PIVOT TALK BUSINESS
ピークアウト後の中国。最優先課題は社会保障
(29)
3,878回視聴
2025年1月30日

不動産バブル崩壊などにより、急減速している中国経済。ピークアウトにより中国の経済と社会はどう変貌したのか?今後の復活はありうるのか?中国経済の裏と表を、『ピークアウトする中国』の著者である、梶谷懐氏と高口康太氏に聞いた。 <ゲスト> 梶谷 懐|神戸大学大学院教授 1970年生まれ。神戸大学経済学部...
「殺到する経済」の謎:中国EVが世界を制した本当の理由
中国の経済成長は様々な要因によって支えられてきたが、特に「殺到する経済」という現象が新たな産業の発展に大きく貢献している。EVを筆頭に太陽光パネルやバッテリーが世界市場を席巻する裏には、特殊な経済モデルが存在した。

Q. 「殺到する経済」とは何か?
「殺到する経済」とは、中国経済において、ある産業に多数の企業が一斉に参入し、激しい競争を繰り広げる現象を指す。この言葉は中国経済に詳しい専門家の間で使われてきた概念だ。
典型的な例として、今世紀初頭の偽ブランド携帯電話の爆発的な流行がある。当時、深センでは最盛期に約3000社もの企業が模倣携帯電話市場に参入していた。同様に、シェアサイクル産業も約3000社が乱立し、EV産業においても2015年頃には約500社のメーカーが設立された。
この現象の本質は、利益を見込める市場に対して「アニマルスピリッツ」を持った企業家が殺到し、その周辺でツールや部品を提供するエコシステムも同時に発展するという点にある。多くの企業が市場競争の中で淘汰されていくが、生き残った企業は非常に競争力を持つようになる。

Q. 「殺到する経済」は中国の産業発展にどう貢献したのか?
当初は単なる乱立状態として否定的に見られていたこの現象だが、現在では中国産業の強さを生み出す原動力として評価されている。
例えば、スマートフォン産業では、OPPOやVIVOといった現在の大手メーカーは元々偽物携帯を製造していた企業からのスピンオフだ。Xiaomiも初期には「ソニーのディスプレイとクアルコムのSoCを使っている」と自社技術をほとんど持たなかったが、現在では独自技術を持つ一流企業に成長した。
また、アフリカやインドで強いTecnoも、最初は単なる模倣品メーカーだったが、現在は世界5〜6位のスマホメーカーに成長している。
このように、技術も資金もない企業が市場に殺到し、厳しい競争環境の中で淘汰されながらも、最終的には世界に通用する企業やエコシステムが形成されるという成功パターンが確立された。
Q. 中国のEV産業はなぜこれほど強くなったのか?
中国で「新三大輸出人機」と呼ばれるEV、太陽光パネル、バッテリーは、すべて「殺到する経済」モデルによって発展した産業だ。
太陽光パネルは最も早く発展し、すでに世界市場を制覇している。バッテリーもほぼ世界市場を席巻し、EVも同様の道を歩んでいる。
中国政府はEV産業に対して様々な補助金を投入してきた。研究開発への資金提供、充電インフラの整備、消費者向け購入補助金などだ。これらは特定の企業を優遇するというよりも、国内市場全体でEVの普及を促進するために使われた。
しかし中国EV産業の強さは単なる補助金だけではない。多数の企業が参入したことで起きた激しい競争が、驚異的なコストダウンと技術革新をもたらした。その結果、中国製EVは価格競争力と技術力の両面で非常に強くなり、当初は補助金の比率が売上の40%を超えていたが、現在は11%程度にまで低下している。
この成功は日産のような外国メーカーも脅かしており、日本車だけでなく中国の国営企業の車も売り上げが落ちている状況だ。


Q. 中国EV墓場の真実とは?
「EV墓場」として報じられる放置された大量の車両の写真は、実は2018年頃に流行したカーシェアサービスの会社が破綻した後に放置された車両であり、現在のEV産業の失敗を示すものではない。
むしろ、これらの「墓場」は肥料となって現在の中国EV産業の成長を支える基盤となった側面がある。つまり、過去の失敗や過剰投資が現在の成功を支える養分になったという見方もできる。
Q. 中国は経済成長が鈍化しても「殺到する経済」モデルを維持できるか?
中国経済が低成長期に入り、不動産バブルが崩壊する中で、この「殺到する経済」モデルの持続可能性が問われている。供給過剰となった製品を国内需要だけで吸収することは難しく、海外市場への依存度が高まる。
太陽光パネルとバッテリーはすでに世界市場を制覇したが、EVについては各国が保護主義的な措置を取り始めている。欧州連合(EU)は当初、気候変動対策のためにEV普及を優先し、中国製も含めたEVに補助金を出していたが、中国製EVの急増に危機感を抱き、関税をかけるなどの対抗措置を講じ始めた。
今後は中国企業が海外市場に直接投資する形で進出する可能性が高まっている。例えば、EUは輸入EVには関税をかける一方で、国内での直接投資は歓迎する姿勢を示している。これに対応して、中国企業と欧州企業の合弁ブランドが生まれる可能性も出てきている。

Q. 中国の経済成長減速は外交にどう影響するか?
中国の経済成長が鈍化することで、一帯一路構想のようなグローバルな経済イニシアチブにも変化が見られる。当初は中国の野望の現れとして警戒されていたが、最近ではトーンダウンしている。これは単に資金的余裕がなくなってきたという面もあるが、過去の融資管理が杜撰だったため不良債権化し、新規融資を出し渋るようになってきた側面もある。
代わりに「質の高い援助」として、グリーンテクノロジーや太陽光パネルなど環境に優しい技術面での支援にシフトしてきている。
中国社会の高齢化が進むにつれて貯蓄率が低下し、これまでのような「資金余剰」から「資金不足」の状況に転じる可能性もある。そうなると、中国の「脅威」は主に巨大な供給力に限定されるようになり、中国が国内需要を増やす仕組みができれば、対外的な脅威は軽減される可能性がある。
※こちらは生成AIによるまとめ記事です。