超予測
【2024年超予測:半導体(後編)】サムスン、ラピダス、キオクシア、孫正義の課題
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2024年12月29日

NVIDIAブームに沸く半導体業界。この勢いは2025年も続くのか?王者インテルの復調はあるのか?ラピダス、キオクシア、東京エレクトロン、孫正義などの日本勢をどう評価するのか?グロスバーグ代表の大山聡氏に2025年を超予測してもらった。 <ゲスト> 大山聡|グロスバーグ代表 1985年東京エレクト...
半導体業界の最新動向:サムスン、インテル、TSMCの戦略とラピダスの展望
半導体業界は常に激しい競争と技術革新の最前線にあります。大手企業の戦略転換から新興企業の台頭まで、業界は今も大きな変革期にあります。グロスバーグ代表の大山聡氏に半導体業界の現状と未来について詳しく聞きました。

Q. サムスンの半導体事業は現在どのような状況で、今後の改革は必要ですか?
サムスンは総合電機メーカーとして半導体やスマホ、家電など多角的に事業展開していますが、最近は半導体部門、特にメモリ事業でSKハイニクスに出遅れている状況です。また、ファウンドリー(半導体受託製造)事業の赤字も膨らんでおり、これら二つの要因が半導体事業全体の業績低迷につながっています。
ファウンドリー事業では、重要な顧客を獲得できていない点や、最先端プロセス開発に多額の投資をしているにもかかわらず収益化が進んでいない点が課題です。また、IDM(設計と製造を一体化した企業)であるがゆえに、顧客と競合する可能性があり、TSMCと比較して不利な立場に置かれています。
Q. サムスンはファウンドリー事業を切り離す可能性はありますか?
サムスン自身は事業分離を全面否定していますが、インテルが製造部門の分離に成功した場合、サムスンの経営陣も戦略を再考する可能性はあります。
半導体業界の観点からは、ロジック系ICの製造においてはIDMとしてのシナジーは出しにくいと考えられます。つまり、ロジック系ICについては事業分離に合理性があるかもしれません。
ただし、メモリに関しては状況が異なります。メモリの設計と製造は完全に一体化していないと高性能なメモリは作れないため、メモリメーカーとしてのサムスンは設計と製造を一緒に行うIDM体制を維持する必要があります。実際、メモリ、アナログIC、ディスクリート半導体などの分野では、設計と製造の両方を手がける企業が圧倒的に強い傾向にあります。

Q. TSMCの勢いは今後も続きますか?
TSMCの優位性は今後も継続すると考えられます。特にファウンドリービジネスにおいて、TSMCは製造技術の革新と顧客基盤の拡大により、圧倒的な地位を確立しています。

Q. 日本の半導体企業ラピダスの今後の展望はどうですか?
ラピダスは現在、半導体製造装置の導入段階にあります。2025年前半には全ての装置を連結してテスト生産を開始する予定です。しかし、実際に顧客が設計ツールを使ってラピダスのプロセスで半導体を設計できるようになるのは2025年後半、顧客候補がサンプルチップを製造できるようになるのは2026年頃になると予想されます。そして本格的な量産が始まるのは2027年以降と見込まれています。
したがって、ラピダスの実力が明確に見えてくるまでにはまだ時間がかかるでしょう。現在私たちが見ているのはその全体像のごく一部に過ぎません。
Q. 日本のキオクシアはどのような状況ですか?
キオクシアは3回の上場見送りを経て、ようやく上場にこぎつけようとしています。半導体メーカー、特にメモリメーカーにとって設備投資は定期的に必要であり、証券市場から資金調達できる体制を整えることは極めて重要です。上場はその最低限の条件を満たすものであり、これによってキオクシアは次のステージに進むスタートラインに立つことになります。
課題としては、資金不足によって必要な製造装置を十分に揃えられなかった可能性があります。例えば、技術はあっても資金不足のために200層を超える3D NANDフラッシュメモリを十分に製造できていない可能性が指摘されています。上場によって資金調達環境が整えば、こうした課題は克服できると期待されています。

Q. 半導体製造装置業界の2025年の見通しはどうですか?
2025年の半導体製造装置業界は成長が見込まれています。2023年は半導体市場が低迷したにもかかわらず、中国からの「爆買い」に支えられて装置メーカーの売上はマイナスにならずに済みました。しかし、2024年5月頃から中国の需要が減少傾向にあり、半導体市場全体が回復しているにもかかわらず装置メーカーの売上はあまり伸びていません。
2025年については、中国の特需という要素を除外しても、メモリ市場は好調を維持し、AI分野の発展によりロジック向け投資も増加すると予想されるため、装置需要は全体として伸びる見込みです。具体的には、半導体市場が10〜20%程度成長する場合、装置市場はそれを上回る30〜40%の成長率となる可能性があります。ただし、市場が下降局面に入った際は、装置業界の落ち込みも大きくなる傾向があります。
Q. 孫正義氏と半導体業界の関係はどう見ていますか?
孫正義氏がアームを2015年頃に3.3兆円で買収した際は、IoTの発展に向けた戦略的投資として半導体業界から高い評価を受けました。しかし、数年後に突然NVIDIAへの売却を発表した時は業界に大きな衝撃を与えました。
アームは多くの半導体メーカーにライセンスを提供しており、その中の一社であるNVIDIAだけに売却することは業界全体に混乱をもたらす恐れがありました。競合他社はNVIDIA所有のアームを使用することを躊躇するでしょう。この動きは半導体業界のエコシステムを根本から揺るがしかねないものでした。
幸いにも規制当局などの反対によりNVIDIAへの売却は実現せず、最終的にアームは再上場という形になりましたが、この一件で孫氏の半導体業界に対する理解度に疑問が投げかけられました。
金融的な観点のみで半導体業界に関わるのではなく、業界の特性や構造を深く理解した上での投資が望まれます。半導体業界ではファンドが買収した企業がうまくいかないケースが多く見られ、それは投資家の目標と半導体メーカーの目標が必ずしも一致しないことが原因となっています。
Q. 2025年の半導体業界で最も注目すべき企業や人物は誰ですか?
最も注目すべきは引き続きNVIDIAです。AIチップ市場での独占的な地位を築き、その優位性は当初の予想よりも長く続く可能性があります。NVIDIAの動向が半導体業界全体に大きな影響を与えることは間違いありません。