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日本代表で一番の変人、権田修一が語る「仕事の流儀」
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2025年3月15日

日本代表でNo.1の変人と言われる権田修一選手。ゴールキーパーとして国内外で活躍する中で体得した「仕事の流儀」とは何か?スポーツライターの木崎伸也氏とミムラユウスケ氏が話を聞いた。
サッカー日本代表・権田修一が語る「変人力」の本質と自己成長の秘訣
サッカー日本代表のゴールキーパー・権田修一選手が近著「変人力」の中で語った興味深い考え方や哲学を紹介します。チームや組織内でのコミュニケーション、ミスへの向き合い方、そして自分らしさを貫く姿勢など、サッカー選手としてだけでなく一般の人にも参考になる話が満載です。

Q. 「変人力」というタイトルはどのような意味を持っているのですか?
変人は悪い意味ではなく、個性をポジティブに捉えたものです。日本代表の中で「誰が一番変人か」という話になると、私が筆頭に挙げられるそうです。最初は悪口かと思いましたが、これは「ユニーク」「個性がある」というイメージで、ポジティブな意味合いです。
本田圭佑さんからも「やっぱり権田は変わっているけど、チームにいると安心感があって助かる。自分が監督だったら権田がいたら助かる」と言われました。少し心配になるほど変わっているのかもしれませんが、日本代表の中では皆「自分は変わっていない」と言いながらも、結局私が変わっていると言われることが多いです。
Q. 「人に好かれる必要はない」という考え方をどのように身につけたのですか?
ワールドカップ前のメディアの予想スタメンに、私はほとんど入っていませんでした。ずっと試合に出ていたのにです。それは評論家の方々の好みもあり、例えば私はビルドアップが得意ではなく、シュミット・ダニエル選手はフィールドアップが得意だったため、彼の方が良いという意見が多かったのです。
しかし実際には試合に使ってもらっていました。万人受けしようとすると、全ての要求に応えることが必要になり、自分の強みをなくしてしまう気がします。日本代表では私はシュートを止めることで貢献できていたのに、メディアに名前を挙げてもらいたいからとビルドアップに注力しすぎると、本来の強みが薄れてしまう可能性があります。
組織の中で自分に求められた役割を理解し、そこに向かって進むことが大切だと代表での経験から学びました。

Q. ミスを分析する独自の方法があるそうですが、具体的にはどのようなものですか?
ミスを仕分けするという考え方は特にゴールキーパーにとって重要です。サッカーは基本的に「ミスのスポーツ」なので、なぜミスをしたのかを理解しないと同じミスを繰り返してしまいます。
ゴールキーパーのプレーで言えば、ミスは大きく3つに分けられます。「ポジションのミス」「判断のミス」「技術のミス」です。この3つのうちどれをミスしたのか分からないと修正のしようがありません。単に「止められた」「止められなかった」という2択で終わらせてしまうと、次につながりません。
例えば、失点した場合、「次は止められるように頑張ろう」では具体性がなく、トレーニング方法も明確になりません。ポジショニングが悪かったのか、判断が誤っていたのか、それとも技術的な問題だったのか、これを明確にすることが重要です。
一般の人にも当てはまると思います。例えば遅刻したとき、目覚まし時計をかけ忘れたのか(技術的ミス)、前の晩に飲みすぎて目覚ましをセットすることすら忘れたのか(判断のミス)、あるいは移動時間の見積もりを間違えたのか(認知のミス)によって対策が変わってきます。

Q. 試合後のミスの振り返りはどのように行いますか?
基本的に一人で映像を見ます。チームのバスの中などで見始めると、他の選手とコミュニケーションを取りたくなってしまうからです。失点は絶対に3人はミスしているものだと考えています。一人のミスだけで起きることはほとんどありません。
負けた試合の後に選手たちと一緒に分析すると、「私がもう少しこうしていれば」「僕のミスでした」という話になりがちで、本質が見えなくなります。選手たちは自分のミスを認めようとしますが、なぜそのミスが起きたのかという深い部分までは議論できないことが多いです。
勝った試合の後なら「ここはこうした方が良かったね」という建設的な会話ができますが、負けた後は感情的になりやすいので、あまり話さない方が良いこともあります。これはイタリア人のマッシモ監督から教わったことでもあります。
Q. 「良い朝を」という挨拶がチームの関係性に与える影響とは?
外国語では朝の挨拶に「Good morning(良い朝を)」「Guten Morgen(良い朝を)」「Buongiorno(良い一日を)」といった表現を使います。日本語の「おはようございます」の意味が実は分からなかったのですが、外国の言葉には「良い一日を」という前向きな意味が込められています。
特にラテン系の国では、カフェで食事をした後に出ていく時も「良い一日を」と言ってくれることがあります。外国のクラブでは朝に全選手とハイタッチをして挨拶する文化があり、これが関係性をリセットする機能を果たしています。
前日に練習で言い合いをしたとしても、翌朝「良い朝を」と挨拶することで、お互いの関係が切り替わります。自分自身も前日に負けた試合でミスをしたとしても、翌朝のクラブハウスでは通常通りの態度でいることが大切です。これは負けた後も勝った後も変わらない姿勢を持つことにつながります。
ただし、これは形だけでなく本心から行うことが重要です。義務的にやるだけでは逆効果になることもあります。朝一番は一日の中で最もエネルギッシュな時間なので、そこで前向きな挨拶をすることで、過去ではなく未来に向けた話ができるようになります。
Q. 監督との関係で意見の対立があっても良好な関係を保てるのはなぜですか?
監督とかなり激しい議論をすることもありますが、関係は悪くなりません。例えば清水エスパルスの秋葉監督とはバチバチ言い合うこともありましたが、秋葉さんは裏で言わず、面と向かって言ってくれます。私も同様に直接言うので、お互いリスペクトした上でしっかり意見を交わせます。
前日に2時間ほど議論して頭に来ることもありましたが、翌朝は普通に「おはようございます」と言える関係でした。問題が起きるのは、第三者が間に入ってきた時です。当人同士で解決すればいいだけなのに、強化部の人や他のスタッフが介入して話がごちゃごちゃになることがあります。
基本的に間に入ってもらった方がいいケースはあまりありません。給料交渉ぐらいですが、実は私は清水エスパルスでは自分で交渉していました。これも変わっていると言われますが、自分で話すことが自然だと思っています。代理人を使えばもっと給料が上がったかもしれませんが、GM(ゼネラルマネージャー)や強化部長と今後も付き合っていくので、本音で話すことを大切にしています。

Q. サッカークラブと一般企業の組織構造の違いについてどう考えますか?
サッカークラブでは監督、社長、GMという3つのポジションがバランスよく機能することが重要です。これは誰が上で誰が下というピラミッド構造ではなく、三角形の3つの頂点のように対等な関係であるべきです。
日本では往々にしてGMは監督上がりの人が多く、監督よりも上に立ちがちです。GMが監督の首を切り、社長がGMの首を切るという階層構造になりがちですが、全員がリスペクトし合いながらコミュニケーションを取れる関係が理想的です。
私は会社内での役職や立場に関係なく、全ての人と対等に話せる関係でいることが大切だと考えています。社長は社長の仕事をしているだけで、副社長は副社長の仕事をしているだけ、それぞれの役割があるだけです。サッカーでも、フォワードが偉いわけでもなく、キーパーが偉いわけでもなく、センターバックが偉いわけでもありません。皆がクラブや組織のために尽力しているのです。