教育新常識
【科学的根拠あり】勉強ができる子になる3つの秘策
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2025年3月20日

子育て・教育の新常識を一流講師から学ぶ。教育経済学者・中室牧子氏のエビデンスで子育てシリーズ第二弾!シンプルでゼロコスト、勉強ができない子を変えられる3つ秘策を伝授。 <ゲスト> 中室牧子/教育経済学者 慶應義塾大学総合政策学部 教授 慶應義塾大学卒業後、日本銀行等を経て、2010年にコロンビア...
子どもの学力を上げる3つの方法!教育経済学者が語る「勉強できない子をできる子に変える」秘策とは
「勉強できない子をできる子に変える方法」について、教育経済学者の中室牧子氏が様々な研究をもとに解説。親世代の「費用がかからず、今日からできる」秘策とは?今回は子どもの学力向上に効果的な3つの方法を紹介します。

Q: 子どもの学力を上げるために、親が今日からできることはありますか?
教育経済学の研究からわかっている効果的な方法は3つあります。今日から実践できて、コストもかからず、時間もそれほどかからない方法です。
まず1つ目は「目標を明確にさせる」こと。具体的には、子どもに「今勉強をする目標は何か」「そのために今やらなければならないことは何か」を整理させます。この単純な方法だけで成績が上がった研究結果があります。
カナダのマギル大学で行われた研究では、成績が振るわない大学生に対して目標設定のセッションを行いました。「大学卒業後にやりたいことは何か」「その目標は達成可能か」「目標達成のために今やるべきことを5つ箇条書きにする」「達成を妨げる可能性のあることは何か」といった質問に回答させただけです。
この目標設定を行っただけで、行わなかった人と比べて成績が大幅に向上しました。具体的には、GPAが4点満点中0.66点も上がるという効果がありました。この後、アメリカやカナダの他大学でも1000人、2000人規模の実験が行われ、いずれも目標設定が成績向上に大きな効果があることが確認されています。

Q: 目標は親が設定すべきですか?それとも子ども自身が設定した方がいいですか?
研究結果では、自分で目標を設定した場合のみ効果があり、他人に目標を設定してもらうとうまくいかないことがわかっています。特に親や先輩など他者が目標を設定すると、無理な目標になりがちで、むしろ成果が低くなります。
目標設定では、結果(アウトプット)よりも過程(インプット)に焦点を当てると効果的です。例えば「90点を取る」「どこどこの学校に合格する」といった結果に関する目標ではなく、「毎朝決まった時間に起きる」など、行動に関する目標を設定する方がうまくいきやすいことも研究で明らかになっています。
Q: 子どもの学力を上げる2つ目の方法は何ですか?
2つ目の方法は「習慣化する」ことです。最初は子どもに勉強する習慣がないため、習慣づけるために報酬を与えるという方法が効果的です。
アメリカのある大学で行われた実験では、スポーツジムに行くたびに小遣いがもらえるグループともらえないグループに分けました。当然、小遣いがもらえるグループの方がジムに行く回数が多くなりました。
興味深いのは、5週間の実験期間後、小遣いが止まっても、それまで報酬をもらっていたグループはジムに行く回数がほとんど減らなかったという点です。これが習慣形成の効果です。最初は報酬で釣っても、習慣がついたらその後も続けられるようになるのです。
習慣形成には2つの要素が必要です。1つは報酬などで行動のハードルを下げること、もう1つは一定期間繰り返すことです。朝の歯磨きのように、誰に強制されなくても自然に行動できるようになれば勝ちです。

Q: 子どもには何を報酬として与えるべきですか?
小さい子どもの場合、金銭的な価値をはっきり理解していないので、メダルやトロフィー、あるいは単に褒めるだけでも効果的な報酬になります。年齢が上がるにつれて、より実質的な報酬が必要になることもありますが、小さい子どもは褒めるだけでも十分です。
この方法は子どもの野菜嫌いを克服させる研究でも同様の効果が確認されています。嫌いな野菜を食べたら小遣いを与えると、しばらくすると小遣いがなくても野菜を食べられるようになったという研究結果があります。
Q: 報酬で釣るのは教育として良くないのではないですか?
習慣化のために報酬を使うことについて罪悪感を持つ親も多いですが、研究結果から見れば効果的な方法です。良い習慣をつけるためのステップとして考えれば問題ありません。重要なのは、今日の行動が明日の習慣になるという意識を持ち、良い習慣を形成するための最初のきっかけとして報酬を活用することです。
Q: 子どもの学力を上げる3つ目の方法は何ですか?
3つ目の方法は「チームで勉強させる」ことです。友達同士で勉強することで、互いに高め合う効果があります。
大学生を対象にした研究では、図書館や自習室に個人で行く場合とチームで行く場合を比較しました。その結果、チームで行く方が行く回数が大幅に増加しました。これは、「相手に迷惑をかけてはいけない」という意識が働くためです。
ただし、このチーム効果が発揮されるには、お互いの顔と名前を知っている「顕名」の状態であることが重要です。匿名の場合は効果が低くなります。また、チームの人数は2〜3人程度の小規模な方が効果的です。

Q: 勉強ができる子が教えることで、その子の学びは止まらないですか?
勉強ができる子が教えることで損をするという心配もありますが、研究では教える側も学びが深まることがわかっています。自分が理解していることを人に説明するためには、より深い理解が必要になるからです。
慶應大学の研究でも、勉強のできる子が教えることで損をすることはあまりないという結果が出ています。教えることは学ぶプロセスの一部であり、自分の理解を整理し深める効果があるのです。
また、子どもたちは先生よりも同級生や先輩からの影響を強く受ける傾向があります。そのため、子ども同士の学び合いを活性化させることは非常に効果的な方法です。
Q: グループの男女比は学習効果に影響しますか?
研究では、同じクラスに女子が多い方が学力が高くなるという結果がある一方で、理系に進学する人が減るという結果もあります。これは子どもたちが同級生から非常に大きな影響を受けていることを示しています。
女子が多い環境では、女子の方が勉強熱心なケースが多いため男子も勉強するようになり、クラス全体の学力が向上する可能性があります。一方で、女子は同調圧力に影響されやすく、周りが文系に進む傾向があると自分も文系を選びがちになります。
グループ内の最適な男女比については、まだ明確な答えは出ていませんが、子どもたちが互いに大きな影響を与え合っていることは確かです。
Q: まとめると、子どもの学力を上げるための3つの方法とは?
子どもの学力を向上させるための効果的な3つの方法は次のとおりです:
1. 目標を明確にさせる:子ども自身に勉強の目的と具体的なステップを考えさせる
2. 習慣化する:最初は報酬を使って習慣づけ、徐々に自発的な行動に移行させる
3. チームで勉強させる:互いに教え合い、高め合う環境を作る
これらの方法は研究によって効果が実証されており、費用をかけずに今日から始められるものばかりです。子どもの教育に悩む親にとって、ぜひ試してみる価値があるでしょう。