PIVOT TALK BUSINESS
金利上昇で最高益。銀行の快進撃はいつまで続くか?
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2025年2月19日

金利上昇や政策保有株売却などもあり最高益を記録するメガバンク。この勢いは今後も続くのか?さらなる成長のカギを握るのは何か?東洋大学の野崎浩成教授に聞いた。 <ゲスト> 野崎浩成|東洋大学国際学部 教授 1991年、イェール大学経営大学院修了。あさひ銀行、シティグループ証券などを経て、2018年から...
最近の銀行業界動向から将来展望まで専門家に聞く
メガバンクや地域銀行は金利上昇局面をどう乗り切るのか。デジタル化の波に対応できるのか。
東洋大学の野崎浩成教授に、最新の銀行ビジネスの展望について詳しく聞いた。

Q. 現在のメガバンクと地域銀行の業績状況はどうなっていますか?
メガバンクは引き続き好業績で、地域銀行との差がさらに広がっています。メガバンクは「出稼ぎモデル」と呼ばれる海外での収益が円安効果でさらに増幅され、最高益を更新し続けています。
一方、地域銀行は金利が上がり始めたことでようやく業績が回復してきましたが、「預金を集めて貸し出す」という単純なビジネスモデルのため、なかなか大きな成長が見込めない状況です。
Q. 今後の金利上昇は銀行の業績にどう影響しますか?
理論上は金利上昇で銀行の利益が増えるはずですが、現実はそう単純ではありません。預金金利の上昇圧力が強まっているからです。消費者は賢くなり、金利の高い銀行に預金を移す傾向が強まっています。特にネット銀行は高金利で預金を集めており、メガバンクや地域銀行も預金金利を上げざるを得なくなっています。
住宅ローンについても、すでに一部の銀行は「儲からない」として撤退モードに入っています。これは金利競争が激しくなっていることの表れです。
Q. 日銀の金融政策はどのように動くと予想されますか?
今年は最大で2回程度の利上げが予想されます。ただし、日銀は過去に利上げに転じた際のトラウマがあり、慎重な姿勢を崩していません。2000年の0金利解除時には、当時の審議委員だった植田氏が反対票を投じた歴史もあります。こうした経緯から、急激な金利引き上げには慎重で、段階的に進めるでしょう。

Q. 倒産増加による銀行への影響はどうでしょうか?
コロナ禍で実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」を受けて生き延びた企業が、これから淘汰されていく傾向はあります。しかし、かつてのように融資が特定の業種や企業に集中していないため、銀行が大きな不良債権問題を抱えるような事態にはならないでしょう。
ただし、変動金利で住宅ローンを借りている個人については、金利上昇に伴う返済負担増加に注意が必要です。特に短期プライムレートと連動した変動金利の場合、利上げのたびに金利が上がるため、支払いが困難になるケースが出てくる可能性があります。
Q. 銀行の政策保有株式の売却状況はどうなっていますか?
メガバンク3グループの政策保有株式は、2000年頃には30〜35兆円ほどありましたが、現在は5〜6兆円程度(簿価ではさらに少ない)まで減少しており、一巡感が出てきています。
一方、地域銀行は依然として多くの政策保有株式を持っており、「純投資」というカテゴリーに分類し直して保有を続けるケースもあります。しかし、コーポレートガバナンス強化やアクティビストからの圧力で、今後さらに売却が進む可能性が高いです。
Q. 最近の銀行の不祥事についてどう見ていますか?
銀行の不祥事自体は目新しいものではありませんが、最近の貸金庫に関する不祥事は衝撃的でした。これは内部牽制が十分に機能していなかったことが原因です。
本来、銀行は「内部牽制組織」という相互チェック体制が基本ですが、今回は管理職一人に任せるという体制の不備がありました。また、貸金庫ビジネスは現代ではレガシービジネスとなっており、管理コストに見合わなくなってきているという側面もあります。

Q. 銀行における不祥事への対応はどうあるべきでしょうか?
社長が辞任するというヒステリックな対応ではなく、システム的な対策が重要です。特に「クライシスマネジメント」の強化が必要です。リスクマネジメントとは別の次元で、実際に問題が発生した際の対応策をあらかじめ用意しておくことが大切です。
初期段階で事実を明らかにし、企業としての対処方法を明確に発表することが、信頼回復への道です。

Q. ネオバンク・デジタルバンクの影響はどのように見ていますか?
楽天銀行やSBI新生銀行などのネット専業銀行は急成長しています。これらの銀行の強みは、スマートフォンの操作の延長線上に金融取引があるという利便性と、店舗運営コストが低いため魅力的な金利設定ができる点です。
特に楽天は独自の経済圏を持っており、ポイントサービスとの連携で顧客を引き付けています。今後、金利がさらに上昇すると、こうしたデジタル銀行の脅威はさらに増すでしょう。
Q. 三井住友銀行のオリーブについてどう評価していますか?
三井住友銀行のオリーブは、スマートフォンの操作性の良さだけでなく、ポイント経済圏との接点を作ったことが大きな成功要因です。他のメガバンクからも高く評価されているモデルです。
人々の日常生活と金融取引をどう結びつけるかという点で、オリーブはポイントサービスという切り口を選び、これが的確だったと言えます。
Q. NTTドコモなどの通信キャリアの銀行業参入についてはどうでしょうか?
銀行ライセンスの取得は非常にハードルが高く、維持コストも大きいため、新規参入は容易ではありません。すでに買収可能な銀行もほとんど残っていない状況です。
ドコモのような企業には、銀行ライセンスを取得する選択肢と、「ネオバンク」として既存銀行の機能を借りる形で参入する選択肢があります。海外ではブラジルのNubankのように、銀行ライセンスを取得せずに金融サービスを提供する例もあります。
銀行にとって若い世代の顧客を獲得することは非常に重要です。現在最も資産を持っているのは70代後半の層ですが、今後2030年に向けて相続が頻発する中、若年層の信頼を得ることが将来の資産管理につながるからです。