超予測
【2024年超予測:半導体(前編)】NVIDIAの独走はあと3、4年続く
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2024年12月28日

NVIDIAブームに沸く半導体業界。この勢いは2025年も続くのか?王者インテルの復調はあるのか?ラピダス、キオクシア、東京エレクトロン、孫正義などの日本勢をどう評価するのか?グロスバーグ代表の大山聡氏に2025年を超予測してもらった。 <ゲスト> 大山聡|グロスバーグ代表 1985年東京エレクト...
半導体業界2025年予測:「NVIDIAの王座は3〜4年続く」専門家が断言
半導体業界は2025年も2桁成長が予測されている。特にメモリ部門は従来の予測を大きく上回る30〜40%の成長が見込まれ、業界をリードするNVIDIAの優位性は今後3〜4年続く可能性が高い。グロスバーグ代表の大山聡氏に2025年の半導体業界の見通しを聞いた。

Q. 2025年の半導体業界全体はどのような動きが予測されますか?
2025年は2024年の動きを継承する形で2桁成長が見込まれています。世界半導体市場統計(WSTS)が12月初めに最新予測を発表しましたが、メモリ以外については違和感のない予測値となっています。
メモリについては、WTSの予測値である13.4%成長は非常に控えめで、実際には30〜40%程度の成長が期待できるでしょう。WTSは半導体メーカー同士の協議体であり、価格の議論などは独占禁止法に抵触する恐れがあるため、上げ下げの激しい市場予測において無難な数字を出す傾向があります。
2025年は非常に強い年になり、むしろ業界関係者の関心は2025年から2026年にかけての動向に移っています。シリコンサイクルの観点では、2023年がボトム、2025年がピークとなる見込みで、2026〜2027年頃に再びボトムが来る可能性があります。

Q. データセンター以外の分野(PC、スマホ、自動車など)の見通しはどうですか?
2024年はデータセンター市場が伸びた一方で、PC、スマホ、家電製品などの分野はあまり伸びませんでした。2025年には、特にPCについてはWindowsのサービス統合などによる買い替え需要が期待できます。
スマホについては、2024年にほとんど伸びていないため、2025年も劇的な成長は見込めません。台数ベースでは3〜5%程度、最大でも10%程度の成長が限界でしょう。5Gの本格的な活用には自動運転や遠隔医療などのアプリケーションが必要ですが、それが2025年に普及するのは早いと思われます。
自動車分野では、EVの伸びは予想より下回っていますが、ハイブリッドやプラグインハイブリッドが好調です。半導体メーカーにとっては、EVよりもハイブリッド車の方が部品点数が多いというメリットがあります。EVではエンジン制御用の半導体が不要になりますが、ハイブリッド車では電気系統とエンジン系統の両方の半導体が必要となります。
Q. NVIDIAの優位性は2025年以降も続くのでしょうか?
NVIDIAの優位性は2025年も続くでしょう。以前は「2年は続く」と予測していましたが、競合他社の状況を見ると、3〜4年あるいはそれ以上続く可能性が高まっています。インテルやAMDも追随を試みていますが、苦戦している状況です。
NVIDIAの強みは2007年から一般に解放しているCUDA開発環境にあります。これがAIソフトウェア開発のデファクトスタンダードとなり、競合他社が異なる開発環境を提供しても、ユーザーはCUDAの使いやすさを求める傾向があります。この開発環境によるエコシステム構築が、NVIDIAの優位性を支える大きな要因となっています。
NVIDIAに対抗できる企業としては、日本のラピダスやカナダのテンストレンドなどのベンチャー企業が注目されています。こうした新興企業がNVIDIAに挑戦する姿勢を示していることは業界にとって重要です。

Q. インテルの苦戦の要因と今後の見通しは?
インテルはかつてIT業界の絶対王者でしたが、パソコン市場の成熟化やスマホへの移行、AIブームへの出遅れなど複数の要因が重なり、NVIDIAの台頭を許してしまいました。
最大の問題は、設計と製造の両方を手がけるIDM(Integrated Device Manufacturer)モデルにこだわり続けたことです。ロジック半導体の世界では、NVIDIAやクアルコムなど工場を持たず設計に専念する「ファブレス」企業のシェアが高まっています。インテルは「マイクロプロセッサーは設計と製造のすり合わせが重要」と主張してきましたが、AMDがTSMCのプロセスを使って高性能プロセッサを作り出したことで、その主張の妥当性が疑問視されました。
インテルの復活条件としては、製造部門(ファンダリー部門)の分社化が成功し、完全に独立することが重要です。分社化により、これまでインテルと競合していた企業からも受注できる可能性が生まれます。インテルが変革に成功するかどうかは、この製造部門の独立と、自社ブランドとの関係をどう整理するかにかかっています。

Q. TSMCの優位性はどの程度続くと予想されますか?
TSMCの優位性は今後10年程度続く可能性があります。本当に有力な競合企業がおらず、最先端プロセスを安定して提供できる企業はTSMCだけという状況です。
かつてはインテルとサムスンが競合していましたが、TSMCとの技術差は開く一方です。その理由として、TSMCは「顧客と絶対に競合しない」「最先端技術を必ず実現する」という2つの原則を堅持していることが挙げられます。
自社ブランドを持つインテルやサムスンは、ファンダリー(半導体製造受託)事業で苦戦するのは必然的です。インテルとサムスンにもチャンスはありましたが、TSMCとの差は拡大する一方で、特に「競合企業に嫌われる」点が大きなデメリットとなっています。
Q. ソフトバンクの孫正義氏とARMの関係については?
ソフトバンクグループの孫正義氏がNVIDIAへのARMの売却を検討していたという話がありましたが、半導体業界の視点からは疑問が残ります。半導体業界では、単なる金融的な観点からの投資が成功する例は少なく、業界特有のオペレーション理解が重要です。
ファンドが半導体企業を買収した場合、必ずしも半導体メーカーのオペレーションとうまく合致せず、「ファンドが買ったから失敗した」という事例が生まれやすい傾向があります。半導体産業は専門性が高く、業界特有の長期的視点が必要な分野なのです。
Q. 2025年のPCやスマホなどエンドユーザー向け製品市場はどうなりますか?
2024年はデータセンター市場が好調だった一方、PCやスマホなどのエンドユーザー向け製品はあまり伸びませんでした。2025年にはPCの買い替え需要が期待されます。
また、2025年はAI機能がエンドユーザー向け端末にどう実装されるかという点が注目されます。データセンターでのAI処理からデバイス上でのAI処理へと進化していく過程で、新たな市場が開拓される可能性があります。