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日米金融政策の行方。1月利上げ確率は90%
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2024年12月22日

米国は利下げを実施、日本は利上げを見送り。その背景にはどのような判断があったのか?日銀は1月には利上げに踏み切るのか?日米の金融政策の行方を第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストに聞いた。 <ゲスト> 熊野英生|第一生命経済研究所 首席エコノミスト 1967年山口県生まれ。90年、横浜国立大...
「利上げ見送り」で円は160円に?株価・参院選への影響も懸念 - エコノミストが語る金融政策と政局の行方
日本銀行の金融政策決定会合で利上げが見送られた一方、米連邦準備制度理事会(FRB)は予定通り利下げを実施。この日米の金融政策の違いは、為替市場や日本経済にどのような影響をもたらすのか。第一生命経済研究所のエコノミスト・熊野英生氏に聞いた。

Q. 米国の金融政策はどうなっていますか?
FRBは予定通り利下げを実施しました。しかし市場の注目は利下げ自体よりも、今後の見通しに集まっています。3カ月に1度、FRBは金利政策だけでなく経済・物価の見通しも発表していますが、特に注目されたのは来年の利下げ回数です。
9月時点では2025年末までに4回の利下げを予定していましたが、今回は2回に減少しました。これはFRBが利下げを続けることが難しくなる見通しを示したことになり、米国の長期金利上昇につながりました。結果として日米金利差が拡大し、円安が進行しています。
Q. なぜFRBは利下げ予想回数を減らしたのですか?
一言で言えば「トランプ要因」です。トランプ次期大統領は来年1月20日に就任しますが、どのような政策を実施するかまだ全容は見えていません。
FOMCの会合でもトランプリスクについて議論があり、トランプ政権の政策によって物価上昇が進み、インフレバイアスが働くことで利下げが自由にできなくなる可能性が指摘されています。その結果として、来年の利下げ予想が4回から2回に減少したと考えられます。
Q. 利下げ予想回数はさらに減る可能性はありますか?
その可能性はあります。次の会合は3月ですが、その間にトランプ氏が大統領に就任します。新たな財務長官としてベッセント氏が就任し、FRBに様々な意見を述べる可能性もあるため、FRBにとって来年3月は難しい状況になるでしょう。
利下げ予想回数が2回から0回になる可能性も否定できません。トランプ氏は時として矛盾する発言をすることもあり、FRBに利下げを求めるのか、それとも抑制を求めるのかは予測が難しい状況です。

Q. 日本銀行は利上げを見送りましたが、その背景は何ですか?
日銀が利上げを見送った理由は少し謎めいています。10月末の決定会合後、上田日銀総裁は「時間的余裕がある」という表現を今後使わないと発言し、これが利上げに前向きな姿勢と受け取られました。多くの市場関係者は12月の会合での利上げを予想していましたが、結果は見送りとなりました。
記者会見では、「賃上げがしっかり進んでいることを確認したい」「トランプ氏が大統領に就任した後の状況を見極めたい」という説明がありました。トランプ氏の就任は1月20日で、その数日後に決定会合があるため、後手に回る方が良いという判断もあったかもしれません。
しかし問題は、利上げ見送りによって円安が進行したことです。会見中にも円安が2円程度進み、今後1ドル160円に達する可能性も出てきました。
Q. なぜ円安が進行することを予想しながら、日銀は利上げを見送ったのでしょうか?
これが最大の疑問です。円安になることは予測できたはずなのに、なぜ日銀は利上げを見送ったのでしょうか。
さらに懸念されるのは、トランプ政権下での為替介入の難しさです。これまで日本政府は150円台後半から161円の水準で為替介入を行ってきましたが、トランプ政権が出てくる時期に日本が為替介入を行えば、アメリカ政府から反発を受ける可能性があります。
そのリスクを考えれば、160円付近に為替レートを近づけるべきではなかったのですが、日銀はそのリスクを冒して利上げを見送りました。為替市場での自らの政策の影響についての考慮が足りなかった可能性があります。
Q. 1月の決定会合では利上げがあるのでしょうか?
私は90%の確率で1月に利上げがあると予想しています。残り10%の可能性として3月という選択肢もありますが、これは春闘の集中回答日が3月中旬にあるため、様子を見たいという考え方です。
ただし、もし1月の会合でも利上げを見送れば、日銀の姿勢が後ろ向きだという印象を与え、さらに円安が進む可能性があります。
Q. 2025年の日本の金融政策はどうなりそうですか?
日銀は政策金利1%を目指していると考えられます。1月に利上げした場合、2025年内にはさらに2回程度の利上げがあるでしょう。
ただし、7月に参議院選挙があるため、その前後は動きにくいと考えられます。可能性としては1月、7月、12月の利上げが考えられますが、これはやや楽観的なシナリオかもしれません。
Q. 円安が進むことは日本にとって良いことですか?
円安は日本にとって良くないことです。かつては輸出増加というメリットがありましたが、現在は輸出がほとんど伸びていません。
さらに、トランプ政権は電気自動車への支援を行わないと発言しており、カナダ・メキシコに対する関税引き上げも行う可能性があります。日本の自動車メーカーがメキシコやカナダに持つ工場からのアメリカへの輸出が難しくなる可能性があり、円安があったとしても輸出は伸びにくいでしょう。
2025年は日本企業にとって厳しい年になる可能性があります。
Q. 2025年の日本経済に対するリスク要因は何ですか?
最大のリスクは政治的な安定性の欠如です。来年の参議院選挙に向けて政局が流動化し、最悪の場合は政権交代のリスクも高まる可能性があります。
政治が混乱すると、企業活動や生活が不安定になります。政治は空気や水と同じで、うまくいって当たり前のものです。それが機能しなくなると、経済活動全体に悪影響を及ぼします。
また、円安による輸入物価の上昇も大きな懸念材料です。特に高齢者の生活が苦しくなる可能性があり、トランプ政権の政策によってさらに状況が悪化する恐れもあります。
政治的安定を欠いたまま、対外的な経済環境の変化に適切に対応できなければ、日本経済は大きな困難に直面することになるでしょう。