメンバーが「この戦略に基づいて私は何をすれば良いのか」を明確にし、自分のプロジェクトリストと会社の戦略が一致していることが重要です。
Q: 戦略スキルを身につけるためのアドバイスをください
戦略は特別な人のためのものではなく、誰でも身につけられるスキルです。以下のポイントを意識して練習してみてください:
1. 目的を明確に(SMAC)
2. 達成された状態を具体的にイメージする
3. 手元にある資源を広い視点で見直す
4. 資源と目的のバランスをとる
5. 文章化して、必要に応じて他者と共有する

小さな課題から始めて、このプロセスを繰り返し実践することで、戦略的思考のスキルは確実に向上します。