2025年の投資戦略はアメリカ一極集中?株式市場の変化と注目セクター
世界の政治経済が大きな変化点を迎える2025年。マーケットが「割高」と言われる中で、どのような投資戦略が有効なのか。モニクル取締役でアナリストの泉田良輔氏に聞いた。

Q. 2025年はどんな年になるか?
不透明感が残る、読むのが非常に難しい年になる。大きくは政治と経済の転換点と捉えている。米国でも大統領が変わり、日本も選挙で自民党の大敗とは言わないまでも、政治が大きく変わる。
株式市場は非常に長期的に堅調な状況が続いてきた。10年以上、崩れると言われながら崩れずに来たが、この辺りでようやく注意が必要なポイントに来ている。株価評価のバリュエーションはかなり異常な状態だ。
結論から言うと、最も底堅いのはアメリカで、次が先進国、そして新興国は厳しい状況になるだろう。

Q. 2025年に影響を与える背景は?
大きく3つのポイントがある。
1つ目は政治の面で、移民問題が海外で特に注目されている。これまでグローバリゼーションの流れがあったが、ここに来てそれが逆風になっている。東西ドイツが統一し市場が一つになる流れが長く続いてきたが、移民問題を契機に自国の経済や雇用に焦点が当たるようになった。
移民をうまく活用して成長してきた国々で、そこをストップすると経済成長も一旦どうやって再び進めるかを考えなければならない局面に来ている。これはヨーロッパだけでなくアメリカも同じだ。
2つ目は環境・エネルギー面で、SDGsやESGといった流れがあったが、化石燃料へのシフトが起きている。アメリカ、ヨーロッパ、日本も化石燃料への依存度が高いままで、この状況が今後も続きそうだ。
3つ目は経済・産業面で、アメリカのインフレは過去と比べると収まってきたが、その水準自体はまだある程度あり、金利水準も高めに維持する必要がある。また「バイ・アメリカン」や「ハイヤー・アメリカン」といった自国製品を買う、自国民の雇用を増やす政策が増えてくると、日本企業もアメリカに拠点を持たないとビジネスができなくなる。
こうしたバリューチェーンの変化に対応するには時間がかかる。加えて先進国の高齢化により、労働力不足も課題となっている。

Q. アメリカが最強である理由は?
複数の要因がある。まず金融面では、アメリカは高金利の状態が続いているが、トランプの保護貿易や自国第一主義政策によりインフレ圧力が再びかかる可能性がある。
また企業が設備投資する際、最大のマーケットであるアメリカに投資せざるを得ない状況になっている。ヨーロッパやアジアではなく、アメリカを選ぶ消去法的な判断が多くなっている。
さらにアメリカは自国第一主義政策により、自国で作ったものを自国で消費し、自国民を雇用するという循環が可能になる。世界経済全体から見るとブレーキになる可能性はあるが、アメリカ自身は思うような経済成長を実現できる可能性が高い。
Q. 株価の割高感について、どう考えるべきか?
ウォーレン・バフェットが最近、債券を大きく買っているニュースがあるが、これは株が高いと思っているからだ。
分かりやすい指標で説明すると、現在のアメリカの10年債の利回りは約4.5%、株式の益利回り(PERの逆数)は約4.3%となっている。通常、株が安い時は株式益利回りが7%程度あるため、国債利回りの方が高くなるのは異例だ。
このイールドスプレッド(長期国債利回りから株式利回りを引いた値)がゼロに近づいている状況は、株価が割高になっているサインであり、相場が大きく調整することがある。

Q. 注目すべき投資テーマは?
政治と経済が大きく変わる中で、水面下で何が起きているかを考える必要がある。一つ注目すべきはインフラとしてのAIの普及だ。
AIの場合、まだインフラ普及の段階にあり、具体的にどう使えば産業構造が大きく変わるかという議論ははっきりしていない。確かに一部の仕事はAIで対応できるようになったが、産業構造が劇的に変わった例はまだない。
データセンター投資などインフラ部分でのAI普及が中心で、具体的な使い方はまだ見えていない。移動通信で言えば、3G通信の普及がインフラで、iPhoneはアプリに相当する。同様に、AIもまだインフラからアプリへの移行期間にある。
Q. 投資戦略としてはどうすればいいか?
個人の場合、1000万円の余剰資金があれば、半分を債券、半分を株式(アメリカ株中心)にするのが良い。
最も重要なのは、株式市場が30%、ひどい時には50%程度下落した時に買う原資を持っておくこと。債券25%、現金25%、株式50%としておけば、株が下がった時に現金で買うことができる。
バリュエーションが高い現状では、株の比率を下げる方が良い。全てグローバル株のインデックスファンドという状態なら、その一部を債券や現金、あるいは金に変えることでリスクをコントロールできる。
パフォーマンスを見ると、新興国を含むオールカントリーよりも、先進国だけを集めたインデックスの方が良い結果を出している。特に金利が高い状態が続くと、新興国は経済にネガティブな影響を受けやすい。
政治、経済、エネルギーの状況を考えても、2025年以降もアメリカの相対的優位性は変わらないと考えられる。
