PIVOT TALK SPORTS
監督から見た箱根駅伝
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2024年12月29日

1月2日から3日に開催される第101回箱根駅伝。今回は、駿河台大学の徳本一善監督に、箱根駅伝の裏側や、大学に与える影響、青山学院大学の原監督などについて話を聞いた。 <ゲスト> 泉 秀一|ノンフィクションライター 1990年福岡県出身。関西大学卒業後、ダイヤモンド社入社。週刊ダイヤモンド編集部を経...
"箱根駅伝100回大会はピークになる可能性も" 駿河台大学・徳本監督が語る監督の実態と大会の未来
箱根駅伝は視聴率30%を超える国民的イベントとして知られている。その人気はどこから来るのか?そして監督たちはどのような環境で指揮を執っているのか?駿河台大学陸上競技部監督の徳本一善氏に、箱根駅伝の構造や監督の実態について聞いた。

Q. 箱根駅伝の人気は今後も続くのでしょうか?
現在の箱根駅伝人気は絶頂期にあるが、100回大会をピークに横ばいして緩やかに下降していく可能性がある。その理由の一つは留学生問題だ。現在のルールでは1区間に留学生は1人しか出場できないが、少子化や経営の問題で大学は留学生を増やさざるを得ない状況になりつつある。しかし留学生を多く起用すれば国民的行事としての人気に影響する恐れがある。
また、日本の長距離選手の絶対数が不足している現状もある。強化に力を入れている30〜35大学が各30人ずつ選手を集めようとすると、単純計算で900〜1,050人の優秀な選手が必要になるが、これは現実的ではない。

Q. 箱根駅伝の人気を高めた要因は何ですか?
青山学院大学の登場と原晋監督の存在が大きい。また、長年続けて見ることで親近感が生まれ、日本人が好むストーリー性も詰まっている。さらに、箱根駅伝の選手が一種の芸能人扱いになるほど社会的知名度が上がったことも人気爆発の一因だ。
このように知名度が上がった選手たちは、「大学が何をしているかを知ってもらうための広告宣伝」として大学にとって大きな価値を持つ。実際に箱根駅伝に出場すると、大学の受験者数や偏差値が上がるというデータもある。
Q. 監督はどのような契約形態で大学に所属しているのですか?
監督の契約形態は主に3つある。一つ目は純粋な契約形態でプロ監督として入る形。二つ目は大学職員として入る形。三つ目は准教授や教授などの教員ポストで入る形だ。このうち契約形態だけは、成績次第で職員や教員に変わる可能性がある。
原晋監督も最初は契約だったが、現在は教授になっている。契約形態の場合、将来が不安定なため精神的プレッシャーも大きい。「朝起きて手が震えることもあった」と原監督も話していたという。

Q. 監督にとって箱根駅伝出場の重圧はどれほどですか?
非常に大きい。徳本監督は駿河台大学が初めて箱根駅伝に出場した年、予選会前日に寿司屋でビールを飲もうとしたところ、グラスを持つ手が震えていたという経験を語った。「自分は大丈夫だと言い聞かせていたが、無意識のうちに体に出ていた」と振り返る。
それでも初出場できなかった場合、「覚悟を決めないと」という状況だった。このようなプレッシャーの中で、監督たちは大学の期待に応えようと努力している。
Q. 選手として実績があれば、監督としても優秀なのですか?
「全く意味がない」と徳本監督は断言する。選手としての経験は監督業に何も通じないという。監督は監督として勉強し、知識を入れるしかないのだ。
そして一度成功しても、そこで止まってはいけない。「攻略されるんですよ。攻略されてからがまた勝負」と徳本監督は言う。常に戦術をアップデートし続けなければチームは下降すると強調する。
Q. 箱根駅伝を勝つために重要な要素は何ですか?
チームの戦力を図る基準として「10人の1万mの平均タイム」がある。これと箱根駅伝の順位には相関関係があるとされている。ただし、ロードに強い、長い距離に強い、スピードに特化しているなど、各大学のカラーによって差別化される。
また、青山学院大学が7回も優勝できている理由は、常に進化し続けているからだ。「原監督は社会に貢献できる人材をシステムで作っている」と徳本監督は評価する。そのシステムがしっかり回っていれば、原監督がいなくなっても上昇軌道を維持できるだろうという。

Q. 箱根駅伝の優勝争いはどのような状況ですか?
現状では青山学院大学が強く、対抗馬として国学院大学、駒澤大学が挙げられる。青山学院大学は特に5区で絶対的な自信を持っている。ただし、優勝の可能性は各チームのピーキング(最高の状態に持っていくこと)によって変わってくる。
青山学院大学のピーキングが8(10点満点中)だとすると、国学院大学は10点のピーキングを達成して初めて勝てる可能性がある。駒澤大学も同様に、青山学院大学より上のピーキングを達成できれば勝機がある。
Q. 注目を浴びる若い選手たちへの影響はどう考えるべきですか?
20歳前後の若い選手が突然注目を浴びることで、その後の人生に影響が出る可能性がある。「目標が見つからなくなる」などのパターンもあり得る。アメリカのプロスポーツ選手が引退後にアルコール依存や破産などの問題を抱えるケースが多いことも参考になる。
SNSの扱いも課題だ。禁止する大学もあれば、うまく付き合う力を養おうとする大学もある。「注目を浴びて、バランスを取りながら、冷静に人生を歩むことができるようにするまでが、我々が伝えなければいけないこと」と徳本監督は語る。