超予測
【2025年超予測:生成AIと経営】人事評価も意思決定もAIが行う時代に
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2025年1月8日

目覚ましい勢いで進化する生成AI。今後、生成AIは経営の現場でどう使われるのか?生成AIにより経営の形はどう変わるのか?生成AIの専門家であるPOSTS代表の梶谷健人氏に超予測してもらった。
2025年の生成AI超予測:AIエージェント・リーズニングモデル・マルチモーダルAIがもたらす変革

2025年、AIエージェントの進化が仕事のあり方を大きく変える
Q. 2025年はAI技術においてどのような年になりそうですか?
AIエージェントの年になるだろう。AIアシスタントが新人だとしたら、AIエージェントはより成熟した存在だ。一つのゴールを与えると分業して取り組み、エージェント間で上司と部下の関係性を持つこともある。これまでのAIは考えているように見えて実は考えていなかったが、リーズニングモデルの進化で本格的な思考が可能になる。
ソフトウェア単体での差別化は終わりつつあり、総合力勝負の時代になっている。人間は「問いを考える」という領域に価値を移行させないと戦えなくなる。AIは決して完璧ではなく、最終的な責任を負うのは人間という価値は残る。
基礎スキルをしっかり身につけることと、AIのアウトプットを判断するためにAIを活用することが、2025年に向けて重要になる。
Q. AIエージェントとは具体的にどのようなものですか?
AIエージェントとは特定のタスクに特化した自立型AIだ。あるゴールを与えると、そのゴールを実現するための道筋をAI自身が考え、問題があれば自分で方向修正しながらタスクの実現に向かって進む。
これまでのAIアシスタントは人間が指示をしたり質問をして補助してもらうという人間主体のものだったが、AIエージェントでは人間はほとんど介入せず、AIが主体となって行動し、必要なときだけ人間が承認する程度の関係になる。

Q. AIエージェントを実際に体験できるサービスはありますか?
レプリットエージェントを試すとAIエージェントのインパクトを体感できる。テキストで「こういうアプリケーションが欲しい」と伝えるだけで、見た目も裏側の仕組みも全部含めて作ってくれる。
例えば、読書管理アプリを作る場合、ユーザーID・パスワードの登録機能や国立国会図書館のAPIとの連携、本の状態管理など、コードを一切書かずにAIが全て作成してくれる。バグがあれば自分で修正するなど、本当に自立的に最後まで作り上げる。
Q. AIエージェントの進化はどのような方向に向かっていますか?
Googleが発表した「プロジェクト・マリナー」のように、ブラウザの操作まで含めてAIが自動的に実行するエージェントも登場している。例えば、あるサイトで商品を見つけて別のサイトでカートに追加するといった操作を指示するだけで自動的に実行してくれる。
また、単一のエージェントだけでなく、複数のエージェントが分業して一つのゴールに向かって協力するシステムも進化している。エージェント間に上司と部下の関係性があるなど、組織的な構造も形成されつつある。
Q. 2025年、AIエージェントによってどのような変化が起きますか?
各領域で高度なAIエージェントが登場し、人間の介入を必要としない業務領域が増えていく。カスタマーサポートなどは完全にAIだけで代替される可能性が高い。その結果、企業には余剰人員が生まれ、リスキリングして新しいミッションに向かわせる必要が出てくる。
リーズニングモデルと呼ばれる高度な戦略的プランニングや複雑な思考ができるAIがエージェントに組み込まれると、コーディングやライティングなどの作業レイヤーだけでなく、戦略立案などの上流工程にもAIエージェントが進出してくる。
また、ソフトウェア開発コストが限りなくゼロに近づくことで、個人のソフトウェア開発者が普通に市場で活躍するようになる。コンテンツ制作でYouTubeやブログが個人に力を与えたように、ソフトウェア開発でも同様の変化が起きる。

Q. リーズニングモデルとは何ですか?
リーズニングモデルとは「答える前に考えてくれるAI」だ。これまでの大規模言語モデルは質問に対して即座に回答を返してきたが、リーズニングモデルは問いに対してどういう道筋で考えていけば最適な回答が導き出せるかをまず考え、その上で答えを出す。
例えるなら、人間の思考システムには「システム1」と「システム2」があり、システム1は早いが大雑把で感情的・直感的な判断を行い、システム2は時間をかけるが合理的で論理的な判断ができる。これまでのAIはシステム1的な思考しかできなかったが、最新のリーズニングモデルはシステム2的な思考ができるようになっている。
Q. リーズニングモデルの具体例を教えてください
OpenAIのO1やO3、中国勢のQuenなどが代表的なリーズニングモデルだ。特にOpenAIのO3は、AGI(汎用人工知能)を測るために作られたベンチマークで人間の平均(85%)を上回るパフォーマンスを既に示している。
リーズニングモデルはもともと予測されていた技術だが、思いのほかうまくいった形だ。これまでのモデルは学習段階でGPUなどの計算リソースを投入していたが、成長曲線が頭打ちになっていた。そこで、学習後の各問いに対して「考える」部分に計算リソースを追加する実験が行われ、非常に高い知性を持つAIが誕生した。
Q. リーズニングモデルの進化で仕事はどう変わりますか?
経営の意思決定支援や高度なデータ分析などの領域でAIの活用が進む。これまでホワイトカラーvsAIと言われていたが、実は単純な「システム1」的AIとの勝負だった。これからは深く熟慮する「システム2」的なAIと戦うことになり、ホワイトカラーへの本格的なインパクトはこれからだと言える。
高度な知識や思考能力を使って答えを考える能力の希少性は下がり、「問いを生み出す力」や「思考の視点設定」が競争力の差になっていく。この変化によって、コンサルティング業界などではアナリストクラスが不要になる一方で、上位層はAIによって10倍の生産性を実現するなど、格差が広がる可能性がある。

Q. マルチモーダルAIとは何ですか?
マルチモーダルAIとは、テキストだけでなく音声、画像、動画など様々な入力モード(モーダル)を組み合わせて理解し生成するAIだ。OpenAIやGoogleは既にビデオ通話機能を実装し、カメラで見ているものについてリアルタイムで会話できるサービスを提供している。
例えば、Googleのデモでは論文を読む際に図解をAIに解説させながら一緒に読み進めることができる。今後はPowerPointやFigmaなどのデザインツール、コーディングエディターなど様々なツールにこうしたAIが統合され、横で画面を一緒に見ながら協力する作業スタイルが当たり前になる。
Q. マルチモーダルAIはどのように進化していきますか?
複雑な説明が必要だったプロンプト(指示)が、単に見せるだけで済むようになり、人間の部下と同じような感覚で指示できるようになる。これにより、より多くの業務にAIが取り入れられ、人間よりAIに指示を出す機会が増えるだろう。
また、ウェアラブルデバイス(スマートグラス等)にマルチモーダルAIが搭載される動きも加速している。生活環境を認識して先回りして情報提供したり、処理したりする機能が普及し、AIに指示をしなくても先回りしてタスクを完了してくれるようになるだろう。
Q. 2025年のAI技術の進化は私たちの生活をどう変えますか?
AIエージェント、リーズニングモデル、マルチモーダルAIという3つの技術は相互に連携・補強し合って進化している。AIエージェントはインターフェース、リーズニングモデルは思考能力、マルチモーダルAIはデータ処理の幅を広げるという観点で、三位一体の進化を遂げている。
例えば、AIエージェントとリーズニングモデルの組み合わせで、経営プランニングを行うエージェントが生まれる。マルチモーダルAIとリーズニングの組み合わせで、環境や会話を理解した上で複雑な推論を行うAIが登場する。
これらの技術により、私たちの仕事の多くが自動化され、新しいことにチャレンジする時間が生まれる。組織の仕事は「方針を決める」「作業する」「マネジメントする」「レビューする」の4つに分けられるが、真ん中の2つがAIに代替されていくことで、方針決定と最終責任を負うことに人間の価値が集中していくだろう。
企業としては、AIをどう活用するかの試行錯誤が2025年の競争力を左右する。個人としては、AIを活用して自分ではできなかったことに挑戦する機会が広がる一方で、AIを使いこなせる上位20%と使いこなせない80%の格差が広がる可能性もある。