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高原直泰に聞く、日本代表の現在地とストライカー育成論
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2024年12月22日

伝説のストライカーとして日本代表で活躍した高原直泰氏。2016年には沖縄にサッカークラブをオーナーとして創設し、現在CEOとしてクラブ経営、コーヒー栽培に挑んでいる。なぜ経営者の道を選んだのか?今の日本サッカー界をどう見ているのか?ドイツ時代から取材している木崎伸也氏とともに話を聞いた。 <ゲスト...
「現代の選手は優れているが、かつての代表はガッツがあった」元日本代表FW高原直泰が語る日本サッカーの課題と展望
日本サッカー界のレジェンド・高原直泰氏が、現代の日本代表と自身が活躍した時代を比較しながら、日本サッカーの課題と展望について語った。現在の日本代表は「史上最強」との評価もあるが、高原氏はより厳しい視点から、日本サッカーがさらに発展するための条件について持論を展開した。

Q. もし今、日本サッカー協会会長で何でもできるとしたら、どんな改革をしますか?
今の日本サッカーがどうなっているのかをまず把握する必要がある。軽率にこうした方がいいと言うのは難しい。選手としてプレーしていた時代なら気軽に意見を言えたと思うが、今はそうではない自分がいて、少し成長したなと感じる。
現実的に考えると、組織としてのチーム作りがまだ必要だと思う。一方で、昔に比べて個で打開できる能力のある選手が日本にも生まれてきているのは事実だ。
Q. 選手とのコミュニケーションについて、選手だった立場から監督でもあり経営者でもある立場として、どう接していますか?
自分が選手だった時に、どういうコミュニケーションを取った監督が良かったかを考えている。トルシエ監督は最高だった。自分たちの世代の選手にとても合っていた。彼は私たちを引き上げてくれた監督で、一緒にいた時間も長かった。アンダーカテゴリーから指導を受け、アフリカに一緒に行くなど、様々な経験をさせてもらった。そういう経験は自分を含め多くの選手にとって大きな刺激になった。

Q. トルシエ監督は時に厳しく指導したと聞きますが、どう感じていましたか?
我々より上の世代の選手たちはトルシエ監督に対して違和感があったかもしれないが、私たちは19歳くらいでトルシエ監督と出会ったので、厳しい指導も「また始まったな」という感じで、通常運転だと思っていた。あまり気にしていなかった。
むしろ、フランスに行ってトレーニングマッチをするなど、自分たちがどれくらい通用するのかを試せる環境を与えてくれたことの方が重要だった。負ける気がなく挑んでいたので、そういった環境の中で個性の強いトルシエ監督の存在は全く問題なかった。
Q. トルシエ監督の後に就任したジーコ監督は自由主義的だったと思いますが、どうでしたか?
自由というのが一番難しい。当時はサッカーも盛り上がっていて、良い選手もいた中で、多くの人が期待してくれたし、私たちもそれに応えられる自信はあった。ただ、自分たちには自由はまだ早すぎたと正直思う。
きちんとした約束事、規律、戦術など、組織としての基盤がないと、やはり自分たちよりも上のチームとは戦えないと感じた。各選手が主体的に判断して行動する力量が、まだまだ足りていなかった。ジーコ自体が悪いというよりは、私たちがその段階に達していなかったということだ。そこのバランスが当時は良くなかったと思う。
Q. 現在の日本代表は森保監督が選手に自由を与えていると言われていますが、日本は自由を受け入れる段階に来ているのでしょうか?
まだ早いと思う。正直に言うと、私は代表の試合をあまり見ていない。基本的にプレーすることは好きだが、見るのは好きではないからだ。
昔に比べれば、数え切れないほどの選手がヨーロッパでプレーしており、ビッグクラブと言われるチームでプレーする選手も増えた。ただ、それは日本だけの話ではない。他の強豪国は昔からそういう状態だった。日本はようやくそこに追いついてきたに過ぎず、まだ組織としてのしっかりとした基盤が必要だと思う。
ただ、昔と比べて明らかに違うのは、個で打開できる能力のある選手が日本にも生まれてきていること。彼らをどう生かすかが戦術的な課題になるだろう。彼らは世界的にも通用しているので、その強みを生かさない手はない。ただ、そのやり方を示すのは監督の仕事だと思う。純粋な「自由」というのは、まだ難しいのではないか。
Q. 最近のインドネシア戦を見て率直にどう感じましたか?
物足りなかった。最初の1発目を決められていたら分からなかっただろう。センターバックの不安定さは誰が見ても明らかだった。何人か怪我などの要因で、普段出ていない選手が試合に出たという事情はあるが、それも実際にはあり得ることだ。
試合が始まって1点入った時点で「5-0で終わるかな」と思ったが、残念ながら4-0だった。単に何かが足りないということではなく、日本代表はワールドカップでどこまで行くという目標を置いているはずだ。その目標に対して現状で十分なのかという視点で考えると、まだまだ不十分なところの方が多いと感じた。

Q. 高原さんの意見は厳しいですね。日本代表について今多くの人が「史上最強」と言っているのに対して。
選手の質は素晴らしいと思う。ただ、目標との差を考えると物足りなさを感じる。例えば、インドネシア戦では相手にチャンスを与えてしまった。自分たちが目指しているようなレベルの相手なら、そのチャンスを逃してくれる確率の方が低いと思う。
準備不足だったのか、油断があったのか分からないが、そういう隙がある限りはまだ十分ではない。あのレベルの相手なら、完璧にシャットアウトして終わるくらいのこだわりがないといけないと思う。
Q. 今の日本代表は選手が話し合って戦術を決めると聞きますが、昔の日本代表と違いますか?
今の選手たちは話し合いながら落としどころを作ってまとまる印象がある。自分たちの時代は最終的にまとまらなかったわけではないが、それぞれの選手がとても強い個性を持っていた。中田英寿選手のような強いリーダーシップを持つ選手が出てきて、みんな言うことを聞かないタイプが多かった。
Q. 日本人選手の海外での評価はどうですか?
日本人選手は組織に組み込みやすいと評価されている。きちんと役割をこなし、不平不満もあまり言わない。技術もあり、戦術理解度も高い。
昔のサッカーは個人の身体能力や闘争心が重視されていたが、今は役割が明確に決まっている。そのため、日本の選手にとっては入っていきやすい環境になっていると思う。
Q. 日本人ストライカーについてどう思いますか?もっと「俺が」という気持ちが必要ですか?
日本人ストライカーはもう少し「俺が」という気持ちがあってもいいと思う。戦術的な部分は昔に比べて上達しているが、ストライカーの個としての部分はあまり変わっていない気がする。
日本の選手は周りが見えすぎるのか、少し気を使っているような印象がある。自分が点を取るためのこだわりをもっと出しても、海外では逆に評価されると思う。「日本人なのにすごい」と思われる方がいい。

Q. 今後3年、5年、10年の目標は何ですか?
現在所属している沖縄SV(JFL)の3年後の目標はJ3に昇格すること。5年後はJ2に昇格し、沖縄におけるサッカー専用スタジアムの実現を目指している。サッカーを中心とした街づくり、スポーツを中心とした街づくりの基盤をこの5年で固めたい。
10年後はJ1を目指したいが、ハードルはかなり高い。特にJ2からJ1へのハードルは非常に高くなっている。ただ、沖縄でJ1クラブができれば、日本に限らず海外の人たちも取り込みながら大きく盛り上げられると思う。
私自身は5年後くらいまでの計画は明確にイメージできるが、10年後についてはまだ具体的には描ききれていない。コーヒー栽培なども行っているが、それは10年、20年というスパンの取り組みになると言われている。クラブも同様に長期的な視点で育てていきたい。