TIME IS
人口減少日本/縮んで勝つ「7つの活路」【河合雅司】
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2025年1月10日

多忙なビジネスパーソンへ、圧倒的な成果を上げている著名人が時間術のヒントを提供する「TIME IS」。今回は、人口減少問題の第一人者である河合雅司さんに、日本が縮んで勝つ「7つの活路」を聞く。 <ゲスト> 河合雅司 人口減少対策総合研究所 理事長 <参考書籍> 『縮んで勝つ 人口減少日本の活路』...
人口減少が変える日本の未来、「知人で勝つ」が活路
日本は今、急速な人口減少という未曾有の危機に直面している。子供の数は年々減少し、このままでは100年後に人口は8割減の1,500万人程度になる見通しだ。この危機に対して、人口減少対策総合研究所理事長の河合雅司さんは「知人で勝つ」という活路を提言している。縮小する日本でも豊かに生きるために私たちに必要な知恵とは何か。

Q. 直近の出生数の減少傾向はどうなっていますか?
直近5年間の日本人の出生数は前年比で約5%ずつ減少している。このペースで減少が続くと、2040年の年間出生数は30万人台前半、2070年には約8万人になる。これは現在の東京都23区の出生数よりも少ない数字だ。
このまま出生数が減り続けると、日本人の人口は50年後に半減、100年後に
は8割減となり、単純計算で約1,500万人の小さな国になってしまう見通しである。

Q. 出生数減少の根本的な原因は何ですか?
真の原因は「母親不足」だ。過去の少子化の結果、毎年女性の赤ちゃんの数が減ってきた。女性は約25年後に母親になる年齢に達するため、現在は母親世代の女性人口そのものが減少している。
例えば2005年の合計特殊出生率は1.26で最低だったが、10年後には少子化対策や子育て支援策により1.45まで回復した。しかし、出生数は106万人から100万人へと減少した。これは出産適齢期の25〜39歳の女性人口が18%減少したことが要因である。
現在の25〜39歳の女性人口と、現在の0〜14歳の女児を比較すると、25年後には4分の3に減少する。このように母親世代の女性人口が大きく減る状況では、どんな政策を打っても効果は限定的だ。
Q. 人口減少が止められないとすると、最も重要な問題は何ですか?
最も深刻なのは消費者の減少、つまり国内市場の縮小だ。日本企業の多くは内需で利益を上げてきたが、消費者が減少すると従来のビジネスモデルが成り立たなくなり、多くの企業が淘汰されていく。
具体例として、地方の赤字ローカル線の廃線や、大都市でも進むバス路線の縮小がある。これは単に運転手不足だけが問題ではなく、乗客数の減少による赤字が根本にある。赤字のため運転手の賃金を上げられず、他職種に人材が流れて新規採用もできない悪循環が生じている。
このように消費者減少による企業撤退が進み、私たちの生活はどんどん不便になっていく。

Q. 2025年に日本の人口減少がもたらす問題は何ですか?
2025年問題として特に注目すべきは、大都市圏郊外での75歳以上人口の急増だ。例えば東京の多摩地区の人口はこの年にピークを迎える。大阪圏や名古屋圏の郊外も同様に、75歳以上の人口が急増する「元年」となる。
75歳以上の高齢者が集中するエリアでは、救急搬送の増加、救急病床の逼迫、医療費の高騰などが見え始める年になるだろう。
また、経済産業省が警告した「2025年の崖」、つまり老朽化したレガシーシステムの刷新が遅れることによる経済損失も深刻化する。IT人材不足も顕著になり、年々状況が悪化していくと予想される。
Q. 2030年にはどんな問題が起きますか?
2030年頃に最も危機感を持つべきは食料危機だ。農水省の推計によると、2020年から2030年の10年間で農業経営体が半減し、農地は現状の7割程度に減少する。特に米などの土地利用型作物の農地が激減する見通しで、日本人の主食である米の確保が難しくなる可能性がある。
農業従事者の8割が60代以上という現状から、農業だけでなく建設業など肉体労働を中心とする産業でも人手不足が深刻化する。内閣府の推計では、2030年には38の道府県で生産力不足(地域内で働く人が減少し、需要を賄えない状態)が起こるとされている。
家族構成も大きく変化し、2030年頃には世帯数がピークを迎え、その後減少に転じる。注目すべきは、全世帯の約4割が一人暮らしとなり、そのうち900万世帯近くが高齢者の一人暮らしとなる点だ。
新築需要や持ち家率の低下も進み、一人暮らしの増加に伴い、大きな家よりもコンパクトで便利な場所の賃貸住宅需要が高まる。空き家増加と併せて住宅市場は大きく変化する。
また、85歳以上の人口は2030年に800万人を超え、認知症患者数は500万人以上(高齢者の14%)に達する見込みだ。一方で介護スタッフは2026年時点で25万人不足すると予測されており、社会全体で支える体制が必要となる。

Q. これから私たちはどうすれば良いでしょうか?
人口減少は止められないため、人口減少を前提として経済発展と社会機能維持の方法を考える必要がある。河合さんは「知人で勝つ」という活路を提言し、7つの具体策を示している:
1. 外国人依存からの脱却:単なる安い労働力としての外国人に依存せず、質的成長のための高度人材を求める姿勢に転換する。
2. 女性の戦力化:女性だけでなく高齢者も含め、性別・年齢・国籍に関わらず、個々の能力に応じた社会参加を促進する。
3. 一人当たりの利益向上:売上高より一人当たりの生産性と利益を重視する経営モデルへ転換する。
4. 高付加価値化:市場縮小を補うため、商品一つあたりの利益を高める。消費者が「どうしても欲しい」と思う価値の高い商品・サービスを開発する。
5. 海外展開:大企業だけでなく中小企業や内需型企業も海外市場に参入し、外国の需要を取り込む。デジタル技術を活用したEC展開なども有効だ。
6. 30万人の生活圏構築:複数の自治体が連携して30万人程度の生活圏を形成し、必要なサービスや店舗を維持できる環境を整える。
7. 地域の集住:人口を集約し、効率的なサービス提供と住民同士の助け合いを可能にする。
Q. 政府・自治体、企業、個人はそれぞれ何をすべきですか?
政府・自治体は人口減少を前提とした社会システムを構築すべきだ。
企業トップは過去の成功体験を一度否定し、人口減少社会への対応を考え直す必要がある。発想の転換が不可欠だ。
ビジネスパーソンは稼ぐ力の向上に努め、変化に対応できる能力を身につけるべきだ。「あなたは何ができるのか?何を準備してきたのか?」と問われたとき、明確に答えられるようにしておくことが重要。
学生はデータとファクトに基づいて時代の動きを読み解く力を養うべきだ。人口動向は先が読めるため、自分の力で変化を読み解く習慣をつけることが大切。
子育て世代は自分たちの価値観を子供に押し付けず、子供が自ら学び変化に対応する力を見守るべきだ。親世代の経験が子供の時代に通用しなくなるほど社会は変化している。
日本は縮小していくが、小さな国でも豊かに発展している国は多い。「小粒ながらきらりと光る」国を目指し、変化をチャンスととらえる姿勢が重要だ。人口減少という現実を直視し、柔軟に対応していくことで、今では想像もつかない新たな豊かさを実現できるだろう。