MONEY SKILL SET EXTRA
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2025年2月25日

株・保険・住宅など資産運用にまつわるスキルセットを一流のプロの講義を受けて学ぶMONEY SKILL SETの応用編。2025年1月に誕生するトランプ政権下の米国市場の動きについて大山季之とイェスパー・コールが真剣対談 <ゲスト> イェスパー・コール(エコノミスト) 大山季之(松井証券 マーケッ...
米国大統領選でのトランプ氏の勝利は、世界経済とマーケットにどのような影響をもたらすのか。金融のプロフェッショナルである大山季之氏とイェスパー・コール氏に、トランプ政権2.0のシナリオとマグニフィセント7(米国の大型ハイテク株7銘柄)の今後について聞いた。


米国は中国からの輸入品に対して厳しい関税を課し、中国も報復措置として対米関税を発表しました。しかし、両国の対応には温度差があります。
大山氏は「中国の対応が意外とマイルドだと感じました。アメリカの対中輸入規制は4,500億ドル規模ですが、中国の報復措置はわずか200億ドル強にとどまっています。重要品目である半導体や医薬品には関税をかけないなど、交渉の余地を残す対応に見えます」と分析します。
一方、コール氏は「これはトランプの劇場の一つ。トランプ氏はネゴシエーションとディールが好きで、おそらく3月から10月までに中国訪問し、習近平主席とのトップ会談を実現させるでしょう。米中の最高指導者同士で何らかの妥協点を見出す可能性が高い」と見ています。

両専門家が口を揃えて指摘するのが、イーロン・マスクの行政への影響力です。
コール氏は「マスクの影響力はアンビリーバブル(信じられない)です。財務省からの支援策の流れを完全に止めようとしています。これにより社会保障だけでなく、大学生の奨学金などの支援も停止され、国内消費に不安が生じています」と警告します。
大山氏によれば「公務員のリストラも既に始まっている」状況で、「2023年、24年に感じたようなアメリカ経済の好調さが2025年も続くかはクエスチョンマークがついている」と指摘します。

大山氏は「一言で言うと、インフレは高止まりするかもしれないが、景気は悪くならないこと」と説明します。その背景として「アメリカの生産性向上」を挙げ、その要因を3つ指摘しました:
1. コロナ禍の転職によるジョブチェンジと賃金上昇
2. 人材の流動化と自動化の進展
3. AI活用による生産性改善
コール氏も「失業率は上がるでしょうが、AIのコストベネフィットが企業に大きな恩恵をもたらします。特に金融業界は規制緩和の恩恵を受けるでしょう」と述べています。
大山氏が挙げるワーストシナリオは「トランプ3.0の誕生」です。「今回の選挙では中低所得者層、特に製造業に従事する白人労働者がキャスティングボートを握りました。この状況が続くなら、トランプ後も同様の政策を掲げる指導者が登場するリスクがあります」と警告します。
コール氏は国内経済の不安定さを指摘し「米国のインフレリスクが高まれば、中央銀行が利上げに転じる可能性があります。これは株式市場に大きな影響を与えるでしょう」と述べています。
さらに「アメリカの政策不信から、新しい工場や設備投資が米国ではなく、ラテンアメリカやヨーロッパ、中国に向かうリスクもあります」と付け加えました。
大山氏は「G1」という表現を用い、アメリカ一強の状況を「ジャイアン」に例えました。「世界はアメリカに振り回されるのがめんどくさいと感じ始めるリスクがあります」と語ります。
コール氏は「世界経済のエンジンは過去20年間、まず中国であり、残り3割がアメリカでした。しかし、中国は今後、2.5〜3%程度の低成長になることが予想されます」と述べています。
アメリカの関税政策やグローバル企業への特別税などが実施されれば、世界中の資本がアメリカから逃げ出す可能性もあると両専門家は警告しています。
コール氏はAIの影響を強調します。「Microsoftなどの企業では、ソフトウェアエンジニアの仕事の半分以上を既にAIが担っています。2年前まで大卒のソフトウェアエンジニアは100万ドル近い年収でしたが、今は大幅に下がっています。アメリカで最も失業率が高い職種はソフトウェアエンジニアです」
さらに「アメリカの経営者たちの意思決定は早く、3ヶ月以内にITシステムを抜本的に変えることができます。日本では10年かかるようなことです」と米国企業の変革スピードを説明しています。
大山氏も「ディープシークショック」を指摘。「今まで必要とされていたものが不要になる可能性と、新しいイノベーションによって先行優位だったものがコモディティ化するリスクがあります」と分析しています。
大山氏は「7社全体で見ると年初からあまり変わっていませんが、中身はノータンが出てきています。株価上昇のシナリオを見せてくれたのはメタです」と説明。
一方でコール氏は「テスラとアップルは赤信号です。米国市場の割安感があるのは鉄鋼やインフラ、エネルギー分野です」と指摘しました。
大山氏も「インフラ投資は素晴らしい。パイプラインやタンク、貯蔵施設などに投資するのが最も良い」と同意し、コール氏は具体的に「ニューカーというアメリカの鉄鋼会社は現在かなり割安です。環境規制緩和で注文が2〜3倍になる可能性があります」と投資先を示唆しています。
コール氏によれば「アメリカではサラリーマン経営者ではなくカリスマ経営者が必要とされています。日本の孫正義氏は早かった。イーロン・マスクのような決断力のある経営者が求められる時代です」と説明します。
両専門家の見解を総合すると、トランプ政権2.0の時代は大きな変化と不確実性を伴いますが、特定の産業分野では大きなチャンスが生まれる可能性も高いようです。投資家は米国の政策動向と技術革新の両面を注視する必要があります。