PIVOT TALK BUSINESS
2025年の中国経済展望
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2025年1月15日

元TBS・北京特派員の中国ジャーナリスト、武田一顕氏は「2025年の日中関係は雪解けに向かう」と予測する。その理由を中国4000年の歴史からわかりやすく解説。
中国経済の2025年を専門家はどう見る?トランプ・石破政権の影響は?
中国経済は今後どう動くのか?今年は回復するのか、それとも悪化の一途を辿るのか。元TBS・北京特派員の中国ジャーナリストである武田一顕氏に経済や政治情勢について聞いた。

Q. 中国経済の現状と今後の見通しは?
中国経済の今年の見通しについては、日本国内でも意見が分かれている。「中国経済は相当厳しく、どんどん悪化していくだろう」という見方と、「ある程度回復するだろう」という楽観論がある。
私は現時点ではやや楽観的な見方をしている。中国は昨年後半に財政出動の政策をいろいろな形で決定した。習近平国家主席もようやく本腰を入れて経済を立て直そうとしている。本気で経済対策を実施すれば、時間はかかるものの、緩やかな回復傾向に向かうだろう。
ただし懸念材料もある。習近平主席はトップの権力が強すぎるため、彼の考えが変われば政策も変わる。経済立て直しの方向性を維持している間は大丈夫だが、「格差是正のために皆で貧しくなる」といった毛沢東主義的な方向に戻れば危険だ。

Q. 中国の不動産バブル崩壊は日本の「失われた30年」の始まりになるのか?
中国には非常に優秀な人材が多くいる。科学雑誌「Nature」が選んだ今年の注目科学者リストに日本人は入っていないのに、中国人は2人入っている。経済学者にも優秀な人材がいる。
中国は日本のバブル崩壊や不景気に陥った過程を詳細に研究している。中国の不動産バブルは何度も崩壊すると言われながらも、日本が1992〜93年に経験したような大崩壊はまだ起きていない。その経験と研究の蓄積があるため、そう簡単には崩壊しないだろう。
ただし、不動産市場が厳しいのは間違いない。中国の若者の失業率も異常に高く、大卒者の3〜4割が就職できないと言われている。これは非常に厳しい状況だが、財政出動で景気を刺激すればある程度対応できる。
中国政府は選挙がなくても国民感情を常に気にしている。生活が苦しいという状況を非常に心配しているため、財政をどれだけ投入し、経済をどこまで自由化できるかが焦点となる。3月の全国人民代表大会までに、大きな財政緩和策が打ち出されるかどうかが注目点だ。

Q. トランプ政権の「60%の関税」政策は実現するのか?
トランプ氏が公約通り中国製品に60%の関税を課せば、アメリカ経済も破綻するだろう。中国からの輸入品がなくなり、代替品がすべて倍の価格になるため、そのような政策は実施できないはずだ。
この問題は交渉と取引によって解決されるだろう。一律ではなく、分野ごとに異なる対応になるはずだ。アメリカの専門家によれば、大統領選挙の公約は日本以上に緩いとのこと。これから交渉の余地は十分にある、と少なくとも中国側は見ている。
トランプ氏は不動産業者としての考え方が根底にあり、経済と利益を重視している。これは前ドイツ首相メルケル氏の回顧録にも書かれている。中国との話し合いの余地は十分あるだろう。
また、トランプ氏にとって2期目となるため、中国側も前回の4年間のノウハウが蓄積されている。こうした点から考えても、今年の中国経済は楽観はできないものの、緩やかな回復傾向に向かう可能性があると分析している。
Q. 石破政権は中国とどのような関係を築くのか?
石破政権は小渕政権を模倣している側面がある。小渕政権時代、自民党は参議院で過半数を割っており、野党のアイデアを取り入れて法案を通していた。当時、小渕首相は「真空総理」と呼ばれていた。
石破首相の場合は「真空総理」を超えて「ブラックホール総理」のようになっている。議会の本質は権力闘争にあるため、2〜3月の予算審議では国民民主党との調整など難しい問題が出てくる。石破政権が行き詰まる可能性もあるが、乗り越えられれば都議選・参議院選挙まで続くだろう。
中国からすれば、石破政権は悪い政権ではなく、対話ができる政権だ。もう少し様子を見ようという姿勢で、少なくとも続くことを前提に考えている。昨年の南米での首脳会談もその流れの中で実現した。

Q. 習近平体制の後継者は誰になるのか?
現在、習近平氏の後継者は育てられていない。習近平氏の意に沿った人物は何人かいるが、独裁政権においては権力の移行期に大きな混乱が伴うことが多い。
中国では1976年に毛沢東が死去した際、文化大革命を主導した「四人組」が逮捕されるなど大混乱があった。その後、鄧小平が登場し、混乱を避けるために後継者を決めていった。鄧小平は胡錦濤までの後継者を指名したが、習近平以降は決まっていない。
習近平氏が巨大な権力を持っているため、彼が退任する時には大混乱になる可能性がある。習近平氏自身がどう考えているかは現時点では不明だ。以前の指導者は稀にインタビューに応じることもあったが、習近平氏は西側メディアのインタビューに応じていない。
Q. 中国の政治に興味を持つには?
「キングダム」や「三国志」などの漫画でもよいので、まず中国の歴史に興味を持ってほしい。中国の歴史における権力闘争は非常に興味深く、中国共産党の歴史にも同様の面白い権力闘争がある。
毛沢東、周恩来、鄧小平、劉少奇、江沢民、胡錦濤など、中国共産党の歴史は「三国志」のように面白い要素がある。中国は歴史において興味深い権力闘争を展開してきたが、今日もそれが続いている。
政治は最初に政策があり、それが煮詰まると政局になり、さらに極まると権力闘争になる。これは政治の法則だ。政策論争も重要だが、最終的には人間同士の争いになる。そうした視点で日本と中国の政治を見ていただきたい。