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今のメガバンクはグローバル企業だ。インド・アメリカの開拓戦略【三井住友FG中島社長】
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2025年1月17日

タクシーという半プライベート空間を舞台に、PIVOT MC陣が企業トップへ独占インタビュー。普段とは違う環境の中で「会社の変革」「新サービスの開始」「新社長誕生」など、経営者の生の声を引き出す。 <ゲスト> 中島 達|三井住友フィナンシャルグループ 社長 1986年 住友銀行(現・三井住友銀行)入...
変革するメガバンクの挑戦 - 三井住友FG社長中島達が語る未来戦略
メガバンクのイメージといえば、保守的で堅実なイメージが強い。しかし、その実態は大きく変わりつつある。三井住友フィナンシャルグループ社長の中島達氏に、グローバル化する銀行の現在と未来について聞いた。

Q. メガバンクはどれほどグローバル化しているのですか?
非常にグローバル化が進んでいます。三井住友フィナンシャルグループでは収益の約半分が海外から上がっており、世界の金融機関の中でもかなりグローバルな位置づけにあります。
アメリカの銀行は一見グローバルに見えますが、実際は収益の約8割がアメリカ国内で生み出されています。ヨーロッパの銀行も、リーマンショック以降は地元回帰の傾向があります。その点、日本のメガバンクは本当の意味でグローバルに事業展開しています。
三井住友銀行が誕生した当初、海外からの収益は1%にも満たなかったのですが
、20年の間に約50%まで成長しました。グローバル化が急速に進んだことがわかります。
Q. 海外戦略として特に注力している地域はどこですか?
アジアでは4つの重点国があります。インドネシア、ベトナム、フィリピン、そしてインドです。特にインドは最近加えた戦略国で、3年前に約4000億円をかけて現地のノンバンクを買収しました。
インドは年率30%程度という、日本では考えられないスピードで成長しています。買収した会社を通じて、インドの成長力の凄さを実感しています。現時点では最も力を入れるべき国だと考えています。
アメリカでは元々、商業銀行業務から始め、日本企業のアメリカでの事業や大手アメリカ企業との取引など、主に貸金業務を展開してきました。アメリカの貸金業務の規模は既にかなり大きくなっており、JPモルガンやバンク・オブ・アメリカなどの大手には及ばないものの、その次のレベルまで成長しています。

Q. 海外企業の買収後、どのようにマネジメントしていますか?
これは非常に重要な点です。日本人だけで経営できる世界ではありません。信頼できるマネジメントチームが確保できるかどうかが鍵となります。
インドで買収した会社は、元々シンガポールのテマセックが保有していて、レベルの高いインド人マネジメントチームがいました。幸いにも彼らが残ってくれたことで、円滑な運営ができています。
私たちは日常業務には口出しせず、大きな戦略や資本の使い方、資産の増やし方などについて議論します。「それは少しやりすぎだから調整してください」とか「このセグメントをもっと伸ばせるからここに注力してください」といった方向性を示し、その後は基本的に信頼できる人に任せています。
インドは人口が多い国なので、比較的良いマネジメントチームを作りやすいという利点があります。アジアの他の国では金融人材のプールが小さく、優秀な人材の確保が難しい場合もあります。

Q. 2025年度の見通しはどうですか?
2025年度のビジネス環境は悪くない年になると予想しています。日本は少数与党で政権が不安定ではありますが、その結果として景気刺激的な減税などの政策が先行しており、短期的には日本経済にプラスに働くでしょう。
アメリカもトランプ大統領のもと、関税や移民の問題はリスク要因ですが、経済を最重視する大統領なので、まずは景気刺激的な減税や規制緩和を進めると思われます。そのため、2025年は日本もアメリカも経済的に良い状況になる可能性が高いです。
中国など一部地域に懸念はありますが、全体としては悪くない環境で、本業がしっかり伸びると見ています。今年度の当期純利益目標が1兆1600億円ですが、来年度は1兆2000億円を超えるような目標に挑戦していく年になるでしょう。
Q. 中堅・中小企業向けのビジネスはどのように強化していますか?
中堅・中小企業との取引は地道に取り組むべき分野です。大企業との取引はプロ同士の世界で、高いレベルの提案が求められます。一方、中堅・中小企業との関係ではヒューマンタッチが重要になります。人と人との信頼関係をしっかり築くことで、様々なサービスを提供できる領域です。
まずは資金提供や決済サービスから関係を作り、その上で多様なサービスを展開しています。例えば、カーボンニュートラルへの対応、デジタルツールの提供、販路拡大のためのネットワーク活用、海外展開のサポートなど、多角的な関係を構築しています。
中堅・中小企業向けには、単なる融資だけでなく、幅広いサービスを提供できることが私たちの強みです。これを地道に続けてきたからこそ現在の強さがあり、今後もこの方針を貫いていく考えです。
Q. 中堅・中小企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)の現状はどうですか?
かなり進展していますが、ばらつきが大きいのが現状です。経営者が「デジタル化を進める」と決断した企業では非常に進んでおり、むしろ大企業よりもデジタル化が進んでいる中小企業もあります。一方で、従来の方法にこだわり、あまり進んでいない企業も存在します。
私たちは、太田前社長の時代に「製造業の社長を目指す」という方針のもと、様々なデジタルツール会社を設立しました。SBCクラウドサインという電子契約の会社やプラリタウンというデジタルサービス提供プラットフォームなどを作り、お客様にこれらのサービスを推奨しています。スマートフォンやパソコンで簡単に利用でき、非常に便利なツールとしてご活用いただいています。
Q. 銀行員はどのように変わっていく必要がありますか?
まず第一に、新しいことにチャレンジする姿勢が必要です。銀行員というと真面目で保守的なイメージがありますが、その点は変わっていかなければなりません。前例踏襲ではなく、自分で新しいものを作っていく姿勢が求められます。
次に、よりオープンになることです。グループ全体でお客様にサービスを提供する中で、銀行業務の比率はどんどん小さくなっています。グループ内のリース会社やカード会社と協力し、さらには外部のビジネスパートナーとも連携して仕事をする時代です。
以前の銀行員は銀行という限られた世界の中でキャリアを過ごし、ある意味で世間知らずな面もありました。しかし今後は、様々なビジネスを理解し、多様な人々と交流しながら、人間としての幅を広げていくことが重要です。そういう人材が求められるようになっています。

Q. 人材育成のために具体的にどのような取り組みをしていますか?
社内副業を解禁し、グループ内で様々な仕事を経験できるようにしています。例えば、1日だけ別の部署で働くことができる制度もあります。また、外部での副業も認めており、多様な経験を積むことを奨励しています。
特に力を入れているのは「出戻り歓迎」の方針です。一度退職してベンチャー企業などで経験を積んだ後、その経験を活かして戻ってくる人材を積極的に受け入れています。例えば、ベンチャー企業でCFOとして働いた経験があれば、銀行に戻ってきたときにより活躍できるでしょう。そうした人材をどんどん歓迎しています。
また、中途採用も積極的に行っており、中途入社からCOOが誕生するような道も十分にあり得ます。組織の多様性を高め、従業員が幅広い経験を積める環境づくりに注力しています。
Q. 銀行員の仕事の面白さはどこにありますか?
仕事の面白さは自己実現にあります。上司から指示された仕事をこなすだけでなく、自分ならではのやりたいことを考え、実行することが大切です。小さなことでも構いません。今の仕事の一部を改善したり、お客様により喜んでもらえるように少し違うことをしたりと、自分らしさを実現していくことが仕事の醍醐味です。
銀行は資本があり、人材がいて、顧客基盤もあるため、大きなインパクトを生み出せる場所です。このインフラを活かして自分がやりたいことを実現していく、そういう仕事の仕方をしてほしいと思います。